アパレル物流とは?特徴や活用のメリット、おすすめの物流会社10社を紹介

ECのミカタ編集部

物流の中で、ファッションアイテムに特化しているのが、アパレル物流である。ECサイト事業者がアパレル物流を活用する場合は、他業種の物流との違いや、比較検討する際のポイントを知っておくことが重要となる。今回はアパレル物流に注目して、アウトソーシングするメリット、おすすめのアパレル物流会社10選、比較検討する際のポイントを詳しく紹介する。

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アパレル物流とは

衣類やシューズ、バッグや帽子といった“アパレル商品”の入荷から出荷まで、商品の流れを管理するのがアパレル物流である。アパレル物流の中には、百貨店・量販店・個人ブティックなど「店舗」に運搬する場合と、「ECサイト」で購入した個人へ発送する場合の、2つのパターンがある。

アパレル物流は、検針・タグ付け・ミシン加工といった、他の物流にはない独自の流通加工に対応している。近年では、EC対応業務として、商品の撮影・画像処理、原稿作成、サイトアップなどを請け負う事業者も増えている。アパレル物流は、商品管理について他の物流にはない独自のノウハウや設備を整えているといえるだろう。

アパレル物流の特徴


アパレル物流が取り扱う商品は、衣類だけではなく小物やバッグなども含まれる。各商品に色やサイズの違いがあり、アパレル物流ではそれぞれを別の商品として扱うため、他の物流よりもアイテム数が多いといえる。商品の性質上、メンズ・レディース・キッズなどターゲット層も多く、トレンドや季節で流通量が変化するのも、アパレル物流ならではの特徴だ。

また、アパレル商品は気温や湿度の影響を受けやすいデリケートな商品が多いため、倉庫に直射日光が入らないように工夫するなど、商品の保管環境にも注意が必要となる。商品によってはハンガーで吊るして配送しなければならないなど、商品の素材や形状などによって管理方法が異なるのも特徴のひとつだ。

アパレル物流の難しさ

アパレル物流には、その専門性ゆえに業界特有の難しさがある。アパレル物流を運営する難しさについて、見てみよう。

在庫管理が複雑


アパレル物流では、各製品の色やサイズ違いをそれぞれ別の製品として取り扱う必要がある。そのため、SKU(Stock Keeping Unit、最小の管理単位)が増え、倉庫作業担当のピッキング間違いや誤出荷が発生しやすいのが課題のひとつだ。

SKUの比較例

また、季節の変わり目や流行などで入出荷のボリュームが変動するため、倉庫のレイアウト変更や作業人数の確保などについて、その都度対応が必要となる。

返品が多い


他の物流業界や実店舗での販売と比較して、返品に対する対応業務が多く発生するのも、アパレル物流ならではの難しさだ。EC通販のアパレル商品は、店頭のように試着することはできない。そのため、サイズが合わない、色がイメージと違うなど、「消費者理由での返品」が多くなる。一度返品が生じれば、汚れや臭い、付着物の有無などを一枚ずつ検品する必要がある。返品対応は自動化が難しい部分であるため、返品が多いほど割くリソースも増えてしまう。

流通加工が必要


アパレル物流では、商品をメーカーから入荷してそのまま出荷することはできず、必ず流通加工が必要となる。入荷した商品について、製造工程で折れた針が残っていないか確認する「検針」は、アパレル特有の作業だ。大きなクレームにつながりやすいためX線検査を行っている物流会社もある。その他に、ブランドのタグやバーコード付きの値札付け、シール貼り、ミシンを使った襟ネーム付けや不良品の補修などの作業もある。そのため、専用の設備、作業人員、スペースの確保などが必要になるのも、専門性を要求される点だ。

アパレル物流をアウトソーシングするメリット

アパレル物流のアウトソーシングには、次のようなメリットがある。

流通加工の業務負荷を軽減できる


前述の通り、アパレル商品を購入者に届けるまでには流通加工の手間がかかる。出荷だけでなく、流通加工の工程を委託することで、従業員の業務負荷を軽減し、売上に直結するコア業務に専念しやすくなるだろう。

EC通販で必須の「ささげ」もアウトソーシングすることで、作業の工数を削減できる。「ささげ」とは「撮影・採寸・原稿作成」の頭文字で、商品の写真や紹介文など、ECサイトに掲載する商品情報を作成する作業だ。自社で行う場合は、撮影機材や場所の準備・手入れも必要になる。ささげを外部に委託することで、社内の負担を減らしながらクオリティを担保できる。

