SMSに再び脚光?消費者はどんなコミュニケーションツールを使っているのか【エルテックス調べ】

ECのミカタ編集部

株式会社エルテックス(本社:神奈川県横浜市保土ヶ谷区 代表取締役社長 森久尚 以下「エルテックス」)は、通信販売事業関与者の実態調査2018年版より、企業と消費者のコミュニケーションツールに絞り込んだ、集計と分析内容を公表した。

11回目の独自調査「通信販売事業関与者の実態調査2018」

エルテックスでは2000年頃より、ECサイト/通販システムの開発及び構築を積極的に推進しており、関連する市場動向把握のため、今回で11回目の独自調査「通信販売事業関与者の実態調査2018」を実施した。

調査では通信販売事業に携わるご担当者様の「悩み事・困り事」「通販事業へ対する課題」など、昨年同様の内容の定点調査のほか、スマートフォンの普及に伴う、「顧客とのコミュニケーション方法~ショートメッセージやSNSの活用」について集計・分析がなされている。

エルテックスの顧客は、EC・通販事業社が中心だが、幅広い業種の顧客に対するソリューションも手がけて
おり、こうした企業と消費者のコミュニケーションツール(以下、ツール)に関する分析や考察は、EC・通販以外の業種にもあてはまるケースが多いと考え実施と発表に至ったとしている。

根強い旧来型のコミュニケーションツール

根強い旧来型のコミュニケーションツール

質問項目)あなたの会社などで、お客様に対して連絡を取る際に利用している方法を、いくつでもお選びください。(複数回答)

消費者との様々なコミュニケーションシーンで、現状利用しているツールのトップ2ボックスは「メール」「サイト」となっており、「支払いの督促」「セール・キャンペーン」などといった6つのシーンでほぼ同じ傾向となっている。一方、このトップ2ボックスを除くと、6シーン中5つは、電話を抑えSMSを使っている比率が高い結果とった。

同社では、回答に見る特徴として、顧客とのコミュニケーションは、EC・通販の運営上様々なシーンで考えられるとしている。より重要なものとしては「支払いの督促」、販売促進の視点からは「セールやキャンペーンのお知らせ」などだ。

すべてのシーンでツールとして最も利用が多かったのは「Eメール」で、次点が「サイト(ニュースやマイページの活用)」となり、本年の調査も想像の範囲の結果となった。

3番目に入ったのが、スマートフォンや携帯電話向けの「SMS」で、「支払いの督促」に関しては「電話」に対して▲0.8%となったが、それ以外の項目すべてにおいて「SNS」、さらには「電話」や「DM・カタログ同梱」といった旧来型のツールをほとんどのシーンで上回った。

SMS利用への強い関心

質問項目)あなたの会社などで、お客様に対して連絡を取る際に利用している方法で、今現在や過去に使っていなくても、今後使ってみたいもの、をいくつでもお選びください。(複数回答)

次に、今使っていなくても、今後使いたいものは何か?と質問したところ、「メール」と「サイト」がトップ2ボックスにはなったものの、トップ2のツールを除くと、6つのシーン中5つでSMSを使ってみたいとの回答があった。この設問は、2017年にも実施しているが、6シーン中4つが前年を上回る数値となっていて、SMS利用への関心度合いが高まっている様子をうかがうことができるとしている。

さらに、「今後使いたいツール」を複数回答で聞いたところ、現在利用しているツール同様「Eメール」と「サイト」がトップ2となったたが、利用意向の数値は減少し、「SMS」と「SNS」の数値が上昇。SMSは6つのシーン中5つで、「SNS」を上回り、特に「電話、DM・カタログ同梱」の利用意向を大幅に上回った。

2017年にこの調査を開始したが、SMSのみを抽出して比較したところ「支払いの督促」「休業(のお知らせ)」「サイトの更新」「メンテナンス(のお知らせ)」の4項目において前年比で増加した。

SMSの到達率と開封率に多くの支持

SMSの到達率と開封率に多くの支持

質問項目)お客様に対して連絡を取る際に、「ショートメッセージ」を利用している理由をいくつでもお選びください。(複数回答)

SMSを利用している回答のみに絞込み、その利用理由を聞いたところ、携帯電話の番号はナンバーポータビリティーなどのサービスもあり、あまり変更しないものといった前提により、メールに比較すると「顧客に届けやすい」といったイメージが高く利用していると分析している。また「開封率が高い」が次点となっており、メールの場合は到達率や開封され率が一般的に少ないため、この選択肢も支持されたものと思われるとしている。

SMSを連絡方法として使っている回答者にその理由を聞いたところ、「(携帯電話の)電話番号はメールアドレスに比べて変更が少ないため、顧客に届けやすいから」との回答が約7割となった。

