売上前年比170%・営業利益210%を実現! 「結わえる」は楽天市場の【値引きの罠】をどう抜け出したのか

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ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社結わえる EC事業部 部長 金山竜一氏(写真左)、株式会社ワンプルーフ ECソリューション事業部 テクニカルディレクター 井野泰佑氏(写真右)

楽天市場をはじめとするECモールでは、セールやクーポン、広告投資が売上拡大の定石として語られやすい。一方で、原価高騰や広告費・送料負担が重くなるなか、「売上は上がっているのに利益が残らない」という課題を抱える店舗も少なくない。

本稿では、寝かせ玄米を中心とした食品ブランドを展開する株式会社結わえるの事例をもとに、楽天市場で陥りがちな「値引きの罠」から抜け出す店舗設計を紹介する。売上前年比170%、営業利益210%を実現した背景にあった、単なる割引率の調整ではなく、商品設計・オファー設計・データ活用を一体で見直す取り組みとは?

※本記事は2026年6月開催「ECのミカタ カンファレンス」で行われた株式会社結わえる 金山竜一氏と、同社のEC運営を支援する株式会社ワンプルーフ 井野泰佑氏のセッションをレポートしたものです

利益率改善の先にあった「売上成長との両立」という課題

結わえるは「寝かせ玄米」を中心とした食品のDtoC事業を展開し、「健康は70点でいい」という考えのもと、ストイックになりすぎず、無理なく続けられる食生活を提案している。

同社は過去に楽天市場内のディスプレイ広告などへ大きく投資していたが、広告費の予算を見直したことで営業利益率は持ち直した。一方で、次の課題となったのが、売上を伸ばしながら利益率を保つことだった。

画像提供:株式会社結わえる、株式会社ワンプルーフ(カンファレンス登壇資料より ※以下同じく)

「2022年から広告費の予算を見直したことで、営業利益率は持ち直しました。ただ、そこから売上を上げながら営業利益率を保つことに苦戦していました」(結わえる 金山竜一氏)

広告費を抑えれば利益率は改善する。しかし、売上成長まで同時に実現するには、単なる広告削減では不十分だ。そこで同社は、楽天市場などECモールの運営支援を手がけるワンプルーフとともに、単に売上を作る施策ではなく、利益が残る売上の作り方を見直していった。

「割引率を下げる」だけでは利益は残らない

セッションは、ワンプルーフの井野泰佑氏が用意したクイズから始まった。

これまで50%OFFクーポンで販売していた商品が、原価高騰によって利益が出なくなった場合、どうするべきか?――多くの店舗がまず考えるのは、50%OFFを40%OFFにするなど、オファー率を下げて利益を守る方法だろう。

「普通に考えれば40%OFFにするなど、オファー率を下げるという選択肢を取ってしまいがちです。ただ、安易にオファー率を下げたことで、利益が出なくなってしまった店舗様を多く目にしています」(井野氏)

ECモールでは、商品は常に他店舗と比較される。そのため、割引率が下がって価格面の魅力が弱まればCVRが低下し、同じ注文数を獲得するための広告CPAは上昇する。結果として、「単価は上がったのに利益は減る」という事態が起こり得るのだ。

井野氏は、1万円の商品を50%OFFで販売するモデルを例に挙げた。半額の5,000円で販売した場合、商品原価、広告費、送料、資材費、モール手数料などを足し合わせると、商品単位では赤字になることがある。店舗全体では利益が出ているように見えても、商品別に見ると、事業者も気づかないうちに赤字の商品が混在しているケースは少なくないという。

50%OFFを40%OFFに変えれば、一見すると利益は改善するように見える。だが、CVR低下によって広告費が上がれば、増えた売上分を広告コストが上回る。利益を見るには、販売価格だけでなく、CVR、CPA、送料、原価、手数料を含めた構造全体を捉える必要があるのだ。

「2個目100%OFF」で、なぜ利益が残るのか

この課題に対する打ち手として紹介されたのが、「2個目100%OFF」というオファー設計だ。100%OFFと聞くと赤字の施策に見えるが、実際には「2個買えば1個無料」という設計である。ユーザーから見れば実質50%OFFのため、お得感は強い。一方で、店舗側から見ると、1注文あたりの購入点数と注文単価を引き上げられる。

「オファー率を40%OFFに下げて利益を守ろうとするのではなく、2個目100%OFFというやり方を提案しました。2個合わせて実質50%OFFは変わらないけれど、『2個目が無料』という強い訴求で打ち出せるようになります」(井野氏)

ポイントは、ユーザーにとっての魅力を保ちながら、広告費や送料の負担を相対的に薄められることにある。1個を50%OFFで販売する場合、1注文から得られる粗利の中で広告費や送料の比率が重くなる。一方、2個購入を前提にすれば、商品原価は増えるものの、1注文あたりの送料や広告CPAは大きく変わらない。強い訴求によってCVRを維持できれば、コストが薄まり、利益が残りやすくなる。

重要なのは割引率そのものではない。ユーザーが「お得だ」と感じる見せ方を維持しながら、店舗側では注文単価とコスト構造を設計し直すことだ。提案を受けた当初について、金山氏は次のように振り返る。

