ECサイトのCVRを上げる15の改善策!各業界の平均CVRやCVRが低い理由を徹底解説

ECのミカタ編集部

ECサイトのCVRを上げる15の改善策!各業界の平均CVRやCVRが低い理由を徹底解説

CVR(コンバージョン率)・転換率とは?

WEBサイトを運営するうえで、成果測定の指標となるもののひとつがCVRです。

CVRを短縮せずにいうと、Conversion Rate(=コンバージョン率)となります。コンバージョンとは、サイト運営者が、ユーザーにとってもらおうと目標にする行動のこと。

たとえば商品を購入してもらったり、会員登録をしてもらったり、というサイトの利益につながるアクションがコンバージョンとして設定されます。

サイトを訪れた人のうち、何割がこのコンバージョンを達成したのかを表す数値がCVRであり、転換率とも呼ばれています。

ECサイトのCVRの計算方法

CVRは、サイトで発生したCVの数÷サイト訪問の総数×100で計算式できます。

たとえば商品の購入をCVとして設定している場合。1か月間のサイト訪問総数が1000、同期間で発生した購入回数が10件とすると、

10÷1000×100=1.0%

がCVRになります。

このサイト訪問の総数として扱われる数値にはいくつか種類があります。

まずはPV(ページビュー)数。指定の期間内、サイト上のページが何回アクセスされたかを示す数値です。ひとりのユーザーが同じデバイスから複数回アクセスしたとしても、1回ごとにカウントされます。

それに対し、指定の期間内で、ユーザーごとのページへのアクセス数を数える数値がUU(ユニークユーザー)数です。たとえば1日の間、Aさんという人が午前中に1回サイトへアクセス、Bさんという人が午前と午後に1回ずつ、計2回アクセスをした場合でも、Bさんの2回のアクセスはまとめて1ユーザーによる行動としてカウントされるため1日のUU数は2です。ただし、このカウントはユーザーが使用するブラウザに保存された情報を元に行われるので、別のブラウザやデバイスからのアクセスは違うユーザーによる行動として数えられます。

また、セッション数もサイト訪問数としてよく使われる値です。ユーザーがサイトに流入し、離脱するまでが1セッションとしてカウントされます。

上記の数値はいずれもGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールを使って確認できます。計算自体はPVでもUUでもセッション数でも、どの数値を使っても問題ありません。ただし、データ分析をする際には同じ計算方法で出した数値を比較しなければ意味がありませんので、必ずPV数ならPV数、セッション数ならセッション数と、数値は統一させましょう。

【業界別解説】ECサイト全体の平均CVRは1~2%程度

ECサイト全体では、CVRの平均は約1~2%となっています。

また、WordStream社が行った調査によれば、検索をしてECサイトに流入したユーザーの平均CVRは2.81%であるのに対し、広告経由の流入の場合は0.59%です。この差は、それぞれの場合におけるユーザーの商品購入に対する意欲の高さの違いから生じています。

検索流入の場合、ユーザーは欲しい商品や目的をもってサイトを訪れるため、ニーズに合致する商品を見つければ購入に至りやすいのです。

一方広告流入の場合、中でもディスプレイ広告やSNS広告は必ずしも品物そのものを探している人に表示されるわけではなく、ユーザー属性に応じて興味・関心を持ってくれそうな人に対して広告が表示されるという点が、CVに直結しにくい要因です。

さらに検索流入の中でも、とくにCVにつながりやすいのが商品名ずばりそのものやブランド・ショップの名前による「指名検索」による流入となります。

ただしもちろん、ECサイトというのはあくまでも顧客への販売形態のひとつ。ひと口にECサイトと言っても、その中にはさまざまな商材や業界が存在し、それぞれのCVRも異なります。

下の表は、Adobe社の2020年度調査を元にした商品ジャンル別の平均CVRです。それぞれの商材を主に扱う業界のEC販売事情についても紹介をしていきます。

飲料・食品ECサイトの平均CVR


飲料・食品ECサイトのCVRは1.00%前後です。全体の平均値と比較してそこまで高くないのには、このジャンルでは指名検索の割合が少なく、かつシンプルにより安い商品が好まれる傾向にあるためです。

一般的に飲料や食品においては、たいていのユーザーがこだわりなくどのブランド・メーカーの商品でもよいと考えています。よって、ユーザーはサイトで欲しい商品を見つけたとしても、「もっと安く買える商品や場所があるかもしれない」と別のサイトとの比較を行うため、すぐに購入するとは限りません。

