【出店3カ月で月商6000万】熊本の青果卸がTemuで過去最高売上を達成したブルーオーシャン戦略
既存チャネルの成長が頭打ち――。熊本県に拠点を置く青果卸、株式会社GGYパッケージは多くのEC事業者と同様にこの悩みを抱えていたが、起死回生をかけて選択したマーケットプレイス「Temu」への出店は、驚くべき成果を生み出した。わずか2カ月で同社最大のオンライン販売チャネルへと急成長したのだ。
「訳あり」みかんを主軸とする商品ラインナップが評判を呼び、出店3カ月にして全チャネル合計で月商6000万円という過去最高記録を達成。長年突破できなかった売上の上限を約50%も上回った。
成功の理由は明確だ。見落としていた「ブルーオーシャン市場」へのアプローチに尽きる。
その売上を地元で放置されていた農園の再生や障がい者雇用の拡大へと再投資。先進的なサステナブル文脈でも注目を集める同社のブルーオーシャン戦略について、代表取締役の後藤秀敏氏に聞いた。
3カ月で合計月商6000万円を達成したTemuの「爆発力」
みかんやジャガイモ、玉ねぎなどをスーパー向けに供給するパッケージ業者としてスタートしたGGYパッケージは、スーパーの陳列基準を満たさない「規格外」の果物の存在に長年頭を抱えていた。形がいびつなものや小ぶりなものは、味に違いがないにもかかわらず明確な販路がなかったのだ。
直販ECへの参入は約10年前。複数のECプラットフォームに出品し、10kgの箱詰め商品を主力として安定した事業を築いてきた。「自分たちで直接販売すれば、より良い価格で提供できるのではないかと気づきました」(後藤氏)
しかし、市場の成熟とともに、近年は売上の伸びが鈍化。解決に至らず試行錯誤を重ねた同社が選択したのが、Temuへの出店だった。
GGYパッケージは、ストア名「フルーツ甘味屋GGY」として訳ありみかんなどの農産物をTemuで販売
2025年11月の出店後、またたく間に売上が急上昇。わずか2カ月で、既存プラットフォームの記録を塗り替え、Temuが同社最大のオンライン販売チャネルに踊り出た。さらに2026年1月には、全チャネル合計の月商が6000万円に到達。従来の売上上限を約50%突き抜けるという、想定以上のロケットスタートを切った。
この圧倒的な成長スピードを生み出した理由について、後藤氏はTemuの「リーチの広さ」と、これまでにない「サポートの手厚さ」を挙げる。
同社では、Temuの「国内販売事業者募集プログラム」による出店支援を受けて、Temuの専任アカウントマネージャーから、商品ページの作成や販促のタイミング、在庫計画などについて助言を得た。「商品の見せ方や需要の変動にどう迅速に対応するかについて、具体的なアドバイスを受けました」(後藤氏)
マーケットプレイスという「場」を管理するTemuの手厚いフォローを的確に活用し、成功に結び付けたわけだ。
「自動多言語翻訳」が突破口に。在日ベトナム人マーケットという盲点
また、Temuにおける顧客獲得の大きな助けとなったのか、商品ページをベトナム語をはじめとする多様な言語への自動翻訳機能だった。この機能が、GGYパッケージに新しい顧客層をもたらしたのだ。
後藤氏は以前から、日本国内に住むベトナム人が、日本人にはそこまで人気のない、ある銘柄の柑橘を好む傾向に気づいていた。従来のECプラットフォームでは言語対応の壁があり、アプローチを諦めていたが、Temuで販売を始めてからは、自動多言語翻訳のおかげで、日本在住のベトナム人の顧客にも容易にリーチできるようになったという。
Temuはベトナム語以外にも、英語や中国語、韓国語、ポルトガル語にも対応している。このサービスがあればこそ、同社は、これまで日本のEC事業者が目を向けてこなかった「日本に在住する外国人」という巨大なブルーオーシャン(新たな国内顧客層の獲得)で成功したのである。
現在は、みかん、メロン、りんご、サツマイモなど22商品を展開し、レビューには「甘くておいしい」といった国内消費者の高評価が並び、若い顧客層やリピーターの獲得にもつながっている。
箱詰め作業の際にみかんの品質を確かめている様子
地元・熊本への経済還元とCSV(本業を通じた社会貢献)
もう一つ、GGYパッケージのブルーオーシャン戦略で特筆すべきは、地元への利益還元だ。Temuで急増した売上を単なる会社の利益に留めず、地元の熊本を盛り上げる新たな取り組みへと循環させているのである。
具体的には、高齢化と後継者不足によって廃業・放置されていた地元の農園をGGYパッケージが借り受け、これまでの「仕入販売型」から「自社生産型」のビジネスモデルへと舵を切り始めた。この取り組みの主役は、同社が運営する障がい者雇用施設(現在30人以上が就労)のメンバーである。
2025年は年末にかけてTemuでの注文が急増すると、選別や梱包作業で施設がフル稼働に。現在は同社従業員の一部が農業(屋外での収穫や栽培作業)にも携わっており、同社ではさらなる雇用の創出に向けて、新しい障がい者雇用の会社を立ち上げる計画を進めているという。
「農業に取り組むことで、障がいのある方々がより自由に、自信を持って働ける環境をつくりたいと考えています」(後藤氏)
規格外品の行き場に悩んでいた地方の青果卸が、自ら生産を行い、社会課題を解決するサステナブルな企業へと変貌を遂げつつあるのは、Temuの後押しがあればこそ。日本市場のサービス開始から3周年を迎え、若年層からシニア層へと幅広い世代の利用者層にアプローチできるツールとして定着するTemuは、斬新なアプリ体験の提供や独自のアルゴリズムを通じた販売プログラムという特性もパワーアップしている。
進化するTemuのサービス支援を受けて、同社は今夏、天候に恵まれた熊本の強みを活かした「不知火(デコポン)からメロンやスイカへ」の夏のリレー販売を計画している。