SMSで送れる文字数は、主要キャリアで70文字(全角)半角英数文字の場合160文字などと限られているが、逆に読まれやすく、スマートフォンであれば短縮のURLなどを入れておけばタップするだけでサイトへの誘導ができるので、様々な可能性を含んだ注目のツールと言える。

※2017年6月実施、通信販売事業関与者の実態調査2017より

再び視線を集めるSMS

同社では調査を通じ、店舗を持たない、EC・通販業者のビジネスでの生命線ともいえる企業と消費者のコミュニケーションツールは、Eメールやサイト上での告知(マイページなども含む)が現時点では主流であるとしている。

既存のツールである「電話、DM(印刷物)」や新興の「SNS」などをおさえ、ショートメッセージ(SMS)が第3のツールとして期待値が高まっていることが浮き彫りとなった。

EC・通販業者以外にも、顧客とのリレーションや自社の社員とのコミュニケーションが重要課題となっている企業はとても多いと考えられ、例えば、不動産会社と賃貸契約者、カーディーラーとオーナー、学校・学習塾と保護者・生徒、飲食店と予約客、派遣会社と登録人材等、枚挙に暇はなく様々な業態に広がる。そうした企業と顧客にとって、SMSは利用価値の高いツールといえるとしている。

SMSが期待される理由

SMSが期待される理由

同社はまた、調査分析結果とSMSが持つ特長等から導き出される、SMSが期待される理由は以下のように考えられるとしてまとめている。

1.届きやすい:MNPにより変更が少ないのでメンテナンスの手間が少ない
2.開封率が高い:メールに比較すると受信件数が少ない
3.到達率が高い:迷惑フィルター等で除外されにくい
4.ほとんどの携帯電話に到達する:SNSと異なりアプリのインストールは不要
※一部のMVNO(他社から無線通信インフラを借り受けて、音声通信やデータ通信のサービスを提供する事業者)は機能が無い
5.迷惑メールがあまり来ない:通信費用が必要なので、迷惑メールではあまり利用されない

こうしたことから、「Eメール」「サイト」といったコミュニケーションツールに加え、第3のツール「ショートメッセージ(SMS)」が今後の消費者とのリレーションを強める手段として有用ということがいえるだろう。

アドバンテージが失われつつあるEメール

同社では、またコミュニケーションツール全般について、次のように分析している。基本的に店舗を保有せず、直接消費者との対話ができない通販事業者は、何らかのツールを媒介に消費者とのコミュニケーションを図ってきた。

そうしたツールは、通販事業者のビジネスの生命線でもあり、「連絡が確実に取れること」「顧客の満足度を向上できること」そして自社の業績向上のため「コストが低いこと」といった条件を満たすツールの模索が常に課題となっているとしている。

インターネット普及前においては、新聞・テレビ・雑誌・DMなどの通販広告の露出を「電話・FAX、はがき」といったツールを介して注文を受注し、それに対する応対も同じツールを使う方法だった。

インターネット黎明期より、ECという今までに無かった販売手法が使われはじめ、消費者とのコミュニケーションもEメールという新たな方法が確立し、やがてEメールがコミュニケーションの中心となる。

パソコンに加えインターネットの普及により、EC市場が急速に成長したのは言うまでもない。Eメールは、電話・FAXやはがきといったツールのような通信コストが基本的に発生しないため、低コストの画期的なツールとしてEC事業者が利用を加速させる。

EC業界も含め、ネットを使ったマーケティング手法の中でも手っ取り早く、自社のメディアとして直接ユーザーとコミュニケーションができるEメールにEC事業者以外の企業にも利用が広がる。

ところが、多くの企業で「自社の顧客の囲い込み」と称して、消費者のEメールアドレスを収集し、様々な情報をユーザーに送った結果、思惑とは異なりEメール開封率が低下するといった課題も散見されるようになった。

さらに、スマートフォンの普及により、新たなツールも登場し、ショートメッセージ(以下、SMS)、チャット機能を持つSNSなど多様な手法が利用されつつあると分析している。

有用性に技術の新旧は関係ない?

これらのことからエルテックス社では、こうした消費者の周辺環境の変化に伴った内容の調査も実施しているが、その回答状況から、ツールとして「Eメール」「サイト」が中心となっているものの、旧来の機器「電話」や「DM=紙メディア」は利用比率が低くなっていることが改めてわかったとしている。

そのかわりに脚光を再び浴びているのがSMSというわけだ。携帯電話の歴史と共にあるとも言えるSMSだが、一旦はデバイスやインターネットを活用したプラットフォームの進化によってその影は薄くなりつつあった。

しかし、ここへ来て逆にその存在感を増しているとしたら、非常に興味深いトレンドと言えるだろう。こうした言わば枯れた技術が生き延びて再び有用性を見直されることはインターネットやモバイル以外の分野でも散見される事象でもある。EC事業者としても顧客やユーザーとのコミュニケーションをより深めるために、こうした時流をつかむことは至って有用と言えるだろう。

 ECノウハウ


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事