また仮に、指名検索されるような知名度の高い商品であったとしても、やはり購入先の価格の安さや配送方法などの使い勝手の良さが重視されてしまうため、魅力ある商品を揃えていてもCVせずに離脱してしまうことが考えられます。

ファッション・アパレルECサイトの平均CVR


ファッション・アパレルジャンルの商材の平均CVRは1.41%です。このジャンルの商材は、指名検索で求められるようなブランド力の高いものと、より安いものが好まれる量産的なものとに二極化します。

よく好んで着ていたり、商業施設で店舗を見かけたらつい入ってしまったりするブランドはありませんか?この場合は前者の例です。一方、靴下や部屋着など、どこで買ってもいいし、何なら安い方がいいと思うアイテムはないでしょうか。それらは後者に入ります。

前者の、いわゆる“指名買い”をされる部類に入るブランドでは「その店の新作が欲しい」「雑誌で紹介されていたこのアイテムが欲しい」という目的をもってユーザーがサイトを訪れることが多く、その場合CVRも高くなりやすくなるのです。

とくにファンのつくデザイナーが手がけたアイテムなど、他と差別化された付加価値のつく商品はその傾向が顕著になります。ちなみに、ジャンル別のグラフで群を抜いてアート・工芸品のCVRが高いのも同様の理由です。

ただし、ベビー・子ども用品のCVRは0.87%とかなり低い平均値になっています。成長の早い子ども向けの衣服は消費サイクルも早くなるため、より安く手軽なものが好まれるのが要因です。

家電ECサイトの平均CVR


家電ECサイトの平均CVRは約1.72%です。家電ジャンルの商材も、実は飲料や食品と同じく代替性が高く、またより安いものが好まれる傾向にあります。ですが、CVR値は低くなく、EC市場全体からみて平均的な値です。

その要因となっているのが、主要サイトの数の少なさ。家電を専門に扱うECサイトと聞いて、名前が出てくるサイトの数はそこまで多くないのではないでしょうか?このように競合が少ない場合、比較対象も少ないことになるため、結果的にCVRは上がりやすくなります。

家具・インテリアECサイトの平均CVR


家具・インテリアジャンルのCVRは約1.55%と、こちらも平均的と言える値です。前者に含まれる大型の家具・インテリアやファンのつくインテリアブランドの商品は、指名買いをされることが多いため、訪問者が目的をもってブランドやショップのサイトを訪れて購入に至ります。

後者の場合、日常使いの雑貨などが含まれますが、メーカーごとの差別化もあまり目立たないため、「価格が安い・買いやすい」ことを重視して選ばれており、食品などと同様にCVRがあまり上がらないことになります。

CVRが低い理由

さて、各ジャンルでの平均CVRをご紹介しましたが、「もしかして自分のサイトはCVRが低いかも」と感じる場合もあるかと思います。あるいは、以前に比べてCVRが下がってしまったことに悩んでいる方もいるかもしれません。

CVRが低い・あるいは下がってしまった要因として、たとえば以下が考えられます。

ユーザーのニーズにマッチしていない


サイトの商品ラインナップは現状、本当にユーザーが「欲しい」と思えるものになっているでしょうか?もしくは、商品力は十分にあっても、サイトの見た目や使い勝手がターゲットとするユーザーに好まれていないという可能性もあります。

広告などのターゲティングが外れている


ECサイトの主な集客方法に、WEB広告の出稿があります。ですが、この広告のターゲティングを間違えている場合、流入は増えているのにCVにはつながらないというかなりもったいない事象が起きてしまいます。

市場環境の変化


以前と比べてサイトのCVRが下がっている場合、必ずしも内部の問題だけが原因となっているわけではなく、市場環境か変化したためという可能性も考えられます。EC市場は年々拡大しており、新規参入する事業者も増加傾向にあります。競合が台頭すれば、それだけ顧客獲得は難しくなり、CVにも容易にはつながりません。

また、近年のパンデミックや気候の移り変わり、株価の変動など、リアルな世界でのさまざまな情勢の変化もまたECサイトの売れ行きに影響を与えます。なので、必ずしも内部的なものがCV低下の要因になっているとは言えないのです。しかし、そうした外からの影響へどう対応するかを考えるのも、利益をあげるためには必要なこととなります。

