2018年に起きたキャッシュレスニュースまとめてみた

ECのミカタ編集部

2018年はキャッシュレス元年と言われるほど、キャッシュレス関連のニュース、調査が多く行われた。海外に比べて圧倒的に現金文化である日本。しかし。2020年に迫っている東京オリンピックに向けても、キャッシュレス対応に今後追われることは間違いない。

もちろんECでも無関係ではない。キャッシュレス化が進むと自ずと様々な決済手段が登場する。今年の代表的な新決済サービスがヤフー・ソフトバンクの合弁会社から発表された「PayPay」だろう。今後もモバイルペイメントに限らず、様々なサービスが追加されていくだろう。2019年になる前に一旦、今年のキャッシュレスのニュースをピックアップした。未来を見据えることも大事だが、焦らずに今年をまず振り返ってみよう。

【3月】送金サービスpringが登場

テレビでも取り上げられている送金サービスpring。お金を「送る、もらう、払う、チャージ、口座に戻す」をすべて無料で行える新サービスとして2018年3月8日に正式リリースし、iOS版アプリのダウンロードを開始した。「持ち出せる銀行+決済+送金アプリ」といった趣を持っている。

BtoCだけではなく、CtoCのやり取りにおいてもアプリで完結しようとするpring。キャッシュレスを消費者層に浸透させる役割を担えるか注目されている。

友人への送金・店舗決済が銀行口座直結でできるスマホアプリ『pring』登場

【4月・5月】キャッシュレスに関するアンケートと、atoneが実店舗展開へ

楽天グループでキャッシュレスについて調査したニュースも多くの人に読まれている。

月で利用する決済手段として最も大きいものは何か、ATMの利用率の変化、利用率が増えた決済手段についての言及がなされている。

そのほかにも個人間送金サービスの認知度についても調査を行なっており、事業者が行うべきキャッシュレス対応が4月の時点で既に明確になっていたのだ。アンケート情報を有効に使う重要性が振り返ってみるとよくわかるのではないか。

5月には、atoneが「カードレス決済後払い」がQRコード決済機能の実証実験を開始した。2018年は多くの決済企業が実店舗でのキャッシュレス化を促進するためにQRコード決済を導入している。

ちなみにatoneの今後の具体的な目標は、3年後に年間取扱額1000億円、会員数1000万人としている。

「キャッシュレス化についてのアンケート」で見えた支払い方法の現状【楽天銀行調べ】

atone遂に実店舗展開へ!キャッシュレス社会の推進へ大きな転換点となるか

【6月】Amazon Payが3周年!・「セブン・ペイ」も新しく設立

【6月】Amazon Payが3周年!・「セブン・ペイ」も新しく設立

Amazonが、2015年5月にAmazonログイン&ペイメントとして日本でのサービスをリリースしてから3年。名称はAmazon Payに変更している。3周年を記念し、「Amazon Payを選ぶ理由」や、「ECサイトを利用するデバイス」「どういう時にECサイトを利用するか」などについて調査している。

Amazon Payの導入を考えているEC事業者にはぜひ読んでいただきたいニュースである。

サービス開始3周年。Amazon Payの消費者への浸透率は?嬉しいキャンペーンも実施

同じく6月にはセブン&アイグループがスマートフォンをツールとした、新たな決済サービスを提供する新会社『セブン・ペイ』を設立した。

現在、新会社の具体的なサービス開始の準備段階とみられ、各種の情報を総合すると、具体的なサービスの内容の発表が2018年秋、決済サービスを柱とする本格的なサービスインは2019年春ごろとみられる。多くの小売店舗の運営を行なっているセブン&アイグループ。影響力は大きいと思われる。今後の動きに注目だ。

セブン&アイがスマホ決済サービスを展開する新会社『セブン・ペイ』を設立

【7月】楽天カードがブランドを追加 業界最多級に

【7月】楽天カードがブランドを追加 業界最多級に

7月に楽天は、運営するスマホアプリ決済サービス「楽天ペイ(アプリ決済)」において、JCBが取り扱う国際カードブランドを登録可能とすることを、両社で合意した。

なお、JCBが他社の提供するQRコード決済サービスへの対応について合意したのは今回が初である。楽天ペイは、これまで利用可能であった楽天カード、VISA、Mastercardのクレジットカードに加えて、今回の合意により、JCB、American Express、Diners Club、Discoverの国際カードブランドも登録可能となった。新たに4つの主要国際カードブランドに対応したことは、QRコード決済サービスとして初であり、対応ブランド数は業界最多級となった。

