コールセンターのインバウンドとは。「きつい」理由や業務のコツを解説
顧客からの問い合わせに対応するコールセンターのインバウンド業務。
コールセンターでの顧客対応は、サイトのイメージにも直結するので、「インバウンド業務を強化する方法を知りたい」と考えるEC担当者もいるのではないでしょうか。
今回は、コールセンターにおけるインバウンド業務の概要や仕事内容、「きつい」と言われる理由について解説します。インバウンド業務成功のコツについても紹介するので、これからコールセンターを設置、もしくは委託を考えている方は必見です。
コールセンターにおけるインバウンド業務とは
コールセンターで行うインバウンド業務とは、主に顧客や見込み客からの電話に対応する業務全般を指します。
いわば、受け身の電話業務です。
問い合わせの内容は、見込み客からの申し込みのほか質問、クレームなど多岐にわたります。
あらゆる要望に対応する必要があるため、受け手にも幅広い知識や経験、場合に応じた柔軟な対応などが求められる業務といえます。
コールセンターのインバウンドの種類
コールセンターのインバウンド業務は主に以下の3種類に分けられます。
- カスタマーサポート
- 注文受付
- テクニカルサポート
カスタマーサポート
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに対応する業務です。
製品やサービスに関する質問、トラブルシューティング、使用方法の案内など、顧客が抱える問題を解決する役割を果たします。
迅速かつ丁寧な対応が求められ、顧客満足度を向上させるための中心的な存在といえます。
注文受付
注文受付は、商品やサービスの注文を受け付ける業務です。
電話やインターネットを通じて顧客の注文を受け取り、システムに入力することが主な作業内容です。
正確な情報入力と迅速な対応が求められ、顧客がスムーズに注文を完了できるようにサポートします。
テクニカルサポート
テクニカルサポートは、技術的な問題に関する問い合わせに対応する業務です。
ソフトウェアのインストールや設定、ハードウェアの故障診断、ネットワークのトラブルシューティングなど、扱っている商材の専門知識が求められます。
顧客の技術的な課題を解決するために、詳細な指示やアドバイスを提供します。
アウトバウンドとの違い
コールセンターのインバウンドとアウトバウンドの違いを表にまとめました。
インバウンド | アウトバウンド | |
---|---|---|
発信者 | 顧客側 | コールセンター側 |
目的 | 顧客・見込み客の対応 | 営業 |
業務内容 | ・申込み ・質問テレアポ ・クレーム対応など |
商品やサービス紹介 (テレアポ) |
両者の主な違いは「発信者」にあります。
インバウンドは「顧客」の発信に対応する業務であるのに対し、アウトバウンドは「コールセンター側」から発信するのが基本です。
また、インバウンド業務の主な目的が「サポート」であるのに対し、アウトバウンドの主な業務目的は、営業です。
そのため、商品やサービスの紹介をするために未顧客に架電したり、営業部隊のためにテレアポをするなど、営業色の強い仕事といえます。
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インバウンドコールセンターの仕事内容
ここでは、インバウンドコールセンターの具体的な仕事内容を解説します。
問い合わせの対応
インバウンド部隊は、ECサイトの問い合わせ窓口です。デパートでいうところの総合案内をイメージするとよいでしょう。
顧客からの問い合わせ内容を把握し、適切な担当部門に取り次ぎます。
商品やサービスへの申し込み・解約対応
電話による商品やサービスの契約や解約手続きもインバウンド部隊の業務です。
商品の購入に関しては、ただ手続きを進めるだけでなく、セット販売や定期コースへの転換を促すといった、営業としての役割を担うケースもあります。
また、ECサイトによっては、解約時にコールセンターを経由する仕組みを取り入れているところもあります。解約理由によっては、不満を解消できるように再提案が必要な場合もあるでしょう。
商品やサービスへの質問対応
顧客から商品やサービスに関する質問があった場合には、適切に回答します。
顧客の中には、商品やサービスの特徴やメリットを購入前に知りたい人もいるでしょう。
知りたかった情報を電話で得られれば、商品に対する理解が明確になり、購入への後押しなるはずです。
クレーム処理
商品やサービスにおいて不手際があった際にクレームの電話がかかってくることもあります。インバウンド業務において避けて通れないのがクレーム処理です。
クレームの種類は商品やサービス関連だけでなく、オペレーターそのものが対象である場合もあります。
あらゆる業務の中でも、クレーム対応の重要度はとても高いといえます。
適切に対応することで問題を解決し、顧客満足度向上につながるケースもあるからです。一方で、対応を誤ればおおごとになりかねないため、十分に配慮した対応が求められます。
コールセンターのインバウンド業務に向いている人とは?
