ZOZOTOWN運営担当者必見!売り上げUPと粗利確保出来る運営方法とは?

小松崎聡美

アパレル業界が不振にあえぐ中、未だ急成長をし続けるZOZOTOWN。
存在は知っているが出店するにはハードルが高い、出店しているが何をすれば売れるのか分からないというメーカーは多いのではないでしょうか。

そもそもZOZOTOWNとは?ZOZOTOWNで売り上げを上げるには?

レディースアパレルブランド「GRL」を立ち上げ、年商30億円まで成長させた経歴を持ち、現在はコンサルや運営代行としてECサイトの売り上げを上げ続けているファッションECのスペシャリストJECCICA松本順士理事がZOZOTOWNを丸裸にしました。

アパレルメーカーの活路を開く道しるべになるかもしれません。

今さら聞けないZOZOTOWNとは?

今さら聞けないZOZOTOWNとは?

株式会社スタートトゥデイが運営する人気ブランドを集約したフルフィルメント型のファッション通販サイト。多くの有名アパレルブランドが参入しており、取り扱いブランド数は1600以上。ファッション誌のようなコーディネートを参考にしながら購入出来ることが特徴です。違うブランドをまとめて買うことが出来る他、ツケ払い等の独自のサービスを導入することで話題になっています。


■ZOZOTOWN概要

1969億円、前年比33%増、営業利益は某大手百貨店を凌ぐ。
メーカーに場所を提供して手数料で利益を得る。
単価は低めで4,858円。1出荷単価は9,043円。1万円を超えるブランドが多い中、意外と客単価は低い。
送料の改定があったが、それでもZOZOTOWNの送料は安い。
ZOZOスーツが出来た他、物流センターの拡張を予定。

既存ブランドだけでなく、店舗を持たず楽天等で成功したアパレル店舗の出店も増えてきている。

男女比3:7

アクティブ会員の年間購買額は11回47,000円ほど。




閲覧履歴やクーポンを取得すればメールでお知らせが来る等、他モールでもやってることが行われ始めてきました。ということは他モールでの運用をZOZOTOWNにも用いれば良いのです。他モールの仕組みを知っているならZOZOTOWNも難しくないと考えます。

まずは始めるにあたり競合他社の分析を行い、自社にとって出店すべき場所はどこなのかを吟味します。
・売り上げに対するEC化率から試算する
・高機能分析ツール:Nint等を用いて売り上げの他、広告や売れ筋、キーワードの実績データの収集
・データを考慮しモールでやるべきなのか、自社なのか、ZOZOTOWNなのか判断する



では実際にどのように始め、運営していけば良いのか?


意外と出来ていないファッション業界全体に通ずるZOZOTOWNの基本業務

日々業務に追われていると意外と基本的なことが出来ていないことが多々あります。
基本を実践すればZOZOTOWNだけでなく、会社全体の業務の向上にも役に立つのではないでしょうか?

ZOZOTOWNを始めると管理画面での分析が見れるようになりますが、これがとても優秀なものになります。それを活かさない手はありません。

・自店だけでなく競合も含め売れ筋が分かる
・現在・過去も含めどのような商品が売れていたのか
・全店舗の売り上げ、販売個数
・発送や在庫管理に関するアラートが出て、それ通りに行えば基本的な業務が行える


しかし、やるべき日常業務がやれていない店舗が多く、売り上げが思うように伸びないと悩んでいことが多いのです。
ZOZOTOWNへの在庫入荷指示、商品登録指示、在庫切れチェック、キーワードの登録、コーディネート登録等この基本業務を毎日キッチリ担当者が出来るかどうかがポイントです。
売れている店舗はこの基本業務をしっかりやっているからこそ売れているのです。

主な日常業務の例

それはZOZOTOWNに限らず他モールや実店舗の運営にも共通したものですが、実際には出来ていない店舗が多いのです。
「やりたいけど内容によって部署が変わって出来ない」
「変えたいけど変えられない」
ある程度の規模以上の会社ではこのようなことが多々あります。そのような時こそ自分たちのようなコンサルがしっかりと会社の指針を示すべきと自分は考えています。

例えばSNSを始めたいが始めるために社内調整に数か月単位で時間がかかる・・・これではコーディネートを載せることも出来ず、売り上げにもつながらないのです。
またZOZOTOWNではMD業務が非常に重要です。どのような商品を売って行くかEC部門だけではなくMD部門も巻き込まなければいけないのです。

そしてもっとも重要なことが在庫管理。
これを出来ていない会社が圧倒的に多いのです。在庫管理が出来ないと売れ筋の在庫切れを起し、売れているタイミングを逃し、ひいては売り上げ減につながるのです。
たとえ在庫が実際に切れていたとしても近日の入荷が決まっているのならば、予約販売に切り替え売り逃しを防ぐことも出来ます。
入荷予定がなくても関連商品を紐付けることで他の商品に流すことも出来ます。

