物流業界404名に2024年問題の実態調査 約7割が内容を理解するも帳票関係はDXに遅れ

ECのミカタ編集部

物流業界404名に2024年問題に関する実態調査

株式会社インフォマート(以下:インフォマート)は、物流業界で働く404名を対象に「物流の2024年問題」に関する実態調査を実施し結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

「物流の2024年問題」を目前に、運送業界は運賃交渉や労務管理への対応に追われているのが現状である。こういった状況を背景に、インフォマートはIoTや運行システム等に埋もれて見過ごされがちな物流業界における「紙の書類」の現状と問題について明らかにすることを目的に本調査を実施した。

◆調査対象:総合物流業または道路貨物運送業または倉庫業の従事者
◆調査方法:インターネットリサーチ
◆調査内容:物流業界の2024年問題に関する実態調査
◆調査期間:2023年11月2日~11月9日
◆回答者:404名

関心度は業界全体的に高い

自動車運転業務における労働時間が規制されることで、国内全体の輸送能力が不足する「物流の2024年問題」について質問。

「知っており内容を十分理解している」と回答した人は運送業(総合物流+道路貨物輸送)で33.9%、倉庫業(総合物流+倉庫)で34.8%にのぼった。「知っており、ある程度の内容は理解している」まで含めると、業界全体で7割以上が「物流の2024年問題について内容を理解している」という結果になり、「物流の2024年問題」への関心度は業界全体的に高いといえるだろう。

配送業では労働時間、倉庫上では運賃が課題

改善基準告示や残業上限規制によって生ずる「物流の2024年問題」において、運送業と倉庫業はそれぞれどのような課題を抱えているのかについて質問。

運送業での課題は「労働時間の管理方法の見直し(49.7%)」「従業員の収入減少(40.6%)」「従業員の離職(37.4%)」がトップ3となった。これは、運送業ではドライバーの労務管理への対応がメインになるからだと考えられるだろう。

一方、倉庫業では、「運賃の値上げ・配送コストの増加(47.1%)」「荷役作業等、倉庫内作業負担の増加(31.1%)」「運送会社との交渉・契約の見直し(30.6%)」「燃料や資材高騰等のコストアップ(30.6%)」等が上位にランクイン。倉庫業においては、全般的にコスト意識が高く、運送コストの増加に伴うコスト・負荷増に対するへの懸念が伺える。

紙文化が現場業務を圧迫する

各帳票の受け渡し方法について聞くと、運送業では最も電子化が進んでいる請求書でも47.7%が「すべて紙」と回答し、納品書は52.9%と半数以上が「すべて紙」と回答。

倉庫業でも請求書で41.7%、納品書では43.9%が「すべて紙」と回答している。業界内で根強く紙文化が残っており、それが現場業務を圧迫していることが考えられるだろう。

また、紙の書類を電子化している企業に対し効果を聞いたところ、約8割の企業が電子化による効果を実感している。運送業では「現場業務の効率化」が32.9%で1位となり、次いで「セキュリティの強化(31.4%)」と「事務業務の効率(30.0%)」という結果に。

倉庫業においても「印紙や郵送代等のコスト削減(40.2%)」、「事務業務の効率化(38.2%)」、「残業時間の削減(31.4%)」と続き、業務が効率化されるだけでなく、印紙代や郵送代といったコスト削減にも貢献していることが伺えるだろう。

帳票からデジタル化への移行が求められる

「物流の2024年問題」は、荷待ち時間や荷役等の付帯作業をいかに効率化するかが重要となる。業務を効率化するためには、何にどれだけ時間が発生しているかを「可視化」する必要があるが、現場では紙媒体を中心としたアナログ業務が多いことが現状だ。

帳票類を電子化できない理由は「取引先やパートナーが紙で行っている」が主であり、小規模な事業者ほど対応が難しいのが現実だ。しかし、電子化を進めた企業の多くは効果を実感しており、なかでも「現場業務の効率化」と「残業時間の削減」「コスト削減」という点は注目すべきだろう。

数ある「物流の2024年問題」への対応策の中でも、帳票の電子化は比較的取り組みやすいテーマだろう。デジタル化を第一歩として、今後の対策を講じることが求められる。


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