サイト自体が使いにくい


商品カテゴリーの切り分けがわかりづらい、会員登録フォームの入力がしにくいなど、「このサイト使いにくいなあ」と思われてしまうような欠点があることも、CVRを上げられない原因となります。たとえよい商品がサイトにあったとしても、そもそもそれがどこにあるかユーザーにわかってもらえなければ購入してもらえません。

また、入力フォームの操作性が悪かったり、わからないことがあってもFAQやお問い合わせのページがなかったりする場合、ユーザーは簡単にサイトを離脱して他のショップへ流れていってしまいます。

「今」買うべき理由がない


実店舗と比較した際のECサイトのメリットは、いつでもどこでも顧客がアクセスをしてくれる点です。が、裏を返せば購入の意思がそこまで強くないユーザーも多くサイトを訪れるため、なんとなく商品だけ眺めて離脱していってしまう、ということも起きやすくなります。

あなたも、電車での移動中や待合時間のあいだ、手持無沙汰でなんの気なしにネットショップを覗いたことはありませんか?そうした際、ユーザーにとってECサイトを見ている時間は“買い物をする時間”として意識されていません。どちらかといえば、SNSやニュースアプリなどに近い“コンテンツ”として捉えられていると言ってもいいでしょう。

そのため、ECサイトを訪問したとしても、必ずしも商品を買うわけではないという人が少なくないのです。

ECサイトのCVRを上げる改善策15選

ここからは、より具体的にCVRを上げるためにできることをご紹介していきます。

サイトコンセプトの見直しやターゲットの見直し


今のサイト全体のイメージは、商品のもつ価値やメインとするターゲット像に合致するものでしょうか?

難しく考えることはありません。実店舗においても、店構えや内装は、商品の客層にあわせたものにするするはずです。あるいは、ターゲット像自体を見なおす必要性も考えられます。自社の商品やサービスを本当に必要としている人は誰で、そのペルソナに好まれるにはどうすればよいかをよく検討してみましょう。

TOPページの改善


TOPページはサイトの“顔”ともいうべき部分です。季節の特集やセールの特設ページのリンクバナーを置くなど、ひとめで商品のアピールができる工夫をしましょう。また、新商品の紹介やお知らせといった更新性のあるコンテンツを置くことも有効的です。

モバイルファーストへの対応


令和2年に行われた調査では、一般消費者向けのEC市場において、スマートフォンを経由したアクセスによる売上の比率が全体の50.9%にのぼっていました。この数字は年々増加傾向にあり、スマホを介したネットショッピングの活性化が、EC市場全体の発展にも影響を与えていると考えられています。半数以上のユーザーがスマホ、あるいはタブレットなどのモバイル端末からサイトを見ているということは、当然その操作性に配慮しなくてはいけません。

サイト運営者の多くはPC画面から管理を行うと思いますが、必ず都度、モバイル端末からのサイト操作の状況もチェックをしましょう。

クーポンの発行


クーポンを発行する、というのも顧客の購買を促すひとつの手。割引クーポンや送料無料クーポンで、顧客の購買を後押しします。使用期限を設けると、「その期間内に使わなくてはいけない」という気持ちを掻き立てられるのでより効果的です。ただし、無暗に発行をしていると今度は利益率の低下につながってしまうため、注意しましょう。

商品ページの画像や説明文の充実化


各商品ページの画像や説明テキストは十分商品の情報を伝えられているでしょうか?実物を手に取ってみることのできないECサイトでは、商品ページの充実度が大事な鍵となります。複数のアングルからの写真や、画像・文章ともに使用イメージの紹介、サイズ情報や使用方法などが掲載されているかを確認しましょう。

レビュー投稿など信頼性の獲得


第三者からの評価は心理的に受け入れられやすいものです。他のユーザーからの商品レビューは、購入検討者にとって参考になり、サイトへの信頼度アップにも貢献します。

「購入後、レビューを投稿してくれたら次回使用できる割引クーポンをプレゼント」などの施策を打つなど、レビュー収集に役立つ対策を行ってみてください。

チャットなど接客ツールの導入


実店舗と比較したECサイトの弱点のひとつが、顧客ごとに直接の接客ができないことですが、自動チャットシステムなど接客ツールの導入である程度カバーが可能です。

自動応答チャットがあれば、顧客は自分の欲しい商品を見つけられなかったり、そのほか質問があったりする際、問い合わせをするより気軽に問題を解決できます。

カゴ落ちを防ぐ対策をする


ユーザーが商品を買い物かごに入れたものの、結局購入までに至らないことを「カゴ落ち」といいます。自分のサイトでカゴ落ちしてしまう要因は何なのかを分析し、改善に努めましょう。

購入までの流れをスムーズにする


サイトのあるページにランディングし、商品を見つけて買い物かごに追加、決済画面に進んで購入を完了する。この一連の流れの中に、ユーザーの行動を妨げてしまうようなものはありませんか?

