@cosmeのアイスタイル社が、2018年6月期第3四半期の決算内容を公表

ECのミカタ編集部

美容系総合ポータルサイト@cosme(アットコスメ)の企画・運営や関連広告サービスの提供を展開している株式会社アイスタイルは、第3四半期連結累計期間(2017年7月1日~2018年3月31日)の決算内容を取りまとめて公表した。

売上・営業利益・経常利益いずれも前年同期比で大幅増

今回、公表されたアイスタイル社の第3四半期の概要について見ていく。同社グループは資料によれば、2016年8月3日発表の中期経営計画に基づき、対象となる連結会計年度を選択と集中のフェーズと定めて、その中でも特にOn Platform事業における収益基盤の確立に注力しているとしている。

同社によれば、On Platform事業は、化粧品メーカー向けの既存サービスが着実な成長を見せている。一方で、当第3四半期連結会計期間においては、新サービスのリリースに向け将来の利益を優先し、戦略的に人的リソースを分散したことにより、収益の伸びは限定的となっている。

また、Beauty Service事業は、ECおよび各店舗の成長により大きく増収増益となった。同様にGlobal事業については、中国の越境ECが伸長したほか、前連結会計年度に子会社化することを決定した海外企業3社の損益計算書を第1四半期連結会計期間より連結したため大きく増収となった。なお、それに伴う3社ののれんの償却により費用が増加し赤字となったが、当初の計画より好調に推移したとしている。

これらの結果、第3四半期連結累計期間(2017年7月1日~2018年3月31日)の業績は次のようになった。

いずれも同社資料より。

On Platform事業の収益増は限定的

さらに同社の各主要事業の概要について見ていく。On Platform事業には、同社が運営する美容系総合ポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」を基盤とした各種サービス(BtoB、BtoC)が含まれる。

第3四半期連結累計期間では、ブランディング広告やバナー広告、「ブランドファンクラブ」などの化粧品メーカー向けの既存サービスを中心に成長した。前述したように、同期間では、新サービスのリリースに向け将来の利益を優先し、戦略的に人的リソースを分散したことや、組織体制の強化による費用の増加などにより、収益の伸びは限定的となっている。

これらの結果、第3四半期連結累計期間の業績は以下のとおりとなった。

売上高 5,379百万円(前年同期比 5.7%増)
セグメント利益 1,986百万円(前年同期比 4.1%増)

なお、BtoBサービスについては、4月から化粧品メーカー向けの新サービスを提供しているが、そのサービスによる当連結会計年度の業績に対する影響は軽微と見込む。BtoCサービスについては、3月にプレミアム課金サービスをリニューアルし、積極的なプロモーションは来期以降を予定している。

同社資料より。

Beauty Service事業は、各店舗が成長し大きく増収増益に

Beauty Service事業は、国内における化粧品ECサイト「@cosme shopping(アットコスメショッピング)」の運営、化粧品専門店「@cosme store(アットコスメストア)」の運営や、プライベートブランドの企画・開発・販売が含まれる。

ECの面では、「@cosme」でランキング上位の商品の取扱いを強化したことに加え、「@cosme」からの送客の強化を行ったことなどにより売上が好調に推移した。また、国内の店舗については、第3四半期連結会計期間に2店舗を新規開店し、小型店を1店舗閉店したことにより、同期の店舗数は25店舗(前年同四半期末23店舗)となった。

同社によれば、同連結会計年度は出店を抑制して前連結会計年度に出店した店舗の収益化を図るフェーズとしており、各店舗が成長し大きく増収増益となった。

これらの結果、第3四半期連結累計期間の業績は以下の通りとなった。

売上高 8,839百万円(前年同期比 42.8%増)
セグメント利益 426百万円(前年同期比 148.6%増)

同社資料より。

Global事業も、中国の大規模ECセールなどが牽引し好調

Global事業は、日本国外で展開するサービスが属している。中国における越境ECについては、W11(11月11日に中国で開催されるECの大規模なセール)という時期的な要因もあり、上期の業績が牽引して好調に推移した。

台湾の店舗については、第3四半期連結会計期間に4店舗目を新規開店している。既存の3店舗(昨年5月、6月開店)では、引き続き、新規顧客およびリピート客の増加に向けて取り組んでいるとしている。

また、第1四半期連結会計期間より損益計算書の連結を開始した海外企業3社については、引き続き、中長期的な事業の成長に向けた取り組みや効率化・合理化を進めている。なお、第3四半期連結累計期間の3社に対するのれんの償却を約279百万円(第3四半期連結会計期間ののれん償却額:約93百万円)計上したことにより赤字となったが、当初の計画より好調に推移した。

これらの結果、第3四半期連結累計期間の業績は以下の通りとなった。

売上高 5,451百万円(前年同期比 201.4%増)
セグメント損失 7百万円(前年同期 セグメント利益 106百万円)

なお、第4四半期連結会計期間において香港で新たに1店舗目を開店する計画で、現在準備を進めているとしている。

さらなる成長に期待

コスメEC分野でのリーディング企業であるアイスタイル社は、「@cosme shopping」や対中華圏の越境ECなどが極めて好調で、数字の面でも前年同期比で大幅な成長を達成している。

特に越境ECで言えば、訪日外国人が日本の店舗などで各種のアイテムを購入してファンになり、帰国後にECを通して再度購入するというリピーターの存在が注目されている。こうした顧客は、ロイヤリティの上でも熱度が高く、そこにおける同社の展開するような各種のプラットフォームが果たす役割は大きい。

継続して、日本および中国の経済動向は堅調に推移しており、2018年以降の同社の業績に関しても大いに期待がかかる。コスメECや越境EC全体を占う上に置いても引き続き熱い視線を送りたいところだ。


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