【2023版】WMS(倉庫管理システム)を徹底比較!導入するメリットや選び方のポイントまで

ECのミカタ編集部

近年さまざまな業務のデジタル化が進むなか、倉庫内のマネジメントを支えるWMS(倉庫管理システム)を導入する企業が増えています。しかしWMSはサービスの種類が多く、どれを選ぶべきか悩む方も少なくありません。本記事では、WMSの特徴や仕組みから選び方や、有名なWMSの比較まで網羅的に解説します。WMSの導入でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

WMS(倉庫管理システム)とは

WMSは「Warehouse Management System」の頭文字をとったもので、その名のとおり「Warehouse=在庫」を管理するシステムのことです。倉庫に入荷された商品が出荷するまでの在庫管理をはじめ、さまざまな機能で物流のベースとなる倉庫管理をサポートしてくれます。

以下で具体的なWMSの特徴や機能と、比較されることの多い「ERP(基幹システム)」との違いについて詳しく解説します。

WMS(倉庫管理システム)の特徴・仕組み


WMS(倉庫管理システム)を一言でいうと、倉庫内の情報をデジタル化することで一元管理できるシステムです。入庫時に商品や材料などを端末を使ってスキャンして取り込むだけで、在庫数の把握やロケーション管理が容易になるなど、業務の効率アップに期待できるのが大きな特徴。

また、倉庫内の情報をデジタル化することでリアルタイムに在庫状況が把握でき、ピッキングや検品、棚卸しなどの業務負担を減らすことも可能になります。

さらにWMSを使って倉庫管理することでデータを帳票やラベル、納品書などにも反映できるため、細々とした書類作成にも便利です。従来であれば人がおこなっていた業務もWMSを使うことでスピードがあがり、なおかつ人為的なミスの軽減にも期待できます。

WMS(倉庫管理システム)の主な機能・できること


WMS(倉庫管理システム)には、倉庫管理における業務負担を軽減するさまざまな機能が搭載されています。

細かい機能はサービスによって異なりますが、一般的なWMSの基本機能は以下のとおりです。

● 入荷管理・・入荷スケジュール/実績の入力、入荷リスト作成、検品/格納など
● 出荷管理・・出荷依頼/出荷実績、在庫引当、出荷支持、梱包入力、ピッキング、検品など
● 在庫管理・・在庫照会/調整、ロケーション移動指示、移動検品、補充など
● 棚卸管理・・棚卸しデータの作成/印刷、差異リストの作成、棚卸報告など
● 各種帳票作成:帳票、ラベル発行、納品書/発注書の作成など

ERP(基幹システム)との違い


WMS(倉庫管理システム)と混同されやすいシステムの1つに、「ERP(基幹システム)」があります。どちらも物流現場で活用されるシステムですが、簡単に表現すると以下のような違いがあります。

● WMS:倉庫内での業務を最適化するシステム
● ERP:社内のビジネスにおける情報を一元管理・可視化するシステム

ERPは社内の各方面でのシステムを一元管理することで、経営の合理化ができるのが大きな特徴。WMSは倉庫内の在庫管理などに特化したシステム設計ですが、ERPは在庫管理だけ出なく製造や会計、人事、マーケティング、顧客対応などの幅広い範囲を管理するシステム設計となっています。

なお、倉庫業務に限定した場合、ERPはWMSほど詳細な管理はできませんので注意しましょう。

WMS(倉庫管理システム)を導入するメリット

WMS(倉庫管理システム)のような新しい業務システムを導入すると、マニュアルの作成やスタッフの教育など、一時的な負担を心配する方もいるかもしれません。しかし、長い目でみれば”業務のやり方”を見直すことで効率がよくなり、生産性を高めるきっかけになるはずです。

生産性を高めるきっかけとなる、WMS導入の具体的なメリットを3つ紹介します。

作業を自動化し人為的ミスを減らす


WMSを導入すると、倉庫管理における業務の一部の自動化が可能になります。当然ながら自動化することで1つ1つの業務スピードはあがり、管理が複雑化している場合でもすっきりとまとめられます。また、自動化によって人が加わる工程が減り、人為的なミスの削減にも期待できるでしょう。

コストの削減


手作業での業務が減ることで人員を減らせるところも、WMSを導入するメリットの1つです。倉庫を複数もっている企業や商品数・在庫数が多い業種の場合、多くのスタッフが必要になります。

雇い入れるスタッフが多ければ多いほど人件費はかさみ、利益を圧迫することに悩む事業者は少なくありません。WMSを活用することで手作業を減らしつつ、業務をこれまでより簡単な内容にできるようになります。

そのため倉庫担当スタッフを減らしたり、簡単な業務をアルバイトやパートなどの業務形態に変更したりと、コストの削減にも役立てられます。

リアルタイムに情報を可視化


WMSはデジタルで一元管理するため、倉庫内の在庫状況がリアルタイムで把握できるのも大きなメリット。商品の動きやロケーションの変更、登録データの修正などを瞬時に把握することで、新たな発注にも迅速で的確に対応できるようになります。

