EC業界News1週間まとめ〜AIで抑えておきたい使い方/LINEの価値を倍加させる秘訣/潜入GirlsAward

石郷“145”マナブ

こんにちは。編集長の石郷です。

今週読まれたのはこちら。
ECでのスマホ利用率についての最新動向調査が実施【ニールセン デジタル調べ】
https://ecnomikata.com/ecnews/19888/
NTTドコモ、au、ソフトバンクが発表した「プラスメッセージ(+メッセージ)」とは何だったのか?
https://ecnomikata.com/ecnews/20122/
【速報】Origami、総額66.6億円の資金調達を実施。ECへの対応も
https://ecnomikata.com/ecnews/20176/
【10月1日開始】福山通運の働き方改革。日曜日の集荷・配送を中止
https://ecnomikata.com/ecnews/20198/
【第1回】売上が上がると年収がアップするって本当ですか?
https://ecnomikata.com/column/20168/
【第12回】twitterはお店が「探す」「引き出す」に使えるSNS
https://ecnomikata.com/column/20125/

AIとは/実は理解できていない人が多いAIの理解

 ここ最近、日常にテクノロジーが入って、大きく変わってきています。こと、AIなどは非常に注目度が上がってきているものの、いまだに人間の仕事が奪われるみたいな議論があって、結局、世の中にあるAIの殆どが「特化型」のものだから、全くそうした議論はナンセンスだという話を耳にしました。

 もう少し具体的に言うならば、世の中にあるAIは全て人間のできることの一部を代替する特化型のAIであって、そこには教師となる機械学習が必要なのだという。過去のデータからパターンを学習をして、予測値で当てていく、というのがAIの中身だと、トランスコスモスの方が言っていました。これはトランスコスモスが行なった「AIに関するセミナー」で話されていたことです。

 トランスコスモスでは辞めそうな社員をいかに辞めさせないかをAIを使ってやっていたりするそうなのですが、辞めていく社員には同じ傾向が見られると言って、それをAIを使うことで辞める率を減少させたというのです。

部分的に解決へのヒントを提示するのがAI

 まずは、とある拠点のデータからAIが予測モデルを作り「こういう人は3ヶ月で辞めてこういう理由だ」というのを出したと言います。事実、「それに該当するリストに上がってきた人の7割が辞めていた」という結果が出てきており、だからこそ、それに該当させないように、人間が介入して、面談なりして、ケアをしたところ、結果、その「辞める人が減少した」というわけです。

 つまり、「前行程」で「人間の行動というインプット」があり、そこでそれに基づく人間の行動が挟まって、「後行程」でその「検証結果というアウトプット」が出てくるわけです。AIは解決ではなくきっかけを作っているに過ぎない。しかも、予測とは確率の話ですから外れることもあるから、行動とアウトプットの関係性も極めて重要です。

 そのことでも分かる通り、最初から最後までを解決するAIロボットのようなものはSFの中でしか存在しないというわけなんだと聞かされて、なるほどとすごく思いました。だから、どういう結論を導きたいかという人間の意思があるから、どの場面でAIを使えば良いのかが見えてきて、それを参考にして人間の行動へと繋げて、解決へと導く、ここが大事なのです。

だからAIと紐づけられECでも使われがちなLINEなども

 この話は実は、他の場面でも応用できる考え方じゃないかと僕は思っていて、よく最近、LINEやサイト上のチャットでAIが用いられたりしますが、これもツールに過ぎないんだなということを痛感させられるわけです。ECサイトで言えば、運用する側がどういう風な使い道をしたいと考えていて、どこにチャットを使い、またそこでAIを使うかを考えない限り、意味がないということなんだと思いました。

 例えば、とある会社ではサイト上でチャットを始めたとします。そこで、そのチャットの意味付けはなんだと考えているでしょうかという話なんです。おそらく、チャットを設ける最大の理由としては、電話を苦手とする人がいるのを想定しているからであり、トランスコスモスでいえば、そこでのやり取りを大きく二つに分けると言います。

 一つは効率化重視です。FAQ的なものであれば「すぐ解決したいというニーズ」ですからいかにチャットbotなどで効率よく回るように適切な回答を用意していくかがKPIの指標になりここではAIの重要性が解かれます。

目的に応じて使い道も目標も違うはずなのに曖昧なことが多い

 一方、逆にコミュニケーションを取りたい人の場合は有人のチャットで長い関係性の構築に重きが置かれますから、長時間のやり取りのような非効率であっても認められるわけです。

 つまり、何と無くチャットは置いてみたけど、その会社にとってのチャットはどっちのために用意しているのかすら、結論が出ていないという話はあるのではないでしょうか。前者であれば、サイト上で悩みが出れば、必ずそこにたどり着くようなサイト設計をする必要があって、かつそこでの効率化を徹底化させて、先ほどのように考えられる質問と答えをAIによってブラッシュアップしていけば、その効率化は徹底されて、チャットの意味合いも、AIを使うことの理由も見えてくるわけです。

 こういう風にして初めて、チャットやLINEを使うのであれば、凄く結果が出やすいのですが、どっちつかずで何と無くこれを用意しておくから、新しい時流にある「チャット」や「AI」を活用しきれず、自分たちの成長に活かせないのだと思いました。

AIは全部をやってくれるスーパーマンではない。

 人間がどういうポリシーのもと、サイト運営していて、自分たちのウィークポイントはどこにあって、そこをどう自分たちに解決できるかの仮説を立てた上で、こうしたツールを使わないと宝の持ち腐れだなということなのだと思います。ともすれば、新しいツールは苦手だからと言っているのは口実であって、本当の核心は実は自分のサイトをどうして行きたいかが見えていないだけということもありそうです。

 よく「LINE」をやってもうまくいかないという方々を耳にしますが、それ以前に「LINE」をどう活用して、自分たちの店の改善をどこに見いだそうと思っているかを今一度考えてみる必要があるように思います。

GirlsAwardで企業にとってメリットに働く仕掛けとは?

GirlsAwardで企業にとってメリットに働く仕掛けとは?

 とまあ、振り返ってみましたが、先週末ですね、GirlsAwardに行ってきました。ここではブース出店もできるのですが、物販はできません。だからこそ、SNSの重要性が今まで以上に増しているなという実感がありました。ソファーメーカーでECもやっている「セルタン」が食パンのソファを壁に貼り付けて、そこに来場者が目玉焼きのブランケットを被って写真が撮れるという仕掛けをしていました。

 来場者の表情を見ていると、単純にイベントを楽しみつつも、来ている自分をインスタグラムなどで、どう(リア充しているように)ブランディングするかということにも意識が向いているような気がしていて、GirlsAwardでの企業の活用の仕方も変化しているように思いました。

 つまり、商品を見せるだけのブースでは企業側はブランド認知だと思っていても人が集まらず、上記のような当の本人自体の魅力を向上させるものには、人が集まり、結果、それがインスタなど拡散されて、プロモーションとしての効果を発揮するという。イベントをどう活用するかというもののヒントがここにあった気がします。


 というわけで今日はこの辺で。
笑顔溢れる1週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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