Amazon関西最大規模の「武庫川FC」へ 入荷から出荷までの工程をレポート

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新井勇貴

アマゾンジャパン合同会社(以下、Amazon)は2026年9月10日、兵庫県尼崎市に新設した「Amazon武庫川フルフィルメントセンター(以下、武庫川FC)」を、お披露目会として報道関係者向けに公開、内部ツアーを実施した。本記事ではツアーで公開された、武庫川FCにおける入荷から出荷までの作業工程に加えて、会で発表された物流に関するAmazonの今後の動向をお伝えする。

Amazonの関西最大規模のFC

武庫川FCは延床面積が約11万1千平方メートル、商品保管容量は約117万立方フィートであり、Amazonが関西(2府4県)で運営するフルフィルメントセンターの中で、延床面積が最大(Amazon調べ/2026年8月時点)のFCとなる。

本拠点では商品の入荷と出荷、それぞれ1日最大50万個以上を取り扱う。2022年に開設したAmazon尼崎FCの1日当たりの入出荷量は45万個であり、それを大きく上回る規模を誇る。

尼崎市に2拠点目となる、関西最大規模のFCを開設した理由について、アマゾンジャパン FCオペレーション事業部 本部長 西日本リージョンの梶山浩史氏は3点を挙げて説明した。

「1つ目はお客様ニーズの高まりです。2つ目は主要駅からもアクセスが良い勤務上の利便性に加えて、高速道路へのアクセスに優れ、効率的なオペレーションに適した関西有数の立地。そして3つ目は既存の尼崎FCやデリバリーステーションといった拠点との連携による、物流ネットワーク全体の効率化と安定したオペレーションにつなげています」(梶山氏)

アマゾンジャパン FCオペレーション事業部 本部長 西日本リージョン 梶山浩史氏

武庫川FCの内部ツアーに参加

本ツアーで最初に案内されたのは、全国に点在するAmazon FCから在庫調整のために入庫される作業場だ。

2024年に導入された「デパレタイザー」と呼ばれるロボットアームが、自動でコンテナを降ろしてコンベヤーへと移動させる。なお、関西エリアにおいて、「デパレタイザー」が公開されたのは今回が初とのこと。コンテナの重さを感じさせない動きで、庫内業務の効率性を大きく向上させている。

なお、Amazon内での在庫調整のためのFC間移動になるため、在庫管理を任せる事業者に対して移動状況といった細かい情報が明かされることはない。

稼働する「デパレタイザー」

全国のEC事業者からAmazonの倉庫に入荷される商品の検品スペースは、「デパレタイザー」とは別のエリアにある。

ツアー時は2名の作業員が業務を行っており、入荷された段ボールから商品をバーコードスキャンしている。このスキャンが完了すると、Amazon上で「商品在庫有り」として登録されるという。

商品をスキャンしていく様子

登録が完了した荷物はオリコンへ移され、作業員によって下段のコンベヤーへと移動させる。

スキャンが完了した商品は下段のコンベヤーへと移動する

3万台の商品棚をロボットが運び、管理

入荷処理が完了した商品は、「Amazon Robotics」によって管理される。

「Amazon Robotics」とは、自走するロボット「Drive(ドライブ)」と、専用の商品棚「Pod(ポッド)」を合わせた総称である。

Amazon武庫川FC サイトリーダーである駒澤貴也氏は本システムについて、「『Pod』全体がマンションであり、各棚が部屋番号のようなイメージです」と説明する。

通常は省エネのために、庫内中央のライトは消されているが、ツアーのために点灯している状態。

自動で動き続ける「Amazon Robotics」

「Drive」は入荷、出荷のタイミングに合わせて自動で動く。走行については、地面に貼り付けられた二次元バーコードによって管理されていて、これにより広大な倉庫内を作業員が歩き回りピッキング作業をすることがなくなっている。

