「商品の差別化ができていない」は4割、D2Cビジネスにおける課題が浮き彫りに 「ここが難しい、D2C」

ECのミカタ編集部

株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)はD2Cビジネスに実際に関わっている / D2Cビジネスを検討している全国の20歳~69歳の男女632人を対象に「D2C」をテーマにインターネットリサーチを実施。その結果を公表した。

ブランドの世界観・ストーリーの創出は「自社で顧客分析」

ブランドの世界観・ストーリーの創出は「自社で顧客分析」

「どのようにブランドの世界観やストーリーを創ろうとしているか・どのように創ったか」を聞いたところ、最も多かった答えが「自社で顧客分析を実施」(67.4%)であった。

D2Cの世界観やストーリーづくりには、自社での顧客分析が最もメジャーな手法であることがわかる。

世界観・ストーリー創出における課題は「顧客分析が活用できていない」

世界観・ストーリー創出における課題は「顧客分析が活用できていない」

続いて、「ブランドの世界観やストーリーを創るうえで課題に感じていること」を訪ねた。その結果、「顧客分析が活用できていないこと」がトップで41.5%。「社内の見解・解釈一致」(39.4%)が僅差でそれに続いた。

前述の「どのようにブランドの世界観やストーリーを創ろうとしているか・どのように創ったか」という問いに対しては、「自社で顧客分析を実施」がトップの回答であったが、その顧客分析をうまく活用できていない現状が浮き彫りになっている。

差別化要素は「機能性」と「世界観・ストーリー」

差別化要素は「機能性」と「世界観・ストーリー」

さらに、「商品開発をしていくうえでどのようにして他社との差別化を図ろうとしているか」についても聞いた。その結果、「商品の機能面(配合成分等)での差別化」と「商品のブランド世界観やストーリー性での差別化」がどちらも約60%の割合で並んだ。

ブランドにとって、世界観やストーリーといった共感を呼ぶ要素や「自分事化」できる背景を作り上げることが、商品機能の差別化と同程度に重要であるという認識が浸透していることがわかる。

「競合他社と商品の差別化ができていない」は4割

「競合他社と商品の差別化ができていない」は4割

また、「商品開発をしていくうえで課題に感じていること」を尋ねたところ、「商品について、競合他社との差別化ができていないこと」が最も多く、40.5%であった。

前述の質問「商品開発においてどのように差別化を図ろうとしているか」では、「商品の機能面(配合成分等)」「商品のブランド世界観やストーリー性」を用いた差別化が多くの回答を集めたが、それらを用いた差別化がうまくいっていない現状がうかがえる。

一方で、「商品開発に関するノウハウ不足」も37.5%にのぼり、訴求メッセージや世界観等を課題に感じてはいるものの、そもそもノウハウ不足に悩む人も多いことがわかった。

D2C事業のサイト制作で感じている課題

D2C事業のサイト制作で感じている課題

「D2C事業のサイト制作で課題に感じていること」についても聞いた。その結果、「社内に知見のある人・デザインできる人がいないこと」が37.5%、それに次いで「どこから手をつけたらいいのか分からないこと」が27.2%にのぼった。

現状、D2Cビジネスに関わっている人、D2Cビジネスを検討している人のうち、サイト制作に関する十分なリソースが確保できていない人が少なくないことがわかる。

D2C事業の集客で感じる課題

D2C事業の集客で感じる課題

また、「D2C事業の集客で課題に感じていること」について尋ねた結果、「社内に知見のある人がいないこと」が37.5%、そして「社内で運用しているがうまくいっていないこと」が30.4%と、社内体制に関する課題が並んだ。

自由記述の回答では、「新規事業なので手探り状態。部署間での相互協力体制も不十分」「専門知識が乏しいため広告の改善が進まず成果も出ない」「実績効果期間が短期ではないことの理解が得られない。長期視点で判断してもらえない」など、D2C事業が初期段階であるがゆえの悩みが目立つ結果となった。

長期的視点に立った施策や取り組みも不可欠

もともと「D2C」というワードが注目されていたところに、コロナ禍の直撃でEC需要が拡大。これまでネット販売を行っていなかった事業者もこぞって「ECをやらないと」「これからはD2Cの時代だ」と、次々にD2C事業に参入したが、コロナ禍が本格化して約1年半が経過した今、さまざまな課題が表面化してきている。

足元の売上の向上・業績の改善を求めるのは致し方ない面もあるが、ブランドの育成は時間がかかるものだ。特にリピート性の高い商材を扱う場合は、長期的視点に立ったLTVの最大化施策が不可欠になってくる。D2C事業で本格的に成果が出てくるのは、多くの事業者が期待しているよりも先になりそうだ。

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