なぜ「Used in Japan」が世界で選ばれるのか eBay『Used in Japan Report』から紐解く越境EC最新動向
イーベイ・ジャパン株式会社が2026年8月に発表した、日本のリユース市場や越境販売の最新動向をまとめた初めてのレポート『Used in Japan Report(邦題:「Used in Japan」が世界にひらくリユースの可能性)』。同社はこのレポートで、日本で大切に保管・管理されてきた高品質なリユース品を「Used in Japan」と定義し、その高い価値と、越境販売における可能性を提示している。
各国で税関制度の変更も進むなか、いま求められている「Used in Japan」とは。本稿では、8月28日に開催された本レポートの発表・共有会で示された、リユース市場の現状と「Used in Japan」の可能性をレポートする。
世界で高まる「Used in Japan」の価値とニーズ
『Used in Japan Report』は、eBay出店を通じて日本セラーの越境EC(海外販売)を支援するイーベイ・ジャパンが、8月8日の「リユースの日」に合わせて発表したものだ。
会の冒頭に登壇した同社 代表取締役社長の岡田雅之氏は、日本発のリユース品が世界中で支持される背景に、商品のキュレーションや真贋鑑定、配送を含めたカスタマーサービスといった「日本のセラーが培ってきた信頼」の積み重ねがあることを紹介。2025年には日本のeBayセラーが「211の海外市場にリユース品を販売した」実績にも触れながら、eBayというグローバルマーケットプレイスから見える「Used in Japan」の可能性を示唆した。
「越境ECの面白さは、市場そのものを広げることでもあります。(中略)日本国内でなかなか買い手のつかなかった商品が、海外でより高額で売れることも珍しくありません。また、eBayでは世界のどこで、何が求められていて、実際にいくらで売れているのかが可視化されるので、その商品の『世界における相場』が見えてきます。私はここに、「Used in Japan」の大きな可能性を感じています」(岡田氏)
イーベイ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 岡田雅之氏
拡大する中古品市場と、リユースによる「新たな価値創造」
続いて、eBay Japan合同会社 Head of Government Relationsの高橋歩氏が登壇し、『Used in Japan Report』の詳細と、制度・実務上の課題について解説した。
eBayのグローバル政策レポートをもとにした高橋氏の発表によれば、世界の中古品市場は2025年の約76兆円から2030年には約137兆円規模へ急成長すると予測されており、もはやニッチな市場ではない。そうした状況のなかで、eBayの主要市場における流通総額(GMV)の46%を中古品が占める。中でも日本のeBayでは中古品GMV比率が68%、そのうちeBay中小事業者の中古品取扱比率は92%に達し、いずれも主要市場の中で最高水準だ。
また、リユース品を扱う日本のeBayセラー数は2023年から2025年で年平均19%のペースで増加してiいること、2025年にリユース品を販売した日本セラーの61%が新規セラーだったことなどを示し、リユースが新規参入・外貨獲得・グローバル市場参入の入口になっていると解説した。

さらに高橋氏は、日本セラーがeBayに出品したアイテムの販売動向を示す「2026年第2四半期 越境ECレポート(※1)」に基づく市場トレンドや、海外のSNS上でも「#japaneseebay」として商品の状態の良さや購入体験が自然発生的に称賛されていることも紹介。そのうえで、「Used in Japan」を「価値を守って見極め、次の市場へつなぐ力への信頼」と位置づけた。
「リユースのセラーは、確かにゼロから商品を製造しているわけではありません。しかし、商品を製造していないことと、価値を生み出していないということは決して同じではないと、我々は考えています。
商品を仕入れ、状態を評価し、必要に応じて鑑定や修理を行い、写真を撮影し、正確な説明をサイトに記載する。海外の需要や規制を調べ、(商品が売れた後は)梱包して輸出し、海外のお客様にお届けする。そこには専門知識や情報、時間、資金、そして海外市場へのアクセスを、自ら作り出していく日々の努力が投下されています。
つまりeBayのセラーは、商品を製造していなくても、専門性や情報、信頼、市場アクセスを加えて、『商品を次の価値に変えている』と言い換えることができます。私たちは、この価値そのものを『Used in Japan』と表現しています。(中略)日本の製造業が長い年月をかけて築いてきた『Made in Japan』が『つくる力への信頼』だとすれば、『Used in Japan』は『価値を守って見極め、次の市場へつなぐ力への信頼』と言えると思います」(高橋氏)
※1:参考記事 「越境EC」高価格帯・希少性の高い商材が市場をけん引 イーベイ・ジャパンレポート(ECのミカタ)

「新品前提」の制度とのギャップ。eBayからの「3つの提言」
一方で現在、米国における少額輸入免税制度の停止や、EUの少額輸入品への定額関税導入など、各国で輸入や関税に関する制度の見直しが進んでいる。高橋氏は、これらが「大量で低価格な新品が高頻度で流通する」商流を前提に設計されていることに構造的な課題があるのではないかと指摘。一点ものの中古品や、ヴィンテージ、希少なコレクターアイテムの販売に、新品を前提とした情報要件を当てはめる難しさを説明した。
こうした制度上の課題に対応するため、高橋氏は「レポートから見えてきた、これから官民で対話したい3つの論点」を発表。1つ目は【「Used in Japan」を、循環経済と輸出価値として可視化する】(レポートでは【「Used in Japan」を「Made in Japan」に並ぶ輸出・循環経済の戦略分野として位置づけること】)。2つ目が【デジタル時代に即したリユース関連制度・実務環境を整備すること】。そして3つ目が【リユースを専門性と信頼に支えられた付加価値産業として育成すること】だ。
「『Used in Japan』はeBayが新しくつくるブランドでは決してありません。日本のセラーやリユース事業者、鑑定や修理の専門家が長い時間をかけて築いてきた信頼を、世界に伝えるための共通言語・ブランディングです。
eBayは世界市場へのアクセスと信頼基盤を担い、日本のリユースの可能性を紹介するだけでなく、その可能性を実際の日本セラーの成長につなげるために、必要な事業環境を皆さまと一緒に考えていきたいと思っています」(高橋氏)
eBay Japan合同会社 Head of Government Relations 高橋歩氏(写真左)
その後行われたFocus Sessionには、「eBay Japan Awards 2025」でニューセラー・オブ・ザ・イヤーを受賞した株式会社HIVE Collective 代表取締役社長の佐藤直樹氏が登壇(※2)。商品を海外に届けるまでの工夫や、海外の顧客に安心して購入してもらうために意識していること、さらにeBayの「真贋保証サービス(Authenticity Guarantee)」の活用メリットなどを、eBayセラーの視点から語った。
※2:参考記事 eBay Japan Awards 2025最優秀賞は「ブランドストリート東京」のDiletto、「マップカメラ」のシュッピンが殿堂入り(ECのミカタ)
株式会社HIVE Collective 代表取締役社長 佐藤直樹氏
“信頼の価値”である「Used in Japan」が持つ新たな可能性を示した、今回の『Used in Japan Report』。世界でリユース市場が拡大するなか、プラットフォームを含めたシステムをどのように活用し、商品の価値をどのように届けていくのか。日本の事業者にとって、さまざまな示唆を与える発表となった。