ここでは、インバウンド業務と相性がよいと考えられる人材の特徴を2つ紹介します。
人の役に立つことが好きな人
コールセンターのインバウンド業務は、顧客からの問い合わせに対して真摯に対応することが重要です。
そのため、「人の役に立つことが好き」「困っている人を助けたい」という気持ちをもっている人は、インバウンド業務に向いているといえます。
目の前の仕事をコツコツ進められる人
コールセンターのインバウンド業務では、電話以外は主にPC業務がメインです。
というのも、顧客の基本情報や通話内容などオペレーター同士で共有できるように保存・管理しておく必要があり、これらは基本的にExcelや顧客管理ツールで行われています。
毎日さまざまな顧客の話を聞いて対処方法を伝えたり、顧客情報をパソコンに入力したりするのは、小さな業務の積み重ねとなります。
コールセンターのインバウンド業務がきついと言われる理由
ここでは、コールセンターのインバウンド業務が「きつい」「大変だ」と言われる理由について紹介します。
クレーム対応がきつい
ECサイトのインバウンドコールセンターでは、多くの顧客が商品の不具合や配送遅延などのトラブルに対するクレーム電話をかけてきます。
これに対処するためには、高いストレス耐性と迅速な問題解決能力が必要です。顧客の感情を理解し、冷静かつ丁寧に対応することが求められるため、精神的な負担が大きくなります。
高い応答スピードと品質を求められる
顧客は迅速かつ正確な情報提供を期待し、電話をかけてきます。
これに応えるために、オペレーターは多様な商品知識やサイトの操作方法を熟知している必要があります。
また、高い応答速度とともに、品質の高いサービスを維持することが求められるため、常に高い集中力を保つ必要があります。
自由に休憩やトイレに行けない
コールセンターのインバウンド業務では、シフト中に休憩を取ることやトイレに行くことが難しい場合があります。
特に繁忙期やクレーム対応が多い時期には、連続して電話対応を行うことが求められるため、身体的な負担が大きくなります。
休憩が取れないことで、ストレスが蓄積し、長時間の座り仕事による健康リスクも高まるため、働く環境として過酷な面もあります。
コールセンターのインバウンドは「楽」という意見も
コールセンターのインバウンド業務は、アウトバウンド業務と比較して「楽」と言われることがあります。
インバウンド業務では、顧客からの問い合わせやクレーム対応が中心であり、受動的に電話を受ける形になります。
一方、アウトバウンド業務では、オペレーターが積極的に顧客に電話をかけ、商品やサービスの提案、営業活動を行います。
アウトバウンド業務は、顧客に断られるリスクや高い営業目標を達成するプレッシャーが大きいため、ストレスを感じやすい人も多いようです。
ECサイト運営において、インバウンド業務強化で期待できる効果
ECサイト運営では、インバウンド業務の強化により高い顧客満足度の実現が期待できます。
コールセンターに問い合わせてくる顧客の多くは、自社の商品やサービスに対して関心や情報を持っていると考えられます。
そのため、顧客への丁寧な対応やクレームを意識したサービス改善を行えば、サイトイメージがアップし、顧客の満足度向上に直結していくでしょう。
顧客からの信頼を獲得できれば、自社の商品やサービスに愛着を持ってくれる「ロイヤルカスタマー」の創出といったメリットも期待できます。
コールセンターのインバウンド業務のコツ
コールセンターの対応品質が売上に大きな影響を及ぼす現代において、インバウンドコールの満足度を上げるにはどうすればよいのでしょうか。
顧客の話を傾聴する
「営業」を目的としたアウトバウンド業務とは異なり、インバウンド業務は顧客からの問い合わせに対応します。
そのため、「顧客がどのような気持ち」で、「どのような悩みを抱えた状態」でコールセンターに電話をかけているのかを常に考える必要があるのです。そのため、顧客の話を「顧客の立場に立って」共感しながら聞くことが大切です。
顧客を待たせる時間を減らす
いつかけてもつながらないコールセンターは、企業やサービスのイメージ低下につながります。
とはいえ、保留状態が長いコールセンターも顧客の不満につながりやすいといえます。
待ち時間を減らすための対策はさまざまです。
たとえば、「対応件数を増やすためにはオペレーターの数を増やす」、「1件の対応スピードをあげるための技術向上」なども有効でしょう。
また、顧客自身で自己解決できる内容には、自動応答システムの導入を検討するのもよいでしょう。
もし現状で待ち時間が長いという課題を抱えているのであれば、対応品質を落とすことなく待ち時間が減らせる方法を考えてみましょう。
顧客にわかりやすく伝える