また、ZOZOTOWNはメイン画像が特に重要です。ただ商品単体を載せるのではなく、コーディネートを載せる、そのコーディネートもいつも同じものではなく変えて行く必要性があります。
メイン画像を変えることも基本的な業務フローの一つとして行うのが良いでしょう。

このような基本業務は誰にでも出来るようにするのがベスト。
朝にやることを考えるのではなく、リスト化するなどして、やるべき業務フローを視覚化すれば誰が休みでも日々業務が滞ることがないようにするべきです。

ここまで教えていいの?ZOZOTOWN運営実践編

バックヤードの基本を押さえたところで、実際にページではどのような施策を行えばよいのか?
松本理事がその手法を惜しげもなく披露しました。

ここからは運営実践編です。


モールの場合は検索から商品ページに来るのが圧倒的でトップページはあまり重要ではないのですが、ZOZOTOWNは反対でトップページが一番アクセスが多くなります。
アクセスが多い場所を重点的に作業を行うことが最重要課題になります。

・検索流入
 ⇒多くのブランドが公式サイトから商品を移行したまま商品名を何も変えていないことが見受けられ、それでは埋もれてしまう

・クーポン、タイムセール、ショップニュースの更新
 ⇒何もしていなければ露出は益々減る

・適切なカテゴリの登録
 ⇒カテゴリから下ってくるお客様を取りこぼしている

・サムネイルの最適化
 ⇒クリック率によってサムネイルを変える

・ランキングに入れる商品作り
 ⇒クーポン発行・ランキング掲載の戦略アイテムを作る
  多くの場合は店頭販売している商品と共通のものを販売しているのが現状
  しかし共通商品は価格の融通が利かず、クーポンやポイント、タイムセール等の施策が出来ない
  ネット専用商品を作ることで価格を自由に変動させることが出来る
  一年中売れるものならランキングを取りやすく、お気に入りの数も増やせる

・メイン画像
 ⇒とりあえずやってる感がある店が多い
  魅力的な商品を並べなければ意味がない
  ショップコーデをどれだけしっかりやれるか
  いかにクリックしてもらえるようにするか

・関連アイテム
 ⇒放置している店が多い
  せっかくクリックしても売り切れでは意味がない

・ショップニュース
 ⇒こまめに更新することと、上げるタイミングを考える

・WEAR.jpの活用
 ⇒コーデ画像から商品ページに飛ぶことが出来る
  今は雑誌ではなくWEAR.jpやインスタを参考にする人が多い
  魅力的なコーデの登録
  ハッシュタグをきちんと入れる
  ユーザーの投稿で自社のハッシュタグがあまり使われていないようなら人気が無いということ


PC・スマホと色々作り込まなければいけないモールに比べて、ZOZOTOWNは商品ページでやるべきことが固定化されているので、きちんと更新していくことが大事です。


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ここでは全てお伝え出来ないくらいに辛口コメントを交えた具体的な手法のレクチャーに、参加した多くのファッション関連会社様も真剣にメモを取られていました。


巻き込み作戦でブランディング

巻き込み作戦でブランディング

特にZOZOTOWNはコーデの重要度が高いのでコンスタントに登録して行く作業が必要になります。それには社内での撮影が必要。担当者を社内で募集していく必要があります。
始めは恥ずかしがる人が多いですが、いいねがつくようになると徐々にハマって楽しくなる人が多いので、楽しめるということは必然的にコーデを登録する頻度が上がります。


また、そのブランドを好きな人はどういった人が商品を作っているのだろうかと期待感があります。
その期待感を損なわないように会社の代表や役員ではなく、カリスマ店員や広報などブランドのイメージとマッチする社員を表に出していくこともブランディングの一つです。

WEAR.jpやインスタにWebスタッフだけでなく、店舗スタッフにも参加してもらい、ブランドのイメージを体現するようなコンテンツ作りがファンを増やすことにつながります。
カリスマインフルエンサーを起用するのもいいですが、スタッフ自らがインフルエンサーになることによって、より身近なものに感じられ、共感から売り上げにつなげるのです。


大事なことなのにどんぶり勘定!?在庫管理の実態

「在庫回転率」をご存知でしょうか?
在庫回転率とは1年間に商品が何回転したのかを表す指標です。
物販に携わる方なら1度は先輩から教わったり、研修を受けたことがあるかと思います。
しかしながら、物販の要とも言える在庫管理を担当者の感覚やどんぶり勘定でなんとなく管理している会社が圧倒的に多いのです。

回転数が多ければ良いのですが、少なければ売り上げを増やすか在庫を減らすかしなければいけません。その為には感ではなく、しっかりと数字を把握することが重要となってきます。

売れない商品を適切なタイミングでマークダウン(値下げ)する必要が出てきますが、商品毎の回転率を考えず、利益の取れる商品までクリアランス等で一律で値下げしているアパレルメーカーが多いのが現状です。

