梱包作業のやり方。EC運営における梱包の課題を解決する業務効率化の方法や満足度を高める工夫

ECのミカタ編集部

梱包作業のやり方。EC運営における梱包の課題を解決する業務効率化の方法や満足度を高める工夫

ECサイトの普及やコロナ禍の影響を受け、配送量も増加の一途を辿っている。これを受けて、梱包作業の手間も増えていることから、やり方を工夫し業務の効率化を図りたいと考える担当者もいるのではないだろうか。

今回は、ECサイトにおける梱包作業の課題や梱包のやり方、効率化を図るための工夫、梱包材の種類と、商品特性に応じた使い分け例を紹介する。梱包のコツと満足度を高めるポイントにも触れるので、日々の梱包作業を進める際の参考にしてもらいたい。

目次

●ECサイトにおける梱包作業の課題
●梱包作業のやり方・手順と、それに付随する問題とは
●梱包作業の効率化を図る工夫
●梱包材の種類と、商品特性に応じた使い分け例
●梱包のコツと満足度を高めるポイント
●まとめ

ECサイトにおける梱包作業の課題

梱包作業とは、物流の一過程で商品を包装する作業のこと。商品を運びやすく破損のないよう消費者に届けるためには欠かせない作業だ。近年、ECサイトの普及やコロナ禍での巣ごもり需要の増加などを受け、配送量が急増。これにより、梱包作業の負担が大きくなっている。加えて、物流業界においては人手不足も深刻な状況である。作業量が増える一方で、安定的な人材の確保が難しく、人によって作業効率に差が出るといった属人化の問題もあり、人手不足から発生するミスも少なくない。

このような背景から、スピーディーかつ丁寧で正確な梱包作業とともに、梱包作業の効率化を図りたいという課題を持つ事業者は少なくない。


梱包作業のやり方・手順と、それに付随する問題とは

次に、一般的な梱包作業のやり方を確認し、どのような工程に手間や時間がかかるのかを確認しておこう。

荷物の種類や大きさに合わせて梱包材を準備する


まず包装する商品の種類や大きさに応じて、箱や袋などの梱包材を準備する。商品の特性によっては、十分に強度のある物を選んだり、防水性のある資材を選んだりする必要がある。

種類や大きさが異なる多種多様な商品を扱っている場合には、適した梱包資材もさまざまであるケースが多い。そのため、多くの梱包資材から適正な物を選び出すことに時間がかかるという課題がある。

荷物の隙間に保護性のある緩衝材を選ぶ


梱包材を準備した後は、商品と梱包材の隙間を埋め、荷物を保護するために緩衝材を選ぶ。壊れやすい物や電子機器といった衝撃に弱い商品の場合、保護性が強い緩衝材を選ぶ必要がある。

この作業では、梱包する商品の特性に合わせた緩衝材選びが重要となる。しかし、緩衝材にもさまざまな種類があるため、選定に慣れていないと、余計な時間がかかってしまう場合が多い。

商品を箱詰めし、クラフトテープやOPPテープで封止する


緩衝材を選んだあとは、緩衝材で隙間を埋めながら梱包し、クラフトテープやOPPテープなど封止を行う。

商品を箱詰めする際、荷物の種類によっては緩衝材をカットしてテープで留めるといった緩衝材の加工作業も加わる。また、クラフトテープやOPPテープで封止する際、商品の重量によってテープの貼り方を変えることも必要だ。例えば、重い荷物の場合は「一本貼り」ではなく、「クロス貼り(十字に貼る)」や「H貼り(一本貼りに加えて箱の両端にも貼る)」などが挙げられる。このように封止業務では、商品特性によって手間が異なり、必要な判断を行うための相応の経験と技術も必要となる。