床に均等に配置されている二次元バーコードを読み取り移動する

棚には各事業者の荷物が混在している。これにより、従来の固定された棚管理よりも最大約40%多くの在庫を保管でき、商品の品揃えを増やすことに貢献しているという。

空きスペースはコンピューターで管理されており、作業員はその指示に従って棚に商品を入れる。重量のある荷物は下段に置くといった工夫も行われている。

商品を「Pod」に入れている様子

「Pod」に入庫された荷物は、顧客からの注文があるまで庫内で保管される。そして、注文が入り次第、該当する「Drive」が動き、最も近い作業員まで「Pod」が移動してくる流れだ。

ピッキング作業においても、作業員がどの棚から商品を出せばいいか分かるように、指定の場所を光で照らしている。その後、商品をスキャンし、オリコンに入れ、異なる注文の商品が混在した状態で次の工程へ移っていく。

なお、この際に違った商品を取り出した場合には、スキャン時にエラー音が鳴る仕組みのため、取り間違いが発生した場合に検知できる仕組みとなっている。

なお、「Pod」に入らない重量物や大きな荷物については別の場所において保管、管理されている。「Amazon Robotics」による管理が大規模な理由については、こうした小物の注文が占める割合が大きく、本FCはそれらに特化しているからだという。

光っている棚から指定の商品を取り出す

ピッキングされた商品は梱包作業へ移る。

ここでは商品サイズに応じた梱包材をコンピューターが割り出すことで、作業効率を向上させている。また、梱包材の大きさに合わせてテープも自動で出てくる。

発送先などの情報は梱包後の貼り付けとなるため、作業員が発送先などの個人情報を直接確認することがない仕組みとなっている。

適切な段ボールをピックアップして梱包する

今回のツアーでは、紙袋の自動梱包機も公開された。この機器では、作業員が商品を機械に入れるだけで、大きさに合わせたサイズの紙袋に自動梱包。プラスチック使用量の削減、および荷物の軽量化につなげている。

なお、段ボールと紙袋のいずれを使用するかは、商品の大きさに合わせて判断されている。

商品を入れるだけで自動で紙袋に梱包される

作業員によって機械に入れられた商品は、梱包と同時に発送に必要な情報が貼り付けられた状態で出てくる。

梱包された各商品は、配送先ごとに仕分けされ、トラックで各地のデリバリーステーションへと運ばれる。その後、配送先の消費者のもとへ届けられる。

紙袋に梱包されて出てくる様子

EC事業者の利便性向上を目指すAmazon

武庫川FCについて、駒澤氏は、「『クロスロード』という言葉をビジョンにしています。尼崎という土地は古来より、多くの人や物が行き交ってきた地域になります。尼崎市内に構える複数の拠点を連携させることで、より効率的な物流オペレーションと、お客様にとってより良いサービスにつなげることを目指しています」と述べた。

アマゾンジャパン Amazon武庫川FC サイトリーダー 駒澤貴也氏

武庫川FCは8月に稼働をスタートしており、今後、ブラックフライデーや年末年始商戦といったEC市場の繁忙期を迎えることになる。今回のツアー時は各工程に1〜2名の作業員だったが、これはまだ開設約1カ月時点での通常稼働であり、Amazonによると繁忙期には作業員の人数も増やし、フル稼働の状態になる想定だという。

また、関西圏での倉庫能力の向上に伴うラストワンマイルの配送面について、駒澤氏は、「日本全国にある65カ所以上のデリバリーステーションを活用しつつ、配送能力の拡大について強化している状態です」とコメントした。

Amazonで商品を購入するユーザーへのメリットだけでなく、出品するEC事業者に対しても、梶山氏は次のようにメッセージを送る。

「我々に商品を預けてくださるEC事業者様も、大切なお客様であると捉えて活動しています。EC事業者様の利便性を高めることが、結果としてエンドユーザーの利便性を高めることにつながる。今後も良い関係を構築しつつ、事業を展開できればと思っております」

武庫川FCでは、入荷から保管、ピッキング、梱包、出荷までの各工程で自動化を取り入れ、物流業務の効率化を図っている。繁忙期に向けて稼働規模が拡大するなか、関西圏における新たな物流拠点としての役割はさらに大きくなっていきそうだ。