【CROOZ決算発表】全ての事業を完全子会社化し、各事業強化へ

ECのミカタ編集部

クルーズ株式会社は、平成30年3月期の決算短信を取りまとめ、その内容を公表した。

 同社は経営資源の選択と集中を図るため平成28年11月にエレメンタルストーリーを除く全てのゲームタイトルとそれに関わる人材に関して、会社分割による譲渡を実施。そのため、今回の連結会計年度はSHOPLISTを中心としたEC事業に事業構造転換した初めての通期決算だ。

 今回の経営成績は、売上高25,486,401千円(前連結会計年度比10.6%減)、営業利益725,300千円(前連
結会計年度比65.5%減)、経常利益702,542千円(前連結会計年度比66.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益105,941千円(前連結会計年度比96.7%減)となった。

 売上高に関しては、インターネットコンテンツ事業(ゲーム事業)の事業売却の影響により前連結会計年度比で10.6%の減収となったが、SHOPLIST事業は前連結会計年度比で12.6%の増収となった。

 営業利益に関しては、事業売却による売上高の減少に伴いインターネットコンテンツ事業(ゲーム事業)が1,078,783千円の減益となったこと、その他事業の投資積極化による損失が667,435千円あったことなどにより、前連結会計年度比で1,380,055千円の減益となっておりますが、SHOPLIST事業の営業利益率が4.0%と同事業では過去2番目に高い水準となり、利益額も前連結会計年度比207,327千円の増益となった。

 また、次世代の事業の誕生と成長、次世代の経営者の誕生と成長、永遠のベンチャースピードを手に入れるため、全ての事業を子会社化し、純粋持株会社となりグループ経営に移行することも発表された。これに伴い、同社は事業を持たない純粋持株会社としてグループ運営の最適化への環境を整え、引き続きSHOPLIST事業の成長に注力し、企業価値の向上に努める一方で、同社の資産を活かした新規事業やM&Aにも積極的に挑戦し、第二・第三の事業の柱を創出していくという。

コンテンツ事業が減益ながら、全体では前年同期比で大きな成長

セグメントごとの業績の状況については、次のとおりだ。

【① SHOPLIST事業】

当連結会計年度の売上高は21,455,260千円(前連結会計年度比12.6%増)、セグメント利益は866,226千円(前連結会計年度比31.5%増)となった。高成長軌道に乗せるため、リピート率の改善に注力し、また積極的なプロモーション施策を実施することなどにより、売上高の拡大を図って行くとしている。

また、当連結会計年度のセグメントの利益率は4.0%(前連結会計年度比0.6ポイント増)となり、利益率の改善が進んでいるが、今後もリピート率の改善進捗を確認しつつ、積極的にプロモーション費用を投下し、売上高の成長を目指す予定だ。

【② インターネットコンテンツ事業】

当連結会計年度の売上高は2,701,934千円(前連結会計年度比70.4%減)、セグメント利益は526,508千円(前連結会計年度比67.2%減)となった。

平成28年11月にエレメンタルストーリーを除く全てのゲームタイトルに関する事業とそれに関わる人材に関して、会社分割及び株式譲渡を実施したことに伴い、売上高及びセグメント利益が減少していることが主な要因としている。

【③ その他事業】

当連結会計年度の売上高は1,329,206千円(前連結会計年度比292.4%増)、セグメント損失は667,435千円(前連結会計年度はセグメント損失158,800千円)となった。

オンライントラベル事業を展開するCROOZ TRAVELIST株式会社やメディア事業や新規事業を創出する株式会社Candleなどを通じ、第二・第三の事業の柱を創出すべく、積極的な投資を推進したことが要因としている。

また、「当期のキャッシュ・フローの概況」については、当該連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は10,159,712千円となっている。

クルーズ社資料より。

売上最大化のために事業資金を投下

今後の見通しについては、SHOPLIST事業の取扱高成長に向けた積極的なプロモーション活動、第二・第三の柱を創出するための新規事業への投資など、グループの売上最大化のために事業資金を投下するため、当面は利益を出さずにグループで出た利益の全てを売上最大化に投資し、結果的に中長期的な企業価値向上の実現に努めて行く方針だ。

なお、同社グループを取り巻く事業環境については、「変化は大きく新規性の高い事業や新たなビジネスにも積極的に取り組んでいることから、当社グループの業績の見通しについて、適正かつ合理的な数値の算出が困難であるため、業績予想の開示を見合わせる」としている。この点については、「今後の当社グループの事業環境や事業進捗の動向を踏まえ、合理的な算定が可能と判断した場合には速やかに開示する」旨を資料の中で示している。

SHOPLIST.comを運営し、ファストファッションEC分野をリードするクルーズ社。今回発表のあった、連結会計年度の対象期間では、全ての事業を完全子会社化するなど、大規模な体制の刷新と基盤固めがあった時期と重なる。まさに「生き馬の目を抜く」とも言えるファッションEC市場の厳しい競争の中で、同社が今後も同分野のリーディング企業たるための施策を矢継ぎ早に打ち出した様子が資料から垣間見える。

「今後の見通し」にあるように、一寸先は闇とも言える市場の中で、全体としては大きな成長を遂げている同社は、変革期をどう乗り越え、2018年にさらにどういった動きをして行くのか、その動向から目が離せない。


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