さらに、WMSは複数の倉庫や取引先との連携も可能です。リアルタイムにほかの倉庫とも情報共有できることで広範囲の状況確認が容易になり、監視不足によるミス防止にもつながるでしょう。

WMS(倉庫管理システム)の比較・選び方のポイント

これからWMS(倉庫管理システム)を導入するのであれば、自社にマッチする機能を搭載しているサービスを選びたいものです。しかし、多くのWMSサービスがあり、「1つに絞るのが難しい」と感じている方も多いでしょう。

以下では、WMS導入の際に役立つ比較・選び方のポイントを5つ紹介します。

ポイント1.自社の必要とする機能を洗い出す


最初に実施したいのが、「自社に必要な機能の洗い出し」です。WMSに搭載されている細かな機能はサービスによって異なるため、自社の課題解決につながるものを選ばなければなりません。

自社の倉庫管理においてどのような機能が必要で、どのような機能があれば今ある課題が解決できるのかを検討してみましょう。

ポイント2.提供形態を確認する


WMSには、おもに3つの提供形態があります。

提供形態の種類と、それぞれの特徴は以下のとおりです。

【クラウド型】
● 社内システムの構築が不要
● 小規模企業でも導入しやすい
● 月々の維持費が必要
● 費用は月額数万円~数十万円程度

【オンプレミス型】
● 社内にサーバーを構築して運用・保守をおこなう
● カスタマイズ性が高い
● 他の自社システムとの連携も可能
● 費用は数百万円〜

【パッケージソフト型】
● インストール型ですぐに利用可能
● 社内システムの構築が不要
● システムや内容によって価格が決まる
● 費用は数百万円程度

上記のように提供形態によって導入方法や費用、できることなどが異なります。それぞれの特徴を把握したうえで、自社にとってもっとも都合のよいWMSを選びましょう。

ポイント3.対象の企業規模・業種を確認する


WMSを選ぶ際、自社の企業規模と業種に対応しているかどうかの確認は必須となります。たとえば、食品業界の場合は「期限を管理できる機能」が搭載されたWMSが必要なうえ、海外との物流をおこなっている事業者であれば「海外倉庫の在庫確認ができる機能」を選ぶ必要があります。

導入後に「データ容量が足りない」「必要な機能がない」などのトラブルが発生しないように、自社倉庫で管理したい規模と対応業種をしっかりチェックしておきましょう。

ポイント4.他システムとの連携性を確認する


基本的にWMSはほかの基幹システムと切り離されているため、既存のシステムとの連携が可能かどうかも確認が必要です。なかでも在庫管理システムや販売管理システムと連携する企業は多く、たとえば「CSVデータの取り込みができない」などの状況になると、かえって手間がかかることになります。

自社で使っているすべてのシステムとの連携は難しいかもしれませんが、重要度が高いと考えられるシステムとの連携性は必ずチェックしておきましょう。

なお、WMSは部署をまたいだり関係先との取引に関連したりすることも多く、広範囲に影響がでることを想定しておかなければなりません。

ポイント5.使いやすさ・サポート体制を確認する


WMSによって業務が効率化できるという大きなメリットの一方で、導入直後はシステムの大きな変更によりトラブルが発生することも考えられます。万が一のトラブル時に素早く対応してくれるかどうかは、サービス提供元のサポート体制によって異なる部分です。

そのため、遠隔での操作サポートの有無や営業時間、大型連休中の対応など、どのようなサポート体制を整えているのかも確認しておきましょう。

なお、現場のスタッフが「使いづらい」と感じるシステムは、業務に支障をきたしかねません。
どのスタッフが使っても対応できるように、操作がわかりやすく使いやすいシステムを選ぶのがおすすめです。

【比較】WMS(倉庫管理システム)10選

以下では、各WMS(倉庫管理システム)の特徴や価格を比較します。

まずは一覧で確認できるように、これから紹介するWMSを以下の表にまとめました。

クラウドトーマス(株式会社関通)


https://xn--gckr5a9ce1k1c3h.jp/
クラウドトーマスは、幅広い業種や企業規模で活用できるクラウド型のMWSです。スマートフォン端末とハンディーターミナルの両方が用意されているため、現場に合わせた運用が可能。SIMカードを使った運用でwi-fi工事が不要で、手軽に導入できる点もポイントです。

BtoC・BtoB問わず利用できて上位システムとの連携実績も豊富、さらに導入後でも現場にスタッフが訪問してくれるなど手厚いサポートも魅力です。

ロジザードZERO(ロジザード株式会社)


https://www.logizard-zero.com/
ロジザードZEROは、クラウドWMSトップシェアおよび稼働数No.1を誇るサービスです。無線ハンディターミナルとバーコード検品で倉庫内を管理でき、マルチOS・マルチブラウザで稼働します。365日休まずサポート体制を整えており、周辺システムとの連携実績も豊富。

