断捨離の一歩手前?未来型ミニマリストとECへの影響

ECのミカタ編集部

増加中のミニマリストとは?

 ミニマリスト。この単語を聞いてピンと来る人はどれだけいるだろうか。ミニマリストは、現在の日本の消費状況にも影響を与えるような、そんな存在である。そしてミニマリストたちの考え方は、社会へ大きな影響を与え、多くの人々の共感を呼んでいる。

 さて、ミニマリストとは、どのような人の事を指すのだろうか。それは、無駄をできるだけ削り、必要最低限のモノだけで暮らしている人々である。現在、部屋には少ないモノしか置いておらず、シンプルライフを送っているミニマリストに憧れの念を抱き、目指す人が増加している。そして彼らは、「断捨離」と呼ばれる片付け法で身の回りのモノを捨てていく。本当に必要なモノ以外捨て、商品も必要最低限しか購入しないのだ。

ミニマリストがECへもたらす影響。

 このミニマリストの増加は、個人消費が落ち着いてきたと言われる日本の中で、消費額が落ち込んでいる要因の1つとされている。その消費額の低下は、EC業界も例外ではない。厳密に言うと、EC業界でのBtoC市場規模は成長しているが、伸び率が鈍化している。

 経済産業省が発表した2015年度の「電子商取引に関する市場調査」によると、2015年のBtoC市場規模は13兆7746億円、前年比で7.64%増えている。しかし過去5年間でBtoC市場規模は前年比10%以上で成長してきたことを考えると、鈍化していると言えるのだ。やはり必要な物しか買わず持たずしたミニマリストが増えたことは、EC業界でも商品購入の機会を減らしているだろう。

 またミニマリストとフリマアプリは、近いものがあるように感じる部分がある。フリマアプリは消費者購買心理の変化をもたらしているが、その具体的な行動とは、必要なくなったモノはフリマアプリで売る、最初から売ることを意識して買う、モノをシェアする、といった具合だ。特に、必要ないモノは手元から離すという消費者購買心理は、ミニマリストと親和性が高いように感じる。

断捨離の一歩手前を。trunkスタート!

断捨離の一歩手前を。trunkスタート!

 そんな中で近未来のミニマリストを想像させるような新しいサービスが、株式会社トランク(以下、トランク)から、2016年8月10日にリリースされた。そのサービスの名は「捨てない断捨離アプリ trunk(トランク)」(以下、trunk)である。ミニマリストへ憧れを抱く人が増加する一方、シンプルな生活を送りたいが、モノが捨てられないという人も多いのではないだろうか。

 「断捨離をしよう」と思ったはいいものの、「いつかは使うかも知れない。」「思い出の品だから捨てられない。」「勿体ないから、取っておいて誰かにあげよう。」そんな想いで一向に片付かなかった経験はないだろうか。少なくとも筆者は経験がある。(しかも一度ではない。何回も。)思い出の品に浸ったりなんかして、時間だけが過ぎてゆくのだ。

 やはり、モノを思い切って捨てるという行為はなかなか難しい。しかしtrunkは、そんな人々に断捨離の一歩手前を人々に提供する。なぜなら、クラウド型の保管サービスであるため、捨てずに自分の手元からモノとお別れすることができるからだ。

未来のミニマリストを攻略する。

 その画期的なサービスは、ワンコインで始めることができる。アプリから収納依頼をすると、収納専用ボックスが届く。1ボックス、500円(税別)だ。あとは、収納したいモノをボックスに詰めて集荷依頼をし、愛着の湧いたモノとしばしの別れを告げるだけ。

 収納依頼されたモノは、撮影センターにて一点ごと撮影し、アプリから画像をチェックすることができる。自分の捨てられなかったが手元には必要ないモノが、スマートフォンの中に収納されるのだ。それはまるで、シンプルな生活を送るために、自分の倉庫が架空の場所に現れたようではないだろうか。

 また、収納しているモノを自分の手元に戻したくなった際は、ユーザー画面から数タッチでアイテムごと、ボックスごとに指定の場所へ送付することができる。なお、大切なモノはSBSロジコム株式会社の大型物流倉庫オペレーションを活用し、品質管理される。

 そして注目したいのは、今後の展開。それぞれが預けているクラウド収納の中で、誰かにあげたり、一方でもらったり、フリマアプリのようなイメージで売ることができたり。そのようなことが実現していく予定なのだ。必要最低限のモノだけ手元へ、他は自身のスマートフォンへ。そしてスマートフォンの中の倉庫でも必要なくなったモノは、売って、プレゼントして。これは、近未来のミニマリストを想像させないだろうか。 また断捨離が出来なかった人でも、完全に捨てるだけではないため、ミニマリストになることができる。

 trunkは時代の流れを読んだ、人々のニーズを的確に捉えたサービスなのではないだろうか。trunkは近未来のミニマリスト達に、モノをただ捨てるだけでなく、必要なくなったモノをフリマ形式で売ったり、あげたりといった行動を促進させていくことが予想できる。

 その中で、どのようなモノがミニマリストの購入意欲を湧き立てるのか。購入して使用後、フリマへ出回ること前提として、どのようなモノがミニマリストに必要とされるのか。trunkが時代の流れを読んだように、ECサイトも時代の流れに沿った商品のニーズを読む。こういった行動が、近未来のミニマリストのECサイト利用率を上げる鍵を握るのかもしれない。


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