ECサイトへリピートを促す「おもてなし」施策とは。LINEやメルマガを活用しお店の“ファン”作りを意識

名古屋 和也

こんにちは!Webマーケティングツールや店舗集客ツールなどを提供しているSO Technologies株式会社(以下、SOT)にて、店舗事業者向けの集客支援領域を統括している名古屋 和也です。

本コラムでは、アフターコロナに向けて、小売事業者が直面するEC関連の課題とその解決法についてご紹介しています。

第3回では前後編に分けて、店舗に来店したお客様をECのお客様としてリピーターしてもらうために、小売店ができる具体的な施策をお伝えしました。

第4回は本連載の最終回となります。第3回までで「実店舗で集客強化してECサイトを案内し、ECでのリピートを目指す」ための対策を整えたあと、実際にECサイトで購入いただいたお客様にどのようなフォローをしていくのか、その手法をご紹介します。

情報協力: ソウルドアウト株式会社 マーケティングカンパニー 執行役員COO 浅見 剛

▼他、連載記事はこちら
第1回:アフターコロナに向けて今、小売業は何をすべき? 最大の課題は「実店舗とECの両立」
https://ecnomikata.com/column/33582/

第2回:顧客体験を向上させるために必要な考え方を知る。OMOの概念を念頭においたツール活用を
https://ecnomikata.com/column/33940

第3回(前編):店舗に来店したお客様をECへ誘導するために小売店ができる具体施策とは(前編)まずは実店舗を活用!店舗集客を強化しよう
https://ecnomikata.com/column/34415/

第3回(後編):店舗に来店したお客様をECへ誘導するために小売店ができる具体施策とは(後編)まずは実店舗を活用!店舗集客を強化しよう
https://ecnomikata.com/column/34436/

3章のまとめ

第3回では、以下の内容を解説しました。

・実店舗とECを両方利用してもらうためにできることとして、①実店舗の集客強化、②ECサイトへの誘導につながる施策を推奨
・店舗集客には、無料で実施できるGoogleビジネスプロフィールやSNS活用がおすすめ。特定業種によってはオンラインチラシの活用、自社アプリ開発なども有効。
・ECサイトへの誘導には、GoogleビジネスプロフィールでのECサイト連携やフィード広告の活用、リアルでのアプローチとしてチラシやSNSのご案内も実施すべし。

ECサイトでもおもてなしの心を忘れず、ブランドのファンを作る

第3回までのコラムでは、実店舗・ECを両立させていくための具体的な施策として、第一に実店舗への集客強化、第二にECサイトをご案内する体制づくりと、順を追ってご紹介してきました。

アフターコロナに向け、実店舗・ECともにご利用いただける環境を作るためには、ECサイトでリピートいただいたあとの対応も重要です。Web上でのコミュニケーションにおいてもしっかりとお客様におもてなしできるよう、十分な施策を実施しましょう。

ここでは、第三の具体施策として、主なアフターフォロー施策をご紹介します。

【3】アフターフォロー施策

ECサイトで購買されたお客様には、会員情報の登録をしていただくケースが多いでしょう。おすすめの施策としては、LINE公式アカウントの活用やメールマガジンがあります。また、WebだけではなくDM(ダイレクトメール)や同梱物で競合に差をつけることも重要です。

メールマガジン

すでに行っている小売事業者も多いと思いますが、実店舗に来店したお客様やECサイトへの会員登録などを促し、登録されたメールアドレス宛に定期的な情報発信を行うメルマガは根強いツールです。「mailchimp」や「SendGlid」など、無料から利用できるツールも多数あります。

業種や価格帯によって適切な頻度は異なるため、A/BテストやHTML利用できるか、ステップメール機能があるかなど、自店舗に必要な機能や、ベストな配信方法を模索していく必要があります。メールマガジンを利用して、新商品や季節に合わせた商品のご案内など、様々な切り口で実施しましょう。

また、購入後のアプローチではありませんが、メルマガツールによってはカゴ落ち商品を自動でリマインドしてくれる機能もあります。ショッピングカートに商品を入れたまま放棄するケースは6割以上*と言われており、迷っている方に向けての後押しとしても、メールでのリマインドは侮れません。

同梱ツールの活用

せっかくお送りする商品があるのであれば、Web上の施策に加え、同梱物に工夫を加えることも検討しましょう。

多少のコストはかかりますが、サンクスカードや次回利用できるクーポンの封入、新商品のチラシやサンプル、カタログなど、自店舗ならではのアイテムを同梱することで、開封した際に+αのワクワク感を与えることも可能です。同梱物はほぼ確実にお客様に見ていただけるため、一度購入いただいたお客様にご案内したい情報を届けるためにも有効です。

