楽天とホームセンターの取り組みから見るオムニチャネルの可能性

西村 勇哉

左:コーナン商事株式会社 代表取締役会長 疋田 直太朗氏
右:楽天株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史氏

2019年4月1日(月)から楽天株式会社とコーナン商事株式会社が提携を行う。

コーナン商事が運営する「ホームセンターコーナン」、「ホームストック」および「コーナンPRO」の全346店において、「楽天ポイントカード」の導入を行うのだ。ホームセンター業界では初となる今回の導入。

楽天に出店しているネットショップや、これから楽天市場に出店しようとしている店舗はオムニチャネル戦略として楽天とどのような関係構築が可能になるのかがわかるのではないだろうか。コーナン商事は課題として、若年層の取り込みなど顧客層の拡大と、単価の向上を抱えていた。

今回楽天との連携では、これらの課題を解決できるとコーナン商事株式会社 代表取締役の疋田氏は考えているという。

理由はいくつかある。

まずは楽天スーパーポイント。国内で最も顧客満足度が高いと言われているポイントを実店舗でも利用可能になる。

楽天の会員数は1億を去年末に突破し、ネット上ではもちろん、実店舗でもその影響力を増している。そのため実店舗で楽天ポイントを導入することは、その1億もの会員と強い接点が創出されることを意味するのである。

またコーナン商事では、単価の高い商品を多数取り揃えている。リフォーム事業も行っており、その全てでポイントが付与されるため、楽天経済圏を活用している人からすると、コーナン商事に大きな魅力を感じることになるのだ。

ポイントの旨味は、高単価商品でも購入のハードルを下げることにある。単価が高ければ高いほど、付与されるポイントも高くなる。この仕組みによって高単価商品の購入ハードルが下がるにである。

ポイント以外にも楽天は様々なデータを抱えている。顧客動向・出店候補地の策定など、ビッグデータの活用により様々な施策を確度の高い状態で動かすことが可能になるのである。

またECでも楽天市場に出店しているため、相乗効果を発揮する取り組みも可能になる。こんな事例があるという。

楽天市場上で、店舗画面に訪れるものの、商品購入は1%だったという。その中で興味関心が高い利用者に対して、実店舗のクーポンを送付すると、商品の購買率が上がったという。商材によっては実際に店頭で手に取ってから購入を決めたい商品も多い。ECで情報収集を行い、店舗で購入するといういわばカタログ通販のような動きが行われているのだ。

ポイント・ビッグデータの活用・ECと実店舗の連携など、楽天だからこそ可能になる施策だ。ECと実店舗、どちらも重要な戦略として位置付けを行わないと上手く回すことは難しいだろう。ECだけにこだわるのではなく、実店舗だけにこだわるのではなく、自社全体に目を向けることが重要になってくる。

オムニチャネル戦略の第一歩を踏み出したコーナン商事。

独自の決済手段を整備するなど様々な施策を打ち出し始めており、今後の取り組みが楽しみである。オムニチャネルの先駆者の取材も行っているのでこちらも合わせて確認してみてはいかがだろうか。

オムニチャネルの先駆者「ザ・ボディショップ」。EC成長の秘訣はシームレスな環境づくり
https://ecnomikata.com/original_news/21838/

 


記者プロフィール

西村 勇哉

メディア運営事業部 編集チーム所属
見た目はヒョロイのに7歳から空手を習っています。
他にも水泳、サッカー、野球、弓道の経験有り。
たまにメルマガに登場しますが乃木坂46の話しかしません。
連絡先→nishimura@ecnomikata.co.jp

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