「100%OFFのクーポンは正直びっくりしました。ただ、営業利益まで見てもらい、このような構造だからこういうクーポンを出しましょう、というところまで打ち合わせしていたので、意外な施策ではありましたが、納得感はありました」(金山氏)

価格を下げずに買う理由を作る、セット商品の見せ方

結わえるが最初に取り組んだのは、安易なセールやイベントに合わせた値引きをやめることだった。同社にはもともと12個・24個・48個セットのようなまとめ買い商品があった。ワンプルーフは、その打ち出し方と価格の見せ方を見直し、セット割によって何%OFFになるのかを明確に伝える設計へ変更した。

たとえば「たくさん買うほどお得」と伝えるだけでは、ユーザーには具体的なメリットが伝わりにくい。そこで「最大50%OFF」のように、割引率をわかりやすく表示することで、価格を下げずにお得感を高めた。井野氏は、この見せ方の変更が、オファーを強めずに売上を伸ばした要因の一つになったと語る。

さらに、既存商品を組み合わせた「福袋」や「腸活すっきりセット」も展開した。福袋という切り口であれば、玄米パックそのものを検索していないユーザーにも接点を作れる。腸活のようなニーズ起点のセットも同様で、商品名ではなく課題や関心から流入する潜在層へ訴求できる。既存商品の組み合わせ方、検索される言葉、ユーザーにとっての買う理由を設計し直すことで、割引に頼りすぎずにCVRを高める取り組みである。

楽天市場の「定石」を疑い、データで施策を選ぶ

利益改善を進めるうえで、もう一つの重要な条件として挙げられたのが、データを見ることだ。井野氏は、楽天運営では「イベント日はCPCを強める」「お買い物マラソンの初動はオファーを強くする」といった定石が語られる一方、それをデータで検証せずに実行している店舗も多いと指摘する。

結わえるでは、イベント時だけでなく通常日にもRPP広告を強めるほか、データを見たうえで純広告を一旦やめ、RPP広告を中心に売上を作るといった判断を行った。一般論としての定石に従うのではなく、自社のデータで本当に利益が出ているかを確認し、施策を選んだことが特徴だ。

この判断を支えるため、ワンプルーフでは独自開発のBIツールで、属性データやRPP広告の実績、ROAS、前年比、イベント別比較などを可視化している。タイムリーにデータを見られる環境を整えることは、施策判断のスピードだけでなく、利益を圧迫する無駄な作業を減らす意味でも重要になる。

井野氏は、店舗内に回遊リンクを増やせばCVRが上がるといった施策についても、本当に効果が出ているかを検証する必要があると述べた。平均PV数とCVRの関係を可視化し、マラソン時や日付別にどう動いたかを見ることで、意味のない施策はやらないという判断ができる。利益改善とは、効果のない施策をやめることでもある。

「どこに効果がちゃんと出ているのかをデータで可視化して、意味のないことはやらない。これも一つの戦略として考える必要があると思っています」(井野氏)

金山氏も、利益改善には売上や広告費だけでなく、営業利益まで踏み込んだ議論が必要だと強調した。

「広告費の何%を運用するという話ではなく、ワンプルーフ様は、最終的な店舗の営業利益を打ち合わせして、『これだけの利益を残すために、この施策をやります』というところまでコミットしてくれます」(金山氏)

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ECモールにおいて、値引きや広告投資を完全に避けることは難しい。だからこそ重要なのは、値引きをするかしないかではなく、値引き後に利益が残る構造を設計できているかだ。店舗全体の売上やROASだけでは、商品単位の赤字や、広告費・送料に利益を削られている構造は見えにくい。

結わえるの取り組みは、ユーザーにとってのお得感を保ちながら、購入単価、CVR、CPA、原価、送料、手数料を組み替えることで、売上拡大と利益改善を両立できることを示している。値引き合戦から抜け出す鍵は、値引きを弱めることではなく、利益が残る売上の作り方を設計し直すことにあるのではないだろうか。

ワンプルーフに問い合わせる

金山 竜一
株式会社結わえる EC事業部 部長
2011年TIS株式会社に入社し、主に上流工程のSEを従事。2017年株式会社JAMSHOPPINGに取締役として入社。EC全領域を統括、100超のシステム構築でDX推進。仕入れ・広告・物流などを最適化し売上最大化(前年比200%等)2023年株式会社結わえるに入社し、EC事業部を統括。サブスク施策などを実行し、売上前年比160%営業利益前年比370%などを実現。

井野 泰佑
株式会社ワンプルーフ ECソリューション事業部 テクニカルディレクター
半導体メーカーでの海外赴任を経て、2020年よりEC業界へ転身。食品系楽天市場店舗の責任者として、2年連続で楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー ジャンル大賞を受賞。2023年に株式会社ワンプルーフへ参画後は、ECコンサルタント兼プロジェクトマネージャーとして複数案件を推進。モールECにおけるF2転換率・LTV分析や施策相関を可視化する独自システム、BIツール開発にも従事し、データドリブンなEC運営支援に強みを持つ。

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