また、段ボールに工夫を加える企業も増えています。オンライン飲みなどと相性の良いフードデリバリーサービス「nonpi foodbox」では、段ボールを切り取ってコースターにできるようにするなど、受け取ったお客様が喜ぶよう工夫されています。

DM(ダイレクトメール)

購買されたお客様に、後日はがきやチラシ、お手紙などを送付することも有効です。インターネット広告の台頭によりニーズが下がったとされていますが、メールの受信BOXに埋もれることのないDMは商品のご案内にまだまだ有効です。

【4】アフターフォローにもCRMとしても活躍する「LINE」活用

ファン作りに欠かせない施策として有効なのが「LINE公式アカウント」の活用です。対応できる機能の幅が広いため、今回は無料でできる施策をご紹介します。

本項目は、ソウルドアウト社にてLINE事業を統括する浅見氏による情報提供を含みます。

ステップ配信
ステップ配信は、友だち追加日からの経過日数や設定した条件に応じて、複数のメッセージを自動で配信することができる機能です。 店舗来店時に友だち追加を行ってもらった場合、店舗来店日を起点に追客メッセージを配信することが可能です。

*参考:LINE for Business「ステップ配信」機能の基本と業種別のおすすめ設定を紹介

クーポン
自店で提供できるインセンティブ内容を特典としたクーポンを無料発行することが可能です。友だち追加時のあいさつメッセージのほか、従来のメッセージ配信、LINE VOOM(旧タイムライン)などでも掲出することができます。ユーザーは、再来店時に画面提示することで割引やプレゼント等の特典を受け取ることができるため、再来店・リピート購入への後押しとしても有効です。

*参考:LINE for Business 「LINE公式アカウントでクーポン配信|集客・販促に役立つ賢い使い方」

ショップカード
自店舗で提供できるインセンティブ内容を特典としたクーポンを無料発行することができる機能です。友だち追加時のあいさつメッセージのほか、従来のメッセージ配信、LINE VOOM(旧タイムライン)などでも掲出することができます。
ユーザーは、再来店時に画面提示することで割引やプレゼント等の特典を受け取ることができるため、こちらも再来店・リピート購入への後押しとして有効です。

このほかにもLINE公式アカウントで実施できる施策はたくさんあるので、可能な範囲で活用を進めていくと良いでしょう。

実店舗でもECでも、顧客が楽しめる世界観を構築しよう

「ECサイトで購入した商品を実店舗で無料点検可能」「店頭で購入後、1ヵ月以内にECサイトで購入するとサンプルプレゼント」「店舗で購入時にECサイトで利用できる割引クーポンを配布」など、実店舗⇔ECサイトを連動させる方法は多くあります。

第2回でもご紹介した眼鏡販売チェーン「Zoff」の例のように、LINEを活用して顧客情報をデータで一元管理し、オンライン・オフラインの両方の強みを活かす仕組みを、できるところから模索していきましょう。

また、いまはGoogleビジネスプロフィールのクチコミやレビューサイトなど、ユーザーからのクチコミ情報が豊富にあります。Web上の評価は、店舗選定に大きな影響を与えるだけでなく、実店舗もECサイトも、最終的にブランドの評価につながります。コロナ禍が落ち着いたとしても「実店舗が活発になり、ECサイトの在庫が補充されないまま放置されている」といった状態にならないよう、体制を整えていくことをおすすめします。

まとめ

店舗ビジネスは、その特性上、どうしても商圏に売上が限定されてしまいますが、ECを組み合わせることで、売上アップのポテンシャルを引きあげることができます。
また、新型コロナの感染拡大のみならず、災害などを含めた様々な理由で、今後、お客様が店舗に来訪できない状況は起こる可能性があります。そのような場合にも備えて、小売事業者の方には店舗のお客様をECに誘導するための施策も少しずつ整えていくべきであると筆者は考えています。

特に、これまでデジタルツールをあまり活用できていなかった小売事業者にとってはハードルが高く感じるかもしれません。しかし「顧客体験の向上」をテーマに、目指したい状態が明確になれば、その実現に向けて支援をするツールベンダーや支援会社が開催している無料セミナーも多くあります。まずは適宜情報収集しながら順番に対応していきましょう。

この機会に、店舗の施策を見直し、Web施策やツール活用を検討してみてはいかがでしょうか。
第4回までご覧いただき、ありがとうございました!


著者

名古屋 和也

1991年生まれ。東京都浅草出身。2014年ソウルドアウト株式会社に入社。広告クリエイティブの制作部門、広告運用オペレーション部門、広告代理営業部門を経験。2019年に株式会社テクロコ(現SO Technologies株式会社)に異動し、店舗集客支援サービス「ライクル」のプロダクトマネージャーとして従事。2020年1月よりサービス開発部 部長を経て、2021年1月より現職。