EC業界News1週間まとめ〜楽天決算18年3QECと経済圏の融合強化/独身の日 いい買物の日に湧く日中EC

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週、読まれたのはこちら。
■中国最大規模の通販イベント「独身の日」、今年も日本へ
https://ecnomikata.com/ecnews/20677/

■話題の豊洲市場の生鮮食材がECで購入可能に!
https://ecnomikata.com/ecnews/20705/

■ファッションブランド「R4G」に独自取材!
https://ecnomikata.com/original_news/20629/

■中国の一大イベント独身の日。楽天が同日に行うおひとりさまDAYとは
https://ecnomikata.com/ecnews/20680/

■メルカリが2019年6月期 第1四半期の決算内容を公表!
https://ecnomikata.com/ecnews/20755/

楽天の決算/経済圏は活性化するのか?

 今週は楽天で決算が発表されました。
 同社グループの2018年第3四半期連結累計期間における売上収益は790,330百万円(前年同期比16.8%増、Non-GAAP営業利益は142,330百万円(前年同期比6.5%増)となりました。堅調な推移を示す中、決算ではCMO(最高マーケティング責任者)に河野奈保さんが就任することが発表されたようです。

 ある意味、ECと決済およびリアルでの経済圏との親和性が高くなり、そこに生き残りを賭けた戦いが始まっている事を象徴しています。ここではECを知りSPUを推進した河野さんが楽天経済圏などの観点から総合的にマーケティングを行い、ECに関しては物流の強化を軸にインフラ周りを、特に物流に知見がある武田和徳さんが進めていくかな、と思われます。

 楽天経済圏は、休眠顧客の掘り起こしや新規顧客の獲得など、ユニークユーザーを増加させるとともに、これを例えば、楽天市場、楽天トラベル、楽天ブックスなど、SPUをフックに楽天経済圏の中でクロスユーズさせることで、この中で1人当たりのLTV(一人の顧客が生涯どれ程金額を買い続けるかの価値)を高めていく構想にあります。

 当然、物流に関わる度合いが増えれば、その分、ECから吸収できる情報も増えます。かつ彼らが順調に成長を遂げている決済の情報とこれから強化する通信事業の情報を重ね合わせる事で、彼らは顧客の嗜好を浮かび上がらせる事ができると想定しているわけです。ここに彼らの描く広告の活用の仕方と紐づいて、広告収益も向上し、それがEC店舗のためになる、と考えていると思われます。

 そしていうまでもなく、今年に入り急激にキャッシュレスの重要性が言われていますが、彼らには「楽天ペイ(スマホ決済)」がありますから、ここでもポイントは生きて来て、外から流入して、最終、楽天グループで活用して、LTVの躍進に花を添えるということも考えているわけです。

 話を戻すと、そうやって先程の顧客のLTVの向上に繋げていき、そこでの顧客満足度の充実が生み出す事で、信頼が生まれ、新規顧客の獲得を狙うというところでしょうか。河野さんの手腕にかかる期待は大きいですね。

 加えて、これは決算とは関係ないのかもしれないですが、昨今、新体制然り、新施策も多く見られます。楽天は「楽天市場」が原点であり、出店店舗あっての楽天だと思いますが、物流の改革然り、声を出して発信するのはいいですが、チャットの導入然り、ツールはツールに過ぎないわけで、それをどう活用していくかの理解が大事です。

 それがどう店舗の未来に繋がるのか、ECC(ECコンサル)からの店舗へ丁寧に説明される事が必要だと思います。それには今一度、楽天幹部からの店への説明する真摯な姿勢も大事ですが、幹部自ら現場であるECCとの距離感を縮めて、ECCと店舗で明るい未来を作り出す努力がこれまで以上に、本質的には大事なような気が僕はしています。

中国では「独身の日」一年で最もECが活況に沸く

 そして、今日は独身の日です。もともとアリババ 集団がやり始めたこのECの祭典は10周年を迎えます。そのすごさは年々ましていて、それを分かりやすく伝える数字として、eコマースの規模を図る際に指標となる総取引量を表す「GMV」は、2017年が前年比39%増の1683億元(約2兆8777億円、約253億ドル)と、1日当たりの売上高として過去最高を更新しました。

 また、inagoraから情報を受けたところでは、この独身の日が中国全体のECの底上げをしていることから、アリババ 以外もその可能性を探っていて、同社で提供する「豌豆公主」でも仕掛けをしていると聞きました。例えば、日本企業が羽ばたくために、キャンペーンとして、先週末から今週頭にかけて、中国で117万人のフォロワーを抱えるBenny 董子初さんをはじめ、99万人のフォローワーを抱えるVivekattさんなどインフルエンサーが日本の商品などを紹介するなどしたそうです。

 これが何を意味するかというと、独身の日の前から、中国国内にいる日本のファンが集まるコミュニティを持っている同社が、中国人と日本の商品をつないで、その当日、活性化させようというわけです。日本商品が紹介されているということは、それだけ日本企業がそこに投資をしていることの証であり、日本企業自体の注目度の高さも伺えるというわけです。実際のところ、越境ECというと、中国に関して言えば、未だブラックボックスになりがちなところも多いです。

inagoraのうまい戦略

 だからこそinagoraの戦略が上手だなと思う点は、巨大な中国EC市場を取りに行くというよりは、その中の敢えて日本に好感を持つ中国人に日本商品に特化して提供して、広めようという点なのです。当然ながら、先ほど、話したように、中国での越境ECはまだまだ成功事例が明らかになっていないことから、その特化した施策などは、日本企業にとっても分かりやすく、大手からの期待も高い。そのことはinagoraが創業から5年以内なのに、伊藤忠商事やKDDIなどの並み居る巨大企業と資本業務提携をしていることからも分かります。

 話は逸れましたが、そういうわけで、独身の日は日本のECにとっても未来を考える上では重要です。

ヤフーも本腰、いい買物の日はどうなる?

ヤフーも本腰、いい買物の日はどうなる?

 そして、国内ではヤフーが筆頭となって、これに合わせる形で「いい買物の日」というキャンペーンを展開しています。今から4年前でしょうか、アリババ が独身の日で躍進するのを見て、この辺を着想するヤフー執行役員の小澤さんのセンスが光ります。2017年でいえば、11月11日(土)の「いい買物の日の当日」は、昨年の11月11日当日と比較して、約40%増の取扱高を記録。現時点での、「2017年でYahoo!ショッピングが最も売れた日」になっており、大盛況となったのですから、今年も期待が高まります。

というわけで、今日はこの辺で。
笑顔溢れる一週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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