気温や湿度など商品に適した環境で保管できる


アパレル物流の倉庫は、商品のカビや変色、劣化を防ぐための対策として、温度・湿度を管理できる、アパレル商品に適した環境が必要だ。また、色やサイズごとに棚やコンテナに分類する、ハンガーで吊るして保管するなど、商品の特性に合わせた保管方法が求められる。商品の特性に応じたきめ細やかな管理を自社で行うには、多くのコストがかかる。これを丸ごと委託できるのは、大きなメリットだ。

物流にかかるコストを抑えられる


商品を保管するための施設や設備、管理のためのコストを削減できるのもメリットだ。具体的には、倉庫の固定資産税や電気代などの固定費、倉庫で作業する従業員の人件費を抑えられる。物流に関わる固定費が商品の取扱量に左右されないので、商品の取扱量が減っても、物流コストに経営が圧迫される心配がない。

おすすめのアパレル物流比較10選

アパレル物流は、他の物流に先んじてECや通販ショッピングに対応したサービスの展開を行なってきた。ここからは、EC支援に強みのあるアパレル物流10社を比較してみよう。

株式会社スクロール360


株式会社スクロール360は、通信販売の分野で豊富な経験と高い技術があり、商品の注文受付から配送完了まで、物流業務全般を担うサービスを展開。マーケティング支援や通販システム構築なども行っており、EC運営アウトソーシングは100社を超える運用実績がある。

アパレルに特化した物流センターがあり、X線検針機などを使用した検品やささげなどの基本的なアパレル物流業務だけでなく、タグ付け、ハンガー袋かけ、返品処理など、アパレルに関わる業務にワンストップで対応できる。期間限定の在庫管理、縫製やプレス加工のみなど、スポット的な依頼も可能だ。

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丸二倉庫株式会社


丸二倉庫株式会社は、現場を熟知した30名以上の システム・エンジニアが在籍しており、企業のニーズに合わせた物流システムを構築できる。EC物流は1日10,000件以上の出荷対応能力があり、出庫のスピードアップや精度の高い在庫管理が可能だ。ファストファッションから高級ブランド・インポートファッションまで、幅広い取り扱い実績を持ち、大量出荷や全国展開にも対応できる。タグ付けや修繕作業などの業務をトータルで内製化して、出荷までの時間を短縮している。

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株式会社アッカ・インターナショナル


「通販の面倒なバックヤード業務」をまるごと請け負うのが、株式会社アッカ・インターナショナルの強みだ。撮影・採寸・画像処理・原稿作成といったECのバックヤードのオペレーション業務、ロジスティクス、カスタマーサポートの3つすべてをカバー。「スタジオ機能」「物流機能」「CS機能」をワンストップで提供し、スムーズなEC運営を支援している。在庫管理は最小5坪から利用できて、在庫変動にも対応しやすいシステムとなっている。

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株式会社オーティーエス


株式会社オーティーエスは、ファッション・インポート・ジュエリーを取り扱う、アパレル専門の物流事業者だ。商材の入荷から納品まで、多彩な流通加工・保管方法で幅広く対応している。システム面のサポートもあり、同社の物流システムの貸し出しによって、直接出荷指示を入力することで手間や間違いを軽減できる。ECサイト物流では、納品書・倉庫内保管場所表示・運送会社の送り状を一枚で印刷するシステムを構築して、商品の送り先間違いを予防している。

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株式会社 Shirologi


株式会社 Shirologi(シロロジ) は、小規模のECショップ向けに、1日1件、1坪から利用できる物流サービスを提供できる。物流センターは、小規模から大規模まで、1日から長期まで、柔軟に対応。ECサイトの受注管理・出荷データ作成・キャンセル対応などの事務作業も可能だ。システム連携で、ECショッピングの大手3大モールとデータを共有できるため、注文データを取り込む手間を軽減できる。AmazonのFBA納品・マーケットプレイスにも対応している。

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株式会社ティービーエス


株式会社ティービーエスは、EC通販のサポートを専門としている物流事業者である。商品管理や梱包などの代行業務だけでなく、システム開発やセールスプロモーションなど、企業のニーズに合わせた提案も行っている。大型チャーター便や、20フィート・40フィートコンテナも荷受が可能なため、海外からの入庫も依頼できる。検品やタグの縫い付けなど、アパレル物流では一般的な流通加工のほとんどを実施。倉庫内に写真撮影スタジオを完備しており、商品の撮影から商品登録までをトータルでサポートしてもらうことも可能だ。

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浜松委托運送株式会社


浜松委托運送株式会社は、浜松という立地を活用して、都心の物流倉庫よりも低価格で安定した納期の物流サービスを提供している。国内だけでなく海外発送も対応可能で、通関やドレージも依頼できる。EC通販の受注代行も行っており、入庫から受注・出荷までワンストップで委託することで、スムーズな取り引きと顧客満足度の向上を実現する。アパレル対応の防カビ倉庫(除湿倉庫)を完備しており、商材は100%バーコード管理出荷で、誤出荷・在庫差異を削減。商品の検品・プレス加工・ハンガー保管など、商品や仕入れ先に応じた流通加工に対応している。

