Amazon、兵庫県への総投資額は12年で1370億円超 県内企業におけるEC普及の経済的影響も発表
Amazonは2024年12月16日、兵庫県への経済や社会への貢献に関するリリースを出し、2023年の単年で兵庫県に310億円以上の投資を行ったことを発表した。
ECを開始した兵庫県の企業の売上伸び率は年に約1.6%上昇
2023年単年での310億円以上という投資額は、2012年から2023年までの期間の兵庫県への総投資額1370億円超の20%以上に相当。この中には設備投資と、顧客や配送パートナー、中小企業向けプログラムの拡充、従業員の報酬などの事業運営費が含まれている。兵庫県は日本国内の中でAmazonによる投資が多い県のひとつであり、Amazonは、2020年に兵庫県初の配送拠点であるデリバリーステーションを尼崎市に開設して以降、同県への投資を加速させてきたという。
合わせてアマゾンジャパンからの委託研究として実施された国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)による調査結果も発表(※1)。過去1年から9年前のタイミングで、ECを開始した兵庫県の企業は開始後、平均して売上伸び率は年に約1.6%上昇することも報告。一方、ECを行っていない企業に増減は見られなかったという。
全国の小売業(EC実施の有無にかかわらず)の2015年から2023年の売上増加率の中央値は−0.08%(※2)であることと比較すると、ECの成長率が顕著であることがうかがえるだろう。
また同調査では、ECを契機に事業が拡大するにつれて採用を増やすことも判明。兵庫県ではECの開始4年目以降は平均2人新たに採用しており、これは全国平均の2倍にあたるという。さらに、ECの開始後、兵庫県の企業の売上増加率は底上げされる一方で、月間平均労働時間は全国平均1.3時間の減少を上回る2時間減少していることから、ECが生産性の向上につながることも明らかにしている。
※1:調査主体:国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(アマゾンジャパンからの委託研究)、調査期間:2024年8月、調査方法:インターネット調査、調査対象:全国20歳以上の男女、サンプル数:全国10万人
※2:Nikkei NEEDS 法人企業統計データをもとに算出
兵庫県の企業にビジネス成長の良い循環をもたらしている
GLOCOM 主幹研究員 田中辰雄氏は、兵庫県のECに対する調査結果について以下のようにコメントしている。
「ECは企業の売上と生産性を向上させ、それにより企業は得た利益を再投資してさらなる雇用を生み、従業員のスキルアップを図り、事業を継続的に成長させていることが読み取れます。ECは兵庫県の企業にビジネス成長の良い循環をもたらしていると言えるでしょう」
また、アマゾンジャパン 社長のジャスパー・チャン氏は本件について以下のようにコメントする。
「Amazonは、今後も兵庫県への投資を通じて地域経済に貢献し、地元の販売事業社様のビジネスを支援し、そして兵庫県にお住まいのお客様の生活そのものを、さらに豊かで便利なものへと変革できるよう努めてまいります」
2020年以降、兵庫県への投資を加速させてきた
2020年以降、同県への投資を加速させてきたというAmazon。2022年には尼崎市に商品保管容量約100万立方フィート、延べ床面積10万m²以上を持つ西日本最大の物流拠点であるフルフィルメントセンターを、2023年には神戸市長田区に新たなデリバリーステーションを開設しており、今回のリリースでも同県を「Amazonの地域社会への貢献において、極めて重要な地域」と位置付けている。
また、2023年には「Amazon尼崎FC」内に自然災害により被災した人々へ迅速かつ効率的に支援物資を届けるための拠点となる「Disaster Relief Hub」を設置。支援物資には、モバイルバッテリーや衛生用品など約50種類、約1万5000点の災害支援物資が含まれるという。
またリリースでは、アメリカの経済・戦略コンサルティング会社Keystone Strategyによる、Amazonの投資により2023年に兵庫県において、間接的な働く機会を5000以上創出したという試算も紹介している。今回の発表内容は、ECが社会に与える影響、そして地域経済の成長に貢献している事例といえそうだ。