梱包作業の効率化を図る工夫

このように、梱包作業のやり方は配慮する点が多い。どのような点を改善することで、梱包作業の効率化を図れるのか、工夫したいポイントを解説していく。

梱包作業の確認


まずは、普段行っている梱包作業の環境やフローの確認を進めたい。作業動線や作業台、自動化できることがないか見直しを実施しよう。

作業動線
作業導線は効率よく作業を進める上で最も重要だ。商品準備から梱包材や緩衝材の選定、梱包、発送場所への移動までを流れるように行える作業環境になっているか再度確認しよう。進行のボトルネックとなってしまっている箇所があれば、動線の見直しが必要だ。

作業台
スムーズに梱包作業を進める上で、作業台の高さや広さも重要となる。作業を行う人にとって、適切な高さなのか、作業がしやすい十分な広さが確保されているかなどを確認し、必要に応じて作業台の見直しを行おう。

自動化
定型的な作業がある場合には、自動化できるシステムを導入することも検討したい。例えば、箱の組み立てやラベル貼りといった作業は機械に任せることで、効率化につながるケースが多い。ただし、導入にはコストや仕組み作りの手間がかかる。作業量と人件費、導入設備の償却率等を考慮した上で、自動化の可否を決定したい。

適切な梱包資材の利用


段ボールや緩衝材など、日頃使用している梱包資材を見直すことも効率の向上に役立つ。例えば、段ボールであれば、テープを使用せずにワンタッチで組み立てられる製品を利用すると作業工程の削減に役立つ。ポストに投函できる厚さの荷物であれば、メール便用のテープ付き資材を使うといった方法もある。

また、緩衝材も多くの種類がある。それぞれの緩衝材の特性を知り、商品の種類に応じた適切な緩衝材の使用で、作業効率を上げることも可能だ。自社の扱っている商品の特性と作業の効率化の観点から、最適な緩衝材を選択しよう。


梱包材の種類と、商品特性に応じた使い分け例

梱包作業においては、梱包材の種類を把握しておくことも重要だ。梱包材の種類と商品特性に応じた使い分けの例も紹介していく。

ダンボール


ダンボールは、一般的な梱包材として使用されることが多い。オリジナルのダンボールを作成すれば、消費者の印象も変わり、ブランディングにもつながる。送料は、箱の大きさ(長さ・幅・深さの合計)や重量、配送先によって変わる。小さいサイズであるほど配送料を抑えられる傾向にあるが、詰められる緩衝材の量が少なくなる。ワレモノや電子機器などの壊れやすいものの場合は注意が必要だ。

大抵の物は、ダンボールで送ることが可能だが、小さい物や薄い物は箱を使用すると送料が返って高くなる傾向にある。

折りたたみ式ボックスケース


折りたたみ式ボックスケースとは、ダンボール紙や厚紙を組み立てて作るタイプの箱のことだ。ギフトボックスのような見た目になるため、オシャレに箱詰めが可能となる。配送料は大きさや厚みによって異なるが、小型の商品であればダンボールよりも安価に発送が可能だ。

サイズ展開が豊富なため、ファッション雑貨や小物、食料品など小型で軽量な商品の発送に向いている。ただし、ダンボールに比べて強度は弱いため、梱包する商品によっては緩衝材を使う工夫が必要となる。

宅配袋


宅配袋とは、紙で作られている配送用の袋のことだ。商品の大きさに合わせて袋を折り畳めるため、商品に合わせたサイズに梱包でき、送料時のコスト削減につながる。ヤマト運輸や佐川急便、日本郵政の大手配送業者は、それぞれオリジナルの宅配袋を販売している。消費者にとって、パッケージを破棄しやすいといったメリットがある。

なお、宅配袋の内側に緩衝材がついていないため、洋服やカタログのような、破損しにくい商品に向いている。

宅配ビニール袋


宅配ビニール袋とは、配送用の丈夫なビニール袋のことだ。ビニール製のため、水濡れに強いのがメリットと言える。袋自体は薄くて軽い特徴があり、送料の節約効果も期待できる。

