ショッピングセンターの“今”が浮き彫りに 「業種別出店・退店ランキング」が公表される

ECのミカタ編集部

株式会社リゾーム(本社:岡山県岡山市、代表取締役:中山 博光、以下「リゾーム」)のシンクタンク“SCトレンド研究所”は、同社の全国商業施設(以下 SC)・ショップ・ブランド出退店データベース「SC GATE」を活用し、2018年10月~12月期の集計結果による業種別出店・退店ランキングを公開した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

調査概要

出退店ランキングとは、ある四半期間中にSCに出店もしくはSCから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数を算出し、その上位から20ブランドを表示したものだ。また当四半期の直前の四半期についても、この差引出店数を算出し、前四半期からの推移を以下の4つの記号を使って表現している。

なお当四半期の差引出店数が同数の場合、前四半期に出店・退店がなくこの四半期にランクインしたブランド、また前四半期よりも当四半期の差引出店数の増加が大きなブランドを優先して上位20ブランドとしている。

◆【集計対象SC】

[1]
2018年12月末日までにSC GATEに登録されている

[2]
SC面積が1,500m2以上である

[3]
2017年1月~2018年12月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない

[4]
SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

ファッション分野の最新出店ランク1位は「西松屋」

ファッション分野の最新出店ランク1位は「西松屋」同社資料より(以下、同様)。

調査の結果、ファッション分野では積極的な出店傾向がみられていた“西松屋”が出店ランキング1位になった。リゾーム社では最近1年間のランキング推移を見ても安定した出店意欲がうかがわれるとしている。

同社はまたベビー・キッズからさらに上の年齢層への顧客層拡大をめざしていることと、ファッション関連業種ショップのショッピングセンターからの退店が続く中、大きな面積で出店可能なショップがショッピングセンターで歓迎されるという傾向を反映しているものと分析している。

同じく1位の“BELLUNA”はカタログ・チラシ・インターネットを中心に受注・販売を展開しているブランドだが、リアル店舗の出店を進める戦略を投資家向け情報で発表している。

直近1年間のランキング推移(ファッション関連上位)

インテリア部門の1位は「Yogibo」

インテリア部門の1位は「Yogibo」

インテリア部門の出店ランキング1位は“Yogibo”となった。同社は「人をダメにするソファー」「人を動けなくする魔法」とまで言われたアメリカ発のビーズソファーを扱っている。

ランキングの公開をスタートした2017年7月~9月期以降、このブランドの出店・退店には、出店数も多いが退店数も多いという特徴があるそうだ。商品を実際に体験してもらう場として「ポップアップストア」的出店を志向していることが背景にあり、店内写真や動画のSNSへの投稿なども認めていて商品の魅力の拡散にリアルとネットという幅広いチャネルを駆使している。

そして退店ランキングでは、退店ショップが退店数1店だけの5ブランドしかないという結果となった。これはランキングの集計スタート以来で初めての事象で、インテリア・寝具・家電大業種の出店傾向の好調さが表れた結果となったようだ。

ECとSCの未来はどうなるか

調査結果にあるように、ファッション関連では「西松屋」がトップに躍り出た。ベビー・キッズ向けのアイテムをメインで扱う同社と、ファミリーが多く来訪する大規模SCはもともと相性が良い。その上で集客力がありつつ企業としての体力もあり、かつ広いスペースでの出店が可能といった条件を満たす同社がトップとなったのは、ある意味必然とも言えるだろう。

またインテリア部門トップの「Yogibo」の出店戦略はかなり特徴的だ。リアル店舗を「ポップアップストア」として位置付けてSNSなどネットでの拡散を企図していることは、まさにプロモーションの手法としても先端かつ王道とも言えるだろう。

EC市場が発展する中、必ずしもリアル店舗での出店状況が事業全体の実像と実態を表現しなくなっていることも事実で、オムニチャネル施策を含めたECとの絡みでもSCと各ブランドの今後がどうなっていくのか大いに注目だ。

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