たとえば関連商品を見つけにくい、会員登録や決済入力のフォームが小さすぎて文字を打ち込みにくい、など。ストレスなく購入フローを終えられるようにできれば、途中での離脱を防げますし、「使いやすいサイト」として印象付けてリピート購入をしてもらえる可能性も高まります。

集客方法や露出先などの精査


広告のターゲティングが的確でないと、CVRが下がってしまう要因になり得る、とご紹介しました。

広告以外にも、SNSや他メディアでの紹介など、サイトの宣伝・集客の機会は多くあります。それらがサイトのターゲットとする層にきちんと届いているかを確認しましょう。

たとえばSNSであれば、各プラットフォームにより利用率の高いユーザー層が異なります。自サイトの商品を必要とするユーザーが目にしやすい場所での露出機会を増やす工夫を行ってみてください。

決済手段の改善


幅広い顧客ニーズに応えるために、決済手段は複数用意をしておきましょう。商材のターゲットとなる年齢層がどれくらいなのかも重要です。WEB操作に慣れていないお年寄りがターゲットとなる場合、複雑な決済手段はあまり好まれません。また、10代の若者を対象としている場合、顧客はまだクレジットカードを持っていない年齢のため、コンビニ決済など他の手段を充実させる必要があります。

レコメンドツールの導入


実店舗では、商品を手に取った人にお勧めの組み合わせアイテムを紹介したり、あるいは売り場のPOPで商品の魅力をアピールしたりという接客ができます。それと類似したことをECサイトでできるのがレコメンド機能です。各商品ページに関連商品や類似商品へのリンクを設置したり、購入画面の手前でついで買い商品を表示させたりといったことができるようになります。

エラーページや誤字がないか見直す


サイトの中に、リンク切れのエラーが出ているページや体裁の崩れ、誤字のある箇所はありませんか?

今挙げたような不具合がサイトにあると、ユーザーに「このサイトで買い物をしても大丈夫かな?」という不信感を与えかねません。EC市場の発展により、「ネットでものを買うのは怖い」と考える人はだいぶ少なくなりました。ですが、まだまだ自分の良く知らないブランドや新規参入のネットショップで買い物をすることに、抵抗を感じる人も一定数います。

また、リンク切れ・体裁の崩れ・誤字はいずれも、本来伝えるべき内容を伝えきれないというデメリットにもなるので、見つけ次第早めに対処しましょう。

ターゲット層に合った商品に改善する


そもそも“売れる理由のある商品”がそろっていれば、顧客は買い物をしてくれます。

今の商品は、本当に顧客が求めているものでしょうか?ただ良質な商品をそろえる必要があるというのではなく、ニーズにあわせて価格なども都度精査が必要です。常に顧客が求める商品力を用意できていれば、CVRの低下は防げます。

「今」買うべき理由を作る


購入意思の低い人が多く訪れることも、CVR低下の原因として考えられることはご紹介しましたね。それでは、そうした人たちに購入してもらうにはどうすればよいでしょうか?ポイントは、顧客心理をうまくとらえることです。

たとえば、ユーザーの心理としてつい惹かれてしまうのが、“限定”というワード。「期間限定」「数量限定」で特集やセールを組むと、「今買わなくちゃ」という気持ちを起こさせやすくなります。また、冬の防寒対策、梅雨前のレインアイテムなど、季節に応じた商品を的確にアピールするのもよいでしょう。

まとめ

CVRを高めることは、サイトの利益を上げるために重要です。たとえ集客を頑張ってサイトの訪問数が倍増したとしても、その中で購入してくれる人の数が同じままだったらとてももったいないですよね。

この記事では、ECサイトでCVRが低い原因や、具体的な改善方法を紹介いたしました。

ぜひ参考にしていただき、より収益の高いサイトを目指してください。


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