反対に回転率の良い売れるものは追加発注を"すぐ"に考えなければいけません。
追加でなくてもWebでは売れており足りないが店頭では余っているものをWebに集約させるという作業も必要になります。

また、回転率が悪いのに粗利率も悪い商品には特に注意が必要です。
このような商品が倉庫にどんどん溜まっていけば必然的に在庫を圧迫し、在庫過多で倒産してしまう場合もあります。しかもこういった商品はいくら値下げしても値下げしても売れない場合が往々にしてあります。

値下げしても売れないものをいつまでもサイトに載せておく。するとどうなるか?
その商品を買ったお客様が何年も処分品としてサイトに載っている状態を目にしてしまい、残念な思いから不信感にもつながります。
ですのでそのような状態になる前に早めに処分をしなければいけません。

売れない商品をどのくらいの期間でどのくらい段階的に下げていくかが非常に需要となってきます。




粗利はその商品自体の原価率だけに目が行きがちですが、入庫してから無くなるまでの物流の場所代等も考慮する必要があります。
売れずにそこにあるということはそれだけコストがかさみ、より粗利率が低くなるということです。

値下げをするタイミングを見極めること。どうしようもない商品は早急に処分することが必要不可欠です。
それにはきちんと数値化すること、経過をしっかり観察すること、在庫処分フローを作ることを実践してください。

最後に・・・

今回はZOZOTOWNでの運営方法をお話ししましたが、本当に売れているブランドはモールにも出さず、自社サイトだけで売っています。
様々な購入手段が増える中、現在売れている販売の形が通用しなくなる時が来るかもしれません。だからこそ、自社のブランディングをしっかり行い、自社サイトでの販売の軸を作り上げていかなければなりません。それは自社だけで行ってもいいですし、運営代行やコンサルを入れてもいいでしょう。
ここ数年ではモールに依存した売り方から自社で売る大切さが改めて見直され、自社サイトに力を入れている店舗が増えてきました。

また、モールがブランドの誘致を進めており、モール内でもブランド公式ショップが目立つようになってきました。
仕入型の店舗は今後さらに厳しくなる可能性があります。だからこそ、自社のブランドをしっかりと確立することが大事なのではないでしょうか?

ブランドが確立され、価値が上がれば、仕入れたい・使用したい等おのずと声がかかるようになるのです。



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ファッションECというと華やかなイメージがありますが、実際はコツコツと地道な作業を日々行い続けて行くことがとても重要になります。
松本理事の講演は複雑な施策をするのではなく、基本的なことをしっかりと押さえればおのずと売り上げにつながることを再確認させてくれる内容でした。
分かっているけど出来ていない、耳の痛かった店舗様も多かったのではないでしょうか?

特に厳しいと言われるアパレル業界ですが、まだまだ出来ることがあり、売り上げを伸ばすことが出来る可能性があります。
松本理事のファッションECに対する真摯な思いが伝わってくるとても濃い内容のセミナーとなりました。




JECCICAで毎月開催されるセミナーでは最新情報や売り上げアップにつながる内容が聞ける他、セミナー後の交流会では松本理事を始め、理事・講師陣と直接話すことが出来ます。規模の大小や取り扱いジャンルは問いませんので、お悩みのある店舗様はぜひ一度参加されてみてはいかがでしょうか?

交流会の様子

EC業界の人材育成と成長を支えるジャパンEコマースコンサルタント協会(JECCICA)

https://jeccica.jp/



松本順士
JECCICAジャパンEコマースコンサルタント協会理事・特別講師
エスアンドティーパートナーズ株式会社 代表取締役

1997年 17歳の時に当時BBSを使いネットでアパレルの販売を開始。
2004年 EC運営会社 アートデコ株式会社を設立
2007年 レディースアパレルブランド 「GRL グレイル」を立ち上げ
2008年 初年度売上4億円を突破
2011年 年商30億突破
2011年4月 アートデコ株式会社を売却
2011年6月 WEB・EC業界を変えるため、コンサルティング業を開始する。
2013年1月 コンサルティング流通額 60億を突破
レディースアパレルブランド 「GRL グレイル」の元代表取締役
GRL グレイルを4年で30億の売上を上げたノウハウでWEB・ECコンサルティングを行っている。
・ウレル運営代行
・ウレルサイト制作
・ウレルプロモーション
・人材育成から、システム設計
WEB・ECで物を売るためのことをすべてコンサルティング


著者

小松崎聡美 (Satomi Komatsuzaki)

EC-Dips代表、JECCICA ジャパンEコマースコンサルタント協会 参事
会社員時代に複数店舗の統括や月商7000万を達成した経験から支援側に転向。運営コンサルの他、店長代行やSNS集客、業務効率化、実践的なアドバイス等の現場に寄り添ったコンサルティングを行う。