英語・中国語・タイ語・ベトナム語と、外国語にも対応しているので海外に拠点をもつ企業にもおすすめです。

ONEsLOGI/WMS Cloudサービス(日立物流ソフトウェア株式会社)


https://www.hitachi-hbsoft.co.jp/solution/wms/cloud.html
ONEsLOGI/WMS Cloudサービスは、日立物流ソフトウェア株式会社が提供するMWSです。倉庫管理に必要な入荷・在庫・出荷の各工程に対応した機能を実装可能。現状の調査から要件確認、開発、導入支援、稼働後のサポートまですべて頼れるため、「自社の倉庫管理の課題がわからない」という事業者でも安心して利用できるでしょう。

また、ONEsLOGI/WMS Cloudサービスではグローバル事業展開支援もおこなっており、海外での倉庫システム導入を検討している事業者にもおすすめです。

W-KEEPER(三谷コンピュータ株式会社)


https://www.mtn.co.jp/index.html
W-KEEPERは、アパレルや食品業、製造業、物流業などの幅広い業種で製品にあわせた条件設定が可能なWMSです。入出荷処理のトラブルがおこりやすい拠点間移動を別管理できたり、決め細かい期限管理がおこなえたりと、汎用性・拡張性の高い機能を搭載。

「WEB照会」では、荷主からリアルタイムな在庫や入出荷情報を提供できるだけ出なく、ダウンロード後に2次利用も可能です。

COOOLa(株式会社ブライセン)


https://cooola.jp/
COOOLaを運営する「株式会社ブライセン」は、ソフトウェアを開発する会社のため、WMSの設計から開発まで自社でおこなっています。そのため、他社サービスに比べてローコストで自社にとって最適なカスタマイズができるのも特徴。幅広い業種や業態、小規模〜大規模まですべての規模に対応しています。

大規模MWSの運用実績も豊富で独自ノウハウをもっているため、規模の大きな企業でも安心して利用できるでしょう。

SLIMS(セノイー情報サービス)


https://www.siscloud.jp/logistics-it-cloud/solution/slims/
SLIMSは、メーカーや卸売業、小売業、倉庫事業など幅広い業種で活用されているWMSです。倉庫内の状況をリアルタイムに管理できる機能と、マネジメントに必要な管理機能の両面から倉庫管理における生産性向上が目指せます。

また、セイノー情報サービスが提供するほかのサービスと組み合わせることで、さらなる物流での課題を改善。
SLIMSの特長であるAI・ロボット・IoTなどの最新デジタル技術との連携により、今注目のDX促進に役立ちます。

Air Logi(株式会社コマースロボティクス)


https://www.ec-zaiko.net/
1,000社以上の導入、年間2,500万件以上の出荷という実績があるAir Logi。物流の資格をもつ担当者が、導入〜運用まで徹底的にサポートしてくれます。出荷件数に応じた料金制度を採用しているため低コストでの運用が可能で、予算をおさえてWMSを活用したい事業者にもおすすめです。

導入にあたり工事や購入物などは不要で、ハンディセットは月々6,500円/台でレンタル可能。
必要な機能のユニットを選んでデータを自動連携できるため、自社の運用環境にあわせた機能を選択できます。

Connected Linc(株式会社コネクテッド)


https://www.cnd-g.co.jp/lp/
Connected Lincは、クラウド型・オンプレミス型・パッケージ型の3つの提供形態から自社にあわせて選べるWMSです。商品の入荷から出荷まで倉庫内の作業工程における業務をシステム化し、正確な在庫管理を実現します。また、ロケーション管理によってピッキング時に効率的な導線を自動で計算。

カスタマイズなしであれば最短2週間で導入できますが、一般的には検討から導入まで3〜6ヶ月程度かかります。

HYPERSOL WMS 倉庫管理システム(三菱電機ITソリューションズ株式会社)


https://www.mdsol.co.jp/psi/products/hypersol_wms.html
HYPERSOL WMS 倉庫管理システムは、以前「検品の達人」という製品名で提供されていたWMSです。旧名称と製品名が変わっただけで、サービス内容の変更はありません。
製造業全般に活用できるWMSで、オフラインでも動作可能・上位システムとの連携可能・ロット管理、ロケーション管理に対応。システムの提供元は三菱電機ITソリューションズ株式会社のため、「大手のサービスがよい」と考える方におすすめです。

ZIZAIA(ジザイア)WMS(株式会社インフォセンス)


https://www.info-sense.co.jp/zizaia/
独自のフレームワークにより、導入効率・業務効率を高めるZIZAIA(ジザイア)WMS。事業者の個別要件に対応できる「可変型のスタンダード機能」を設定することで、無駄なコストをおさえて自由なカスタマイズを実現します。

固定型の企業ライセンス方式を採用しており、使用人数や拠点数が増えても追加費用が発生しません。
小売業や製造業をメインに、幅広い業種・業態に対応しています。

まとめ

商品や材料などの管理が必要な業種では、倉庫内の在庫数や保管場所の設定、商品の入れ替えなど複雑化してしまうことも多い倉庫管理。WMSを導入することで業務の効率化につながり、コスト削減・人為的ミス防止に期待できます。今回紹介したWMSの比較を参考に、倉庫管理の課題をもっとも解決できるサービスを選びましょう。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事