クッション性はなく、破損に弱い商品を梱包するのには不向きなため、洋服やタオルなど、畳んでコンパクトに発送できるような商品で使われる傾向にある。

封筒


小型の薄くて軽い商品を発送する場合には、封筒も梱包材になる。オリジナルデザインの封筒も作成しやすいため、上手に活用するとブランディングにもつながるといった特徴がある。配送料は大きさにもよるが、軽いものであれば安価に送れる。

水濡れや衝撃には弱いため、内袋としてビニールを使用したり、緩衝材を併用したりと注意が必要だが、アクセサリー類やファッション小物などの発送に向いている。

クッション封筒


クッション封筒とは、封筒の内側に気泡緩衝材がついているタイプの封筒のことだ。緩衝材があることで、通常の封筒を使うよりも、簡単に梱包できるといったメリットがある。

クッション封筒に入るサイズのものであれば、本やCD、DVD、化粧品類、小型家電など幅広い使用が可能だ。梱包や発送の流れが簡単になるため、扱う商品の大きさによって上手に活用したい。


梱包のコツと満足度を高めるポイント

ECショップは、消費者と対面でのコミュニケーションがない分、商品の受け取りや開封時の印象が、自社への印象を左右するポイントとなる。最後に、梱包のコツと消費者の満足度を高めるポイントを紹介する。

丁寧できれいな梱包を意識する


梱包作業の基本は、丁寧できれいな梱包を意識することが重要だ。梱包する商品の特性に応じて、商品に直接保護を行い、箱や袋の中で商品が動くようであれば、緩衝材を隙間に入れて埋めていく。外装を留めるテープは真っ直ぐ、シワがないように貼り付けよう。

梱包時は、受注した商品が適正なのか、発送先や納品書などに間違いが無いかもしっかり確認しておきたい。


チラシやメッセージを添える


梱包時は、商品と一緒に、自社のショップのチラシやメッセージカードを添えることもおすすめだ。チラシは、他の商品の紹介はもちろん、販売予定アイテムの宣伝にも活用可能だ。

また、メッセージカードは消費者にとって好印象を与える傾向にある。必要に応じて、商品の使い方やお手入れ方法を伝えることで、より印象に残るといった特徴もある。

ノベルティやおまけを付ける


購入した商品以外に、ショップのイメージに合わせてノベルティやおまけをつけるのもひとつの方法と言える。また、割引クーポンや商品サンプルをつけることで、お得感があり、リピート購入につながるといった可能性もある。

オリジナルの手法で、消費者に「また利用したい」と思ってもらえるような工夫をしていくことが大切だ。

環境に配慮した資材で梱包を行う


近年では、持続可能な消費行動を促す企業の社会的な責任は増している。それとともに、消費者側もSDGsに対する意識が高まっており、環境に配慮した資材を梱包に活用していくことがより求められるようになっている。ECサイトを利用する際も、廃棄物をなるべく少なくして環境に配慮したいという声も多く、企業のサステナブルな取り組みに関心を寄せている場合も少なくない。

例えば、梱包材を持続可能な森林活用・保全を目的に活動する国際的な制度を示す「FSC認証」を受けた段ボールに変更する、緩衝材を再生紙に変更し、消費者が廃棄の際に分別しやすいように素材を統一する、といった取り組みを行っている企業も増えている。SDGsへの取り組みは、今後ブランド力の向上につながるとも考えられているため、仕組みとして取り入れていきたい。


まとめ

梱包作業のやり方について、効率や人材不足などの課題から業務効率化を実現したいと考えている担当者も多いのではないだろうか。今回紹介した、自社の梱包作業の仕組みや梱包資材を再度見直し、一つひとつ問題をクリアにしていけるとよいだろう。梱包資材の選び方と梱包のやり方次第では、消費者に与える印象も大きく変わってくる。消費者の目線を大切にし、ブランドの価値を高めるような梱包を目指したい。


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