ANAとロジレスが航空便活用のEC物流構築 2024年4月以降も翌日配送を継続 配送範囲拡大も

ECのミカタ編集部

ANAとロジレスは航空便とDXを組み合わせ、ECの翌日配送を継続し、さらに配送範囲を拡大します 

全日本空輸株式会社(以下:ANA)と株式会社ロジレス(以下:ロジレス)は、空輸とDXを連携させることによる効率的なEC物流を構築した。

航空便搭載までのリードタイムが最大で4時間短縮

ロジレスによる物流DX推進によって、顧客からのオーダー、倉庫における発送作業、最終的にはANAの飛行機の貨物空きスペース活用がシステムで一括管理される。輸送までのプロセスが簡素化されることで、航空便搭載までのリードタイムが最大で4時間短縮。結果として、日中の国内線定期便の出発の間際まで荷物を受け付けることができるようになり、日中の飛行機の貨物空きスペースの活用が実現した。

◆オーダーから飛行機に搭載されるまでの流れ

従来、EC事業者の担当者による受注処理を経た後に、出荷指示が倉庫に送られていた。さらに、出荷のタイミングで配送手段を選別する必要があり、航空便を活用しようとしても、最も早いタイミングで翌日早朝便への搭載が限界であった。今回の連携はこうした課題を解決すると同時に「物流の2024年問題」への対策として高い効果を発揮するだろう。

2024年4月1日より一部事業者を対象にサービス開始、順次対象を拡大予定

ANAとロジレスの連携によって「物流の2024年問題」の影響で翌日配送できなくなった「関東地区発、中国・四国地方の岡山以西」地域の翌日配送を再び可能とした。さらに、これまで翌日配送が難しかった九州地区全域(島嶼部除く)までも配送可能となった。

まずは2024年4月1日より、ANA羽田発岡山行き定期便を活用した輸送にて、一部のEC事業者、倉庫事業者を対象にサービスを開始。その後は今秋を目途に、全事業者に対象を拡大することを予定している。

EC、倉庫事業者が本サービスを利用することで、コンテナに複数の事業者の荷物を混載できるようになり、積載効率を向上。従来のトラック輸送と比較し、同等もしくはそれ以下の輸送単価に抑えられる。実例をもとに、EC事業者が関東から九州に配送する際のコストをシミュレーションしたところ、ロジレス便を活用した場合は現状のトラック輸送と比べて約2割の費用削減が実現可能という試算結果となったという。

今秋以降は、東京から岡山への航空便に留まらず活用範囲を拡大し、日本全国への翌日配送を目指すという。この取り組みは「物流の2024年問題」対策として注目すべきだろう。従来以上に利便性が高く、輸送単価も抑えられるため多くのEC事業者はもちろん、顧客にとってもメリットが大きい。サービス開始以降の動向に注目だ。


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