楽天経済圏の肝ともいえる楽天カードに国際ブランドが追加されたニュースは、今後も経済圏の拡大を見据えているという楽天の強い意志の表れだろうか。

『楽天ペイ』がJCB・American Expressなどの国際カードブランドに対応。対応ブランド数は業界最多級へ

【8月】遂にAmazon PayがQRコード決済に参入・Origamiは66,6億円の資金調達を

【8月】遂にAmazon PayがQRコード決済に参入・Origamiは66,6億円の資金調達を

アマゾンジャパン合同会社は、記者会見を行い「Amazon Pay実店舗におけるスマートフォン決済」に関する発表を行った。AmazonはNIPPON PAYと連携することにより、NIPPON PAYのタブレットを利用している多くの実店舗に、Amazon Payを提供し、中小規模の店舗を中心に一気に、Amazon PayによるQRコードを使ったキャッシュレスの環境を作っていこうとした。

ECでの影響力が凄まじいAmazon。リアルな場でもその存在をどんどん拡大していくようだ。

Amazon PayスマホのQRコード決済に参入〜Amazonの狙い/キャッシュレス時代到来か

続いては、株式会社Origamiが66,6億円の資金調達を行い、キャッシュレスをより推進させていくことを改めて発表した戦略発表会のニュースだ。

この戦略発表会で、Origamiは実に様々な戦略を発表した。その中の一つにECへの進出があった。もともとECで始まったOrigami。今は実店舗のキャッシュレスに力を入れているが、EC運営を行なっている店舗に向けても、サービスを展開していくとした。

決済のオムニチャネル化を促進させていくためには他のペイメントサービスとは競争ではなく、協業をと述べた戦略発表会。まだまだキャッシュレス化の動きが鈍化するようなことはなさそうだ。

Origami、総額66.6億円の資金調達を実施。ECへの対応も

【10月】PayPayが満を持して登場!

10月にはまず、LINE社がLINE Payの据置端末の申し込みを開始した。「LINE Pay 据置端末」は「LINE Pay」のQRコード決済に対応できるLINE社の専用端末。周辺機器の追加も不要で、電源をONにするだけですぐに利用可能となる。LINE Payを事業者がより手軽に利用できるようにというLINEの狙いが見える。

1)年内お申込み限定、6ヶ月間月額端末利用料無料
LINE Pay株式会社が端末を発送した翌月から6ヵ月間、通常月額1,500円(税別)の端末利用料が無料。

2)2021年7月末まで、決済手数料0%
通常、利用金額の2.45%の決済手数料が、利用開始月から2021年7月31日まで無料。

キャッシュレス化をけん引!LINE Pay 据置端末申し込み開始

PayPayのサービスが開始されたのも10月だ。

「PayPay」とはヤフーとソフトバンク社の合弁会社「PayPay社」が提供する、バーコードやQRコード型のスマホ決済サービスだ。

支払いは銀行口座からの事前チャージか、クレジットカードの2種類から選択可能。2018年10月5日よりサービスを開始し、新規利用登録の特典で全員に500円分の電子マネーが付与される。

また加盟店には2021年9月末までの3年間「ユーザースキャン」方式の決済手数料を無料とし、加盟店の拡大を目指す。

【ヤフー×ソフトバンク】PayPayのサービス開始 新規登録特典も!

また同月には12月4日より全国のファミリーマートで利用開始となることも発表した。

ファミリーマートでの決済方式は「ストアスキャン」方式で、「PayPay」アプリに表示したバーコードをユーザーがレジに提示し、店舗側が読み取る形式。セルフレジには対応していない。Yahoo!マネーやYahoo! JAPAN IDと連携可能なところもポイントである。

スマホ決済サービス「PayPay」、ファミリーマートで順次利用可能に

【12月】ファミマで楽天ペイが使用可能に!

楽天ペイが12月4日より、ファミリーマート全店での利用が可能となる。ローソンに続いて、大手コンビニチェーンでは2つ目の導入となる。しっかりと地盤を固めてきている印象だ。流通総額が最も多いと言われている楽天スーパーポイントの拡大は2019年も止まりそうにない。

ファミリーマート、12月より全店で楽天ペイ導入。ポイントもたまる

2019年のキャッシュレス化の動きはどうなる?

2019年はさらにキャッシュレス化の動きは活発になると予想される。理由としては主に2つ。

1つは、2020年に控えている東京オリンピック対策として、クレジットカード決済とQR決済の仕組みを整えなければならないという社会的背景。もう1つが、消費税の増税だ。

2019年10月に、消費税が8%から10%に増加する。その際に増加した2%分をクレジットカードなどのキャッシュレス決済で支払いを行えば、ポイントとして還元すると述べている。そして小さな小売店でも導入できるようにと、クレジットカード手数料を下げるように政府から申請を行うというのだ。

カード会社からしたら、非常に慌ただしい1年になりそうだが、キャッシュレス決済を普及させたいという国の狙いは一貫しているように思える。

現在の日本のキャッシュレス化率は18,4%(平成30年4月、経産省調べ)と世界と比較してもかなり低い。実店舗で様々なキャッシュレス決済が行われるようになるとEC店舗側でも決済サービスの拡充を行う必要性はかなり高くなってくるだろう。

2019年も実店舗の話と思わずに、EC店舗としてすぐに対応ができるよう情報収集は常に行う必要があるだろう。


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