「直接話せば伝わることでも、電話では伝わりづらい」という経験のある人も多いでしょう。すべて電話でのやりとりとなるインバウンドコールでは、常に相手のことを考えて伝えなければなりません。
問題解決のための的確な回答を伝えることはもちろん、誰が聞いても理解できるように噛み砕いて説明することも大切です。
オペレーターがわかりやすく説明できる環境を整えるためにも、できるだけ専門用語を使わないマニュアルを用意しておくとよいでしょう。
コールセンターでのインバウンド業務を成功させるポイント
ここでは、インバウンド業務自体を成功させるポイントについて紹介します。
チーム単位で取り組めるポイントを紹介するので、優秀なインバウンドチームの形成に役立てましょう。
顧客対応のマニュアル・トークスクリプトを作成する
インバウンド業務は、いつどのような問い合わせが来るか予測ができないため、顧客対応のマニュアルは必須です。
顧客への回答例や回答に困った場合の対処法など、オペレーターが戸惑うことのないようにマニュアル化しておくことで、正確でスムーズに対応がしやすくなります。
オペレーターによって応対品質の差が出ると、自社のイメージ損失にもつながりかねません。なるべくさまざまなケースで、かつ属人性なく一定レベルの対応ができるよう、細やかなマニュアル作成をすることが大切です。
オペレーターの教育や研修に力を入れる
オペレーターは、自社商品やサービスに関する知識をつけたり、トークスキルを身につけたりする必要があります。
それには、オペレーターの教育や研修に力を入れることも忘れてはなりません。マニュアルに沿った対応のほかに、顧客のニーズを引き出せるようなコミュニケーション力など、実践力が付けられるような研修の仕組みを考えていきたいですね。
インバウンド業務の特性にあった人材を配置する
インバウンド業務に向いている人材の配置も検討しましょう。
インバウンド業務ではコミュニケーション力が求められるため、人と話すことが得意であるといった特性が強みとなるでしょう。
ほかにも、自社の商品やサービスへの愛着や、困っている人の役に立ちたいといったサービス精神があると、業務を進めていく際にやりがいを感じながら顧客のサポートをしていけるでしょう。
IVRやチャットボットの導入を視野に入れる
インバウンド業務を無駄なく進めるために、IVRやチャットボットといったツールを導入するのも1つの手段です。
IVRとは、最初の電話対応を自動音声で行い、発信先を必要部署に振り分ける仕組みのこと。チャットボットとは、問い合わせを自動チャットで受け付け、チャットでの対応が難しい場合のみ電話へ誘導するといったツールです。
これらのツールを活用すれば、総合案内といったオペレーターの工数削減が実現します。また、オペレーターによる顧客対応の時間減少につながり、業務効率化を図れるといったメリットもあるでしょう。
いずれのツールも導入には費用がかかります。そのため、導入前後で人件費とツール費用とのバランスを見ながら、総合的な費用対効果で導入を検討することをおすすめします。
インバウンドコールセンターの委託費用はどれくらい?
自社でコールセンターチームを構築するのが難しい場合は、専門の業者に委託するのがおすすめです。
コールセンターへの委託費用相場は以下のとおりです。
初期費用 | ・オペレーターの研修費 ・資料作成費等 |
1万~5万円 |
月額基本料 (いずれか) |
月額固定型 (毎月一定) |
10万~30万円 |
従量課金型 (コール件数に応じて変動) |
300~1,000円 (1コールあたり) |
どの範囲の業務まで任せるかや、代行業者によって料金体系や金額は変わってくるので、複数の業者を比較検討したほうがよいでしょう。
委託費用に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
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EC専門のインバウンドコールセンターはECのミカタで見つかる◎
ECという、オンライン上で取引が完了する事業だからこそ、唯一顧客と直接コミュニケーションを図るコールセンターの役割は重要です。
顧客満足度に直結するポジションであるため、よりよい仕組み作りが求められるでしょう。今回紹介したポイントを参考に、自社サイトのインバウンド業務の体制や状況を見直してみてくださいね。
とはいえ、自社内のリソースでコールセンターを構築するのが難しいという方も多いでしょう。そういった際は、プロのコールセンター代行業者にまるごと委託するのも1つの方法です。
ECのミカタでは、ECサイト運営の知識に特化した専門コンシェルジュが、丁寧なヒアリングを行った上で、最適なコールセンター代行業者をご紹介します。
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