EC業界News1週間まとめ〜独身の日の結果はいかに?/楽天決算から未来を分析/ヤフーいい買い物の日他

石郷“145”マナブ

11/6〜11/12のニュースをギュギュッとまとめました。

こんにちは。メディア編集部石郷です。

今週読まれた記事はこちら。
独身の日当日!アリババ、驚異的な流通総額を記録!
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12108/
【速報】楽天、2016年度 第3四半期決算発表
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12082/
インスタが購入機能実装か、Facebookが公表。
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11975/
Amazon/楽天/Yahoo!で競合に勝つ!利益を生み出す価格戦略とは?
https://www.ecnomikata.com/original_news/12011/
【前編】中国3大電子決済を同時決済「nihao pay」
https://www.ecnomikata.com/ecnews/11684/

独身の日が今年も新記録!アリババ旋風が今年も

独身の日が今年も新記録!アリババ旋風が今年も

 今週の動きとしては「独身の日」関連のニュースが話題をあつめました。改めて説明すると「独身の日」とは1が並び、独身者の記念日で、そのシングルの人たちが楽しめる機会をというムードもあって、アリババがショッピングの日として大々的なセールを行うようになりました。

 では、今年はどうだったのかといいますと、2016年流通総額は1207億元、つまり日本円にして、約1.9兆円で過去最高記録を達成しました。これがどれだけのものかと言うと、2014年の楽天の年間国内EC流通総額が2兆円だったといいますから、ほぼこれに匹敵する数字を、アリババはたった1日で達成したということになるわけです。ECの発展を示すものであり、年々の拡大に伴い、中国の宅配を含め、倉庫、管理など、物流環境の進化もみて取ることができます。だからこそ、この市場は魅力を持ったものとして、脚光をあびるわけです。
 
 当然、この市場に対して海外の企業も着目するわけで、とりわけ、日本の商品が彼らに与えた影響も大きい。越境ECの国別流通総額では1位を獲得しています。これだけのポテンシャルを持った市場に対して、日本の影響力が高いということは、日本企業の出方次第で、その企業自体の成長も見込めるわけですし、それは中国のユーザーにとっても歓迎されるというわけです。

 それと個人的には、モバイル環境の進化も感じました。アリババの情報によれば、モバイル端末経由の流通総額は約989億元、総オーダー数は6.57億回、決済取引数は10億回でいずれも過去最高記録だったといいます。

独身の日に見るモバイルの躍進、可能性

独身の日に見るモバイルの躍進、可能性

 モバイルはショッピングとの距離を近づけてくれているように思います。これだけスマホが進化すると、一般家庭において、PCが必要なくなってきます。会社での仕事など、専門性を伴うもの以外は、大抵、スマホになっていくように思いますし、これだけの爆発力をもたらす環境を生み出す背景に、モバイルは欠かせなくなるでしょう。日本に限らず、スマホ対策をしておくことが、当たり前に重要になってくると思います。

 ちょっと余談ですが、やはり現実とリアルはそれほど、差がなくなってくるのだろうなと思います。それはどちらかが低下するという考え方に立つのは古い考えで、両方が当たり前のように存在していて、お客様の都合に合わせて、今日はネット、今日は実店舗、といった具合になってきているのではないかと思います。それは、スマホの手軽さのおかげで、の話です。

 リアルのショップはそのお客様の考えに合わせて、オンラインをやればいいと思うし、やるならスマホに力を入れてやるべきでしょう。逆に、ネットショップはリアルに出ていくことで、ネットだけでできないファン獲得をすればいいのではないかと思います。

 だから、思うのです。楽天は、逆にリアルに進出するくらいの考えでいた方が、いいのではないかと。ネット通販の業者を集めて、リアルにトライしてみようよと。うまいもの大会でのあの賑わいを僕自身、自分で出向いて、自分の目で見ているからこそ、リアルも大事だなと。そしてお客様は、リアルとネットを気持ちに合わせて行き来する、それがこれからのECの未来であり、小売の未来であるように思います。

楽天2016年の第三四半期決算を発表、その中身は?

楽天2016年の第三四半期決算を発表、その中身は?

 さて、その楽天ですが、2016年の第三四半期決算の発表がありました。売上収益は1兆9050億円(前年同期比4.2%増)Non-GAPP営業利益3020億円(12.1%減)となっています。事業別で見てみると、国内ECは売上収益7730億円(前年同期比6.7%増)ですが、営業利益が2070億円(17.3%減)となっています。

 爽快ドラッグ買収の話題もケンコーコムとあわせて、生活用品及び日用品の直販モデルを強化していくことが明らかにされました。ユーザーの訪問頻度を上げ、マーケットプレース全体に貢献販売する力をつけていきたいと決算資料にもありますが、思うに、ヤフーがLOHACOでそのジャンルにおいて直販モデルを確立しつつあることも念頭に入れてのことかなと思います。

