ロボットが物流を変える。小規模でも短期でもお試しできる、ギークプラスの物流サービス
テクノロジーの進歩とともに、機械化・オートメーション化が進む物流の現場。株式会社ギークプラスが提供する棚搬送型ロボットは、それを象徴するプロダクトだ。
例えばピッキング作業においては、これまでは人が商品を探して取りに行っていた。ところがロボットを使えば、人が動かなくても向こうから商品がやって来る。今回はそんなスマートロジスティクスの最前線をご紹介。株式会社ギークプラス 代表取締役社長 佐藤智裕氏に、同社が運営する物流サービスの概要を聞いた。
自社で物流事業も展開。棚搬送型ロボットのトップランナー
――ギークプラスの事業概要を教えてください。
佐藤氏:ギークプラスは2015年に中国の北京で創業した会社で、日本法人は2017年に設立しました。棚搬送型ロボットの販売を主要な事業としています。当社が棚搬送型ロボットを発売した当時、日本ではほとんど普及していませんでしたが、現在では当社のロボットは2,000台以上の販売実績があり、75%以上のシェアを獲得しています。
ご利用いただいているクライアントは大手企業が多く、スポーツブランド、家電量販店、自動車メーカーなどさまざまな業界のお客様にご好評いただいています。
――自社で3PLの事業も展開されているそうですね。
佐藤氏:物流倉庫にロボットを導入して費用対効果を得るには、ある程度まとまった物量が必要です。そのため、これまでは先述のような大手の事業者様しか導入できませんでした。
そこで当社では、自社で物流サービスを立ち上げ、荷物の量が少ない小規模の事業者様でも、ロボットによる高効率な運用を実現できる環境をご用意しています。今は自分たちでロボットを導入することが難しくても、早い段階から効率的な物流体制を提供することで、一緒にECの事業をグロースさせることを目指しています。
短期・小ロットのニーズに応える
――ギークプラスにはどのような相談が多く寄せられますか?
佐藤氏:低い作業効率や人手不足などによって物流が足かせになり、ビジネスを伸ばすことができないと感じている事業者様が多い印象です。販促やキャンペーンを展開したいけれども、1日の出荷量に制限があるために施策を打てない、というのはよくあるお話です。
小規模の事業者様ですと、フルフィルメントの体制が構築できておらず、自分たちで発送しないといけないケースもあります。小ロットだと受け付けてくれない倉庫も少なくありません。
もう少し根本的な課題でいうと、繁閑差の問題も挙げられます。一般的に物流をアウトソーシングする際は、リスクヘッジのために繁忙期の物流量に合わせたスペースを借りないといけません。多くの事業者にとって、「忙しい時だけ広い倉庫を借りたい」というのが本来のニーズでしょう。
――ギークプラスの物流サービスは、これらの課題を解決できるのでしょうか?
佐藤氏:こういった課題を解決するべく立ち上げたのが、当社のロボットを活用した物流センターです。投資の面でハードルが高かったロボットを複数の事業者様でシェアすることで、省人化と効率化を実現。契約期間は1日から、荷物は1ピースという小ロットから物流のご依頼をお受けできます。
とあるアパレル会社様の事例ですと、年末から1月中旬にかけて福袋の企画を展開された際に、当社のロボット物流をスポットでご利用いただきました。
――1日・1ピースから対応可能とはいっても、導入時の手間や費用などが気になります。
佐藤氏:導入は非常にスムーズですし、初期費用もかかりません。それは、ロボットの存在によって、オペレーションが簡略化・統一化されているからです。
お客様ごとに仕組みを構築しなくても、ベースのフローが確立されているので、準備期間がかかりません。導入直後のスタッフのトレーニングを必要としないので、すぐに運用をスタートできます。ロボットゆえに1日目も1年後も同じ効率でサービスを提供できるのです。契約期間の縛りがないのも、そのためです。
もちろん繁忙期のみのご利用も歓迎です。事業者様が高効率・高品質な配送サービスによって差別化を図り、売上を伸ばしていくこと。当社はそれに貢献したいと考えています。
――ちなみに倉庫の中は、どのような仕組みになっているのですか?
佐藤氏:基本的な仕組みは、ロボットが商品の入った棚を持ち上げて、検品・梱包作業者のところまで運んでくるというものです。
従来の物流倉庫では、ピッキングの作業者はまず商品を探して、その場所まで倉庫の中を歩いて移動して、商品を取ってまた戻って来なければなりません。この一連の作業の中で、およそ7割から8割が“歩いている”時間だといわれています。この歩きまわる作業をゼロにするのが当社のロボットです。
全ての棚の中身はシステムで管理していますので、迷うこともありません。エリアごとに置く商品をカテゴライズしたり、人間が通るための広い通路を確保したりといった必要もありません。人間の導線は考えなくて良く、省スペースで一つの棚に複数の商品を混在させられるため、保管効率にも優れています。
「早い・正確・低コスト」をロボットが実現
――利用できる商材やサイズの制限はありますか?
佐藤氏:当社がご用意した棚に入るものであれば、どのような商材でも大丈夫です。
通常サイズの商品はもちろん、アパレルならハンガーラックのような形式にしたり、小物用に細かく仕分けしたりすることも可能なので、アクセサリーのような小さなサイズから160サイズの大きなものまで幅広くお取り扱いできます。棚板は外せるので、長尺など変わった形の商品にも対応可能です。ECで販売される商品であれば、ほぼ全てお取り扱いできるといってよいでしょう。
荷受け、保管、在庫管理、出荷の各工程は細かなオーダーにも対応できます。SKUの多い事業者様、リアル店舗も運営されていてBtoBとBtoCの両方の配送が必要な事業者様などにもご利用いただけます。
――サービスの品質面についてはいかがでしょうか?
佐藤氏:発送までのリードタイムについては、お昼までに入った注文データは、基本的に当日に出荷できます。ロボットの稼働が効率的なのもあるのですが、夜間も少人数で運営可能なことも要因になっています。神奈川県内に倉庫を設けており、圏央道からのアクセスが良く、スピーディーな配送網の構築をサポートします。
スポットでのご依頼をお受けするために、システム開発の期間やコストはいただきません。システムについては、事業者様がすでにお使いのWMSとのデータ連携から、CSVで受注データをメール送付いただくケースまで柔軟に対応します。
商品のスキャンをピッキング時と出荷前の2回行うなど、誤出荷を防ぐための仕組みも整えています。ロボットで作業を効率化している分、そういった配送品質にコストをかけています。
早い・正確・低コストな配送を実現し、物流をEC事業者様の“強み”としていただける運営体制をご用意しています。
ロボットの普及が、人の成長にも貢献する
佐藤氏:現在は神奈川県内の1拠点のみですが、今後は場所や時間を問わずにオペレーションを構築できるロボットの強みを活かし、拠点を増やしてより広範なネットワークを構築していきたいと考えています。
全国に拠点ができれば、今以上にお気軽にロボットを試せるようになり、ロボットの生み出す価値を知ってもらえるチャンスも増えます。事業者様にとっては、自社の物流を改善するためのヒントになるでしょう。
また、ロボットが普及することで、これまでピッキングの“歩く”作業に多くの時間を費やしていたスタッフが、空いた時間で別の業務に従事することで、新しいスキルが身に付く。当社のプロダクトを通して、そういった人としての成長にも貢献していきたいと考えています。