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株式会社クリコマ


株式会社クリコマは、アパレル専門物流40年のノウハウと、「財団法人日本繊維製品品質技術センター」による検品技術指導工場の認定「QTEC」の取得で、質の高い物流サービスを提供している。物流倉庫・検品工場・商品撮影・コールセンター・受発注業務を倉庫内で行っており、企業は一括して依頼することで、合理的なEC運営が可能になる。検品や検針、ネームやタグ付け、縫製修理などのほか、検品・検針の報告書(証明書)作成も可能だ。ECは専門スタッフが対応しており、エンドユーザーとのやりとりや百貨店レベルのラッピングも可能なため、顧客満足度アップにつなげる効果も期待できる。

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中央株式会社


中央株式会社は、商品の保管・入出荷・流通加工のほか、ギフトラッピングや返品対応など、ECに関わるほとんどの工程に対応している。クラウド上で利用できるシステムは24時間いつでも出荷指示入力等が可能で、大手ECモールとのAPI連携もできる。納品先への送り状を依頼企業の名前・所在地で発行、あるいは物流センターなどの名称を設定することも可能で、外注していることを公表したくない企業も物流業務を依頼しやすい。X線異物検査装置を完備しており、金属以外の異物を発見できるだけでなく、破損・欠陥の検査もできるので安心だ。

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株式会社イー・ロジット


株式会社イー・ロジットは、在庫管理から発送代行まで、EC物流をワンストップで代行している。出荷は365日で土日の注文も即日対応できるので、顧客満足度をアップにつなげやすい。流通加工のほか、倉庫内のスタジオで商品撮影を行っており、商品の入庫検品・採寸や、原稿作成までの流れがスムーズだ。社内にシステム専門チームがあり、独自の倉庫管理システム(WMS)と、依頼企業の既存システム(カートや受注管理ソフト、基幹システムなど)とを連携して、受注から発送までの時間短縮も実現できる。

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アパレル物流会社を比較検討する際のポイント

アパレル物流会社を比較検討する際に、チェックしてほしいポイントを紹介する。

どのような保管方法を採用しているのか


アパレル商品は、気温や湿度によっては商品が劣化する。そのため、倉庫にアパレル商品に特化した保管設備があることが重要だ。また、さまざまな形状・素材の商品があるため、例えばハンガーにかけておくなど、各商品に合わせた保管・運搬を行っているかは重要なポイントだ。

流通加工のクオリティ


アパレルに特化した流通加工には、商品の値札やタグ付け・検針・ハンガー掛け・プレス・補修などがある。対応している加工内容だけでなく、流通加工の正確さや品質もチェックすることをおすすめする。高いクオリティの流通加工は、商品の付加価値を高めて、顧客満足度を向上する効果が期待できる。

依頼にかかるコスト


アパレル物流に代行を依頼することによって、企業には外注コストが発生する。主なものとして、倉庫の使用料・荷役・流通加工・梱包資材・配送費用などがある。倉庫にかかる費用は地域差があり、最新機器の導入やピッキングの効率化など、作業手順も各社で異なる。見積もりを取り寄せる際に、どのような費用がかかるのか詳細をよく確認してほしい。

関連記事:物流倉庫の委託にかかる費用・価格相場

自社の課題を解決できるアパレル物流で、業務を効率化しよう

アパレル物流は他のEC物流と異なり、アパレル特有の課題があるため、それに対応できる業者を選ぶ必要がある。アパレル物流に自社の業務をアウトソースする場合は、まず自社の課題を明確にして、それから比較検討を行うとよいだろう。依頼するメリットと予算を考えて、自社に一番合ったアパレル物流を見つけてほしい。

ECのミカタは、事業者の悩みや課題にマッチした物流業者探しのお手伝いを行っています。アパレル物流の活用に関するご相談は、ぜひECのミカタにお寄せください。

アパレル物流倉庫の委託先選定はECのミカタへ

ECのミカタが運営するマッチングサービスです。ECサイトに特化したメディアを運営する専門コンシェルジュが、丁寧なヒアリングを行った上で、最適な企業をご紹介します。

そのため業務の知識が全くなくても、マッチ度の高いパートナーさんと出会うことが可能です。希望する会社が決定すれば、最短1営業日で企業との商談のセッティングを行います。商談日や商談方法だけでなく、断りの依頼も全てコンシェルジュに任せることができるため、じっくり選定に時間をかけることが可能です。

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