KARTEとBeacon Bankが連携開始 OMO高度化で快適な買い物体験をサポート

ECのミカタ編集部

株式会社プレイド(東京都中央区:代表取締役CEO 倉橋健太)が提供する CX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」(以下、KARTE)と、株式会社unerry(東京都港区:代表取締役CEO 内山英俊)の運営する日本最大級のリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank®️」(以下、Beacon Bank)は、プロダクト連携を開始した。

KARTE×Beacon Bank

KARTEは、サイトやアプリの訪問者の行動や感情をリアルタイムに解析することで、一人ひとりにあわせた体験を設計できるプラットフォームだ。またBeacon Bankは、移動や来訪などの実行動をデータ化・AI解析し、ヒトの行動特徴や場所の混雑傾向・回遊性などに基づき行動変容サービスを提供するプラットフォームだ。

今回、顧客理解に基づいた「リテールOMO)」「スマートシティの実現」のサポートを目的として、2つのプロダクトが連携することになった。OMOは「Online Merges with Offline」の略だ。オンラインとオフラインの垣根を無くし、生活者の視点で顧客体験の向上を目的とするマーケティング手法を意味する。

プロダクト連携で実現可能なこと

プロダクト連携で実現可能なこと

今回の連携により、アプリにKARTEおよびBeacon BankのSDKを導入することで、両プロダクトによるリアルタイムでのデータ連携が可能になるという。また、KARTE Datahubでのデータ連携を行うと、アプリ外の顧客保有データやunerryの保有する人流データとも組み合わせたマーケティング施策が可能となる。

KARTEおよびBeacon Bankは、どちらも Google Cloud™ を開発基盤としており、またunerryは Google Cloud Partner Advantage プログラムにおいて Build パートナー認定を取得、プレイドも Google から出資を受けるとともにKARTEへの Google Cloud の機械学習技術などの統合において協業体制を構築している。開発基盤を共通としていることで、拡張性高く安定した連携ソリューションを提供することが可能になる。

◆実現イメージ①:CRMの深化による顧客体験価値の最大化

EC店舗利用と実店舗両方の利用状況にあわせた、会員サービスの提供や情報配信が可能になる。また、リアル行動データをもとに嗜好性や予兆行動を把握した上で、デジタル上での商品レコメンドが可能になるなど、リアルとデジタルをまたがり顧客を360度で理解することで、顧客体験価値の最大化を実現することができる。

◆実現イメージ②:店舗状況を踏まえたOMOの高度化により、スムーズで快適な買い物体験をサポート

混雑傾向を予め知らせることにより、ゆっくり店頭で買い物する時間をアプリやサイトで案内するなど、快適な買い物体験と混雑の平準化により生活者と従業員両方の安心安全を支援する。

また、店舗内の混雑状況をリアルタイムで推定し、混雑時は希望商品の事前取り置きや店頭受取りサービスをレコメンドするなど、オンライン・オフラインを通じた買い物体験をサポートすることができる。

◆実現イメージ③:カスタマー分析から得られるインサイトに基づく新規顧客の獲得

オンライン・オフラインを通じた顧客の購買等の行動分析結果から、商圏内における類似行動傾向のある生活者群をリアル行動ビッグデータから発見し、SNSや動画広告等さまざまな媒体を通じた集客プロモーションを図ることが可能だ。

新たなOMO時代の幕開け

各キーパーソンからは次のようなコメントが出されている。

三菱地所株式会社DX推進部データ&UXデザインユニットの春日慶一氏

「三菱地所では、2019年にunerry様と共に丸の内エリアに約1,000個のビーコンを設置して以来、人流解析始めまちづくりにおける様々な協業を行ってきました。また、プレイド様とは弊社の多様なプロダクトにおいて、エリア内の共通IDとして開発した『Machi Pass』と『KARTE』を連携して、個人の体験を中心とした新しいまちづくりについて試行錯誤しています。今回『Beacon Bank』が持つ幅広いリアル行動データを元にした顧客分析がKARTEと連携することで、深い顧客理解に根差した心地よい接客をシームレスに実現し、まちや住まいへの愛着が深まっていくことを期待しています」

NRIデジタル株式会社DX企画プロデューサーの吉田純一氏

「NRIデジタルでは、プレイド様とともにKARTEとIoT機器を連携したオンラインとオフラインをつなぐ新しい顧客体験の研究に2019年から取り組んできました。2021年にはKARTEにAIカメラや3D距離センサーなどを連携した『OMO OnBoard』サービスを開始、比較的小規模な空間ではKARTE上でOMO体験を実現できるようになりました。この度、unerry様の『Beacon Bank』がKARTEと連携することで、大規模な商業施設や、街区レベルでもOMO顧客体験を提供できるようになります。弊社でもスマートシティ関連プロジェクトでいち早く活用させていただいており、近日中に事例を公表できる見込みです」

顧客接点の多様化とともにリテール分野においてDXが加速するなか、スマートシティ実現に向け街全体のDXを推進する自治体や企業の取組みも本格化している。その中では、街の中での暮らしをサポートや、来訪時の体験を最大化するアプリサービスが大きな役割を果たしている。

今回のプロダクト連携は、本格化が見込まれるスマートシティ分野においても期待が寄せられており、リアルとデジタルが融合した未来のまちづくりに取り組む三菱地所株式会社の三菱地所グループエリアデジタル共通ID「Machi Pass」との連携も検討されているとのことだ。

両者はまた、今回のプロダクト連携を通じ、オンライン×オフラインのデータをリアルタイムに捉え意味合いを解釈することで、リテール分野およびスマートシティ分野における豊かな顧客体験の実現を推進するとしている。生活者行動・場所変化のリアルタイム把握、リテールOMOやスマートシティ実現、そしてECとの連携と発展に期待したい。

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