フェデックスによる最新EC調査結果 ニューノーマル時代において中小企業のEC事業は拡大する

ECのミカタ編集部

ECサイトでの購入体験

フェデックスコーポレーション(NYSE: FDX)の子会社のフェデックスエクスプレスは、同社が委託して実施した最新のEC動向に関する調査結果を発表した。

調査概要

今回の調査はオーストラリア、香港特別行政区、インド、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイおよびベトナムの11市場にわたり、2022年7月に Harris Interactive社によってオンラインにより実施。

ECに関わる従業員が250人未満の中小企業300社に加え、各市場で18歳を超える消費者500 人(インドは1,000人)が調査対象となった。

支出におけるEC利用割合は増加傾向にある

フェデックスエクスプレス、アジア太平洋、中東、アフリカ(AMEA)地域社長のカワール・プリット氏は以下のように述べている。

「新型コロナウィルスの感染拡大により、我々のライフスタイルはオンラインでの購入が全世代に普及し、後戻りすることはありません。現在、生活者の総支出のなかでEC利用が占める割合は増える傾向にあります。1オンラインでの購入が増えるにつれ、生活者の嗜好も変化しています。中小企業と EC 事業者の販売プラットフォームが進化する中、同調査は生活者が必要としているものを捉え、ビジネスに活用してもらうことを狙いとしたものです。カスタマーエクスペリエンスは、EC事業者の顧客獲得、また我々の輸送ソリューションの革新の双方において、重要なポイントです。EC事業者向けに開発された輸送サービスを駆使して、我々は生活者の変化するニーズに対応し、ECの継続的な成長をサポートできる体制を整えています。」

今回の調査では、日本の中小企業の65%は、この先3年間でECがビジネスの核となると考えていることが判明した。そして10社のうち約8社は、ECによるさらなる収益拡大に繋がると考えている。

実際、インドや中国、日本、韓国のような世界最大のEC市場を抱えるアジア太平洋地域においては、人口の57%がオンラインで買い物をしており、今年のECの収益は2兆900億米ドルに達することが見込まれている。

そして日本においてはマーケットプレイスが主要な購入先となっており、10人に7人がマーケットプレイスで買い物をしている。その中でもECの支出全体の91%を占め、3年前の80%から大幅に上昇していた。

カスタマーサービスの品質が注目される

オンデマンドで買い物をする生活者の増加により増えた配送量がEC事業者を圧迫している中、カスタマーサービスの品質維持は非常に重要な要素となる。

今回の調査データでは、中小企業によるカスタマーエクスペリエンスの独自評価と生活者の評価にAMEA地域において10%ものギャップがあることが判明した。

一方、日本においては同様の評価のギャップは3%と非常に小さくなっており、サービスの高さを伺うことができる。

AMEA 地域の生活者の53%は、配送に時間がかかることを一番の不満と感じており、その次に返品プロセスに 関する不満が42%と続く。

日本においてはこれらの比率が比較的低く、配送時間が かかりすぎると回答した人は37%、返品プロセスの不満と回答した人は35%という結果となった。

人材確保が難題となる

EC 全体の将来の見通しは明るいが、AMEA地域のEC事業者の65%は増加した受注の対応に苦慮している。

需要が急増する中、人材とその採用は中小企業の難題であり、世界的に大量の離職現象が起き、AMEA地域もその影響を受けている状況だ。

EC 事業者の73%は過去12ヶ月にて大量離職を経験しており、日本、韓国、香港でも、人材の定着と採用は通常よりも大きな課題となっているが、この3カ国に関してはまだ喫緊の課題というまでの状況には陥っていないようである。

物流業者によるEC事業者のサポートを

日本におけるフェデックスエクスプレスの代表者、マネージングディレクターの久保田圭氏は、以下のように述べている。

「フェデックスは、EC事業者と生活者の両者のニーズを満たすことによって、将来の EC 市場の 成長をサポートしています。EC事業者には、より負担の少ない受注処理に向け、シンプルで合理化されたソリューションを提供しています。またECを利用する皆さんには、迅速で信頼性が高く、追跡も可能な配送サービスを提供し、利用体験を向上させることを第一に考えています。」

マーケットプレイスに統合されたフェデックスのサービスによりEC事業者は、プラットフォームから離れることなく、フェデックスの航空貨物運送状を自動で作成することが可能となる。

さらに出荷や書類作 成といったフェデックスの追加機能も利用することで、スタッフの新人研修も容易になり、実務の向上にも役立つだろう。

そして、昨年提供を開始したFedEx® International Connect Plus(フェデックスインターナショナルコネクトプラス)のエリアを拡大させることで、AMEA地域の14市場全域のEC事業者をサポートしようとしている。

このようにEC向けに設定された価格帯の国際輸送ソリューションは、AMEA地域内であればほとんどの貨物を1〜3営業日以内に配送することが可能である。

結果として、今回の調査で明らかとなった迅速な配送を求める消費者の期待を満たすことも期待できるだろう。

まだまだ成長の余地があるEC市場であるが、今回の調査で人材の定着率や配送期間の長さなどの問題点も明らかとなった。

これからフェデックスが提供する新たなサービスにより、EC事業者は消費者が求める高品質のサービス維持と同時に、配送設定の管理・統制を簡易化することが期待できるだろう。

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