 その他、全体を見ると、SPUプログラムを積極的に実行して、楽天市場としても多少なりとも負担の額が増えたとしても、店舗の売上を押し上げられるようにしていることがわかります。結果的にそれが流通総額を押し上げることに繫れります。それが新たな購買を呼び起こす。ただ、その為に、他のサービスで元は取らなければいけない。

 それゆえ、楽天は他のカード事業などのフィンテックにも力を入れることになります。こちらで安定した収益源を確保すれば、その分、ショッピングモールに還元できますから。カード事業に力を入れている印象は事実感じられます。でも言い換えれば、それは店舗を考え、身を削っている部分もあって、回り回って店舗に利益があるようにするためなんだよ、というのが、楽天の言い分なのではないかなと思います。

 しかしながら、こういう決算発表で流通総額が伸びているといっても、そこにカードの部分が入っていたりと若干見えづらい印象があります。実際に、店舗にとっては、EC自体はどうなのかという部分を見えやすくすることはこの決算しかり、楽天が店舗に対しての向き合う姿勢として重要じゃないかな、とは思いました。

楽天はこうあるべき?ヤフーのいい買い物の日は?そこは次のページで

金融との相乗効果の中に楽天の個性がある、だとしても・・・

金融との相乗効果の中に楽天の個性がある、だとしても・・・

 楽天は、色々考えると、ショッピングモールという部分から脱却し、インターネット事業と金融(=ネットに関係する金融)のパブリックカンパニーを目指すことになりそうです。楽天の会長三木谷浩史さんが銀行出身からしてもそれが楽天のカラーとして一番納得の行くところです。

 これだけ大きな会社になれば株主の目もあり、大きな一手は打てないのでしょうが、いずれにせよ、彼らの原点でもある、楽天市場の抱えるショップに対して、直接的にどんなメリットをもたらすのかという部分の説明を徹底していくことも大事かなと思います。

 先ほども書きましたが、その中で、ネット通販の人たちにリアルの世界へと導く機会を増やすのもありではないでしょうか。楽天市場の元には、実力をもったお店がたくさんいます。小さな店舗ではリアルへの挑戦はできませんが、リアルとネットの融合に小売の未来があるとすれば、楽天という看板をもって、可能性のある小さな店舗を巻き込んで、実行してもいいのではないかと思います。

 そうやって小売全体をリードするという、そういう成長の仕方もありなのではないかと思います。ネットショップとの接点をもっと丁寧に大事に。それが、ネットショップに新たな気づきを与え、お客様のショッピングの幅を広げ、また、結果的に、ネットショップに利益をもたらす話であるから。

失われた日本の“商店街”の力を見た〜熱狂!楽天うまいもの大会

いい買い物の日に見る、ホントのいい買い物って何?

 最後に、アリババの報道と同日に、国内ではヤフーを筆頭に「いい買い物の日」が実施されていたという話題です。何といっても、注目すべきは、11月11日当日に限ってエントリーなしで、誰が何を買ってもポイント11倍という大盤振る舞いの度合い。11時になった瞬間から、ポイント11倍としていた他、時間ごとに切り替わるタイムセールも実施し、こちらもまたお祭り騒ぎでした。

 ただ、僕はセールばかりにとらわれることなく、モノの良さにも気づく機会もまた「いい買い物の日」だと思っています。その点、ヤフオク!の下記の写真のこの企画は、ヤフオク!らしさが垣間見える、いい企画だと思いました。

 「ヤフオク!」が藤巻百貨店と組んで、匠の逸品をオークションにかけるというものです。例えば、「MINASE×KEIJI KANAGAWA」といって、1963年創業の精密工具メーカー協和精工株式会社が大事に育ててきた国産腕時計ブランド「MINASE」がそのブランドのカラーを生かしつつ、著名な彫金師の金川恵治氏と連携し、「麻の葉紋」と「一心」の彫りを施し、時計を手がけました。これだけに限らないのですが、何品か、このような形で、藤巻百貨店の協力により、その世界観に重きをおくブランドと、同じく魂を持つ匠とを繋げて、価値あるものを提供し、その価値に見合ったものを、ヤフオクでオークションするというわけです。

 以前にも、書きましたが、ヤフオク!というのは、CtoCでありながら、安く、お得、ではなく、それに見合った価値を見出す場だと思っていて、変な話、安売りではなく、良いものであれば、高値でも構わないわけです。商品は価値であって、価格ではない。改めてモノの価値に見合った価格をつける、という当たり前の商売の本質を、ここでは見出すことができているように思います。それを感じさせる機会を、この「いい買い物の日」にやる意味はすごくある。

 なぜなら、それもまた「いい買い物」ではないか?と。僕はそう思うし、この企画者に拍手を送りたいと思います。


 さて、今日はこの辺で。また、来週お会いしましょう。
笑顔あふれる素敵な一週間でありますように。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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