国内発送+出店費不要で「壁」を乗り越え、いざ「POIZON」で6億人市場へ!
POIZON JAPAN株式会社 Business Development ManagerのRei(庄戦穎)氏
国内ECで培った商品力や調達力を、海外でも生かしたい――。グローバルな販路拡大を考える事業者にとって、中国は気になる市場の一つだろう。一方で、言語や物流、顧客対応への不安から、越境販売に踏み出せないケースも考えられる。
そうした越境EC特有のハードルを下げ、中国市場へのリーチを可能にするのが、ファッション・アパレル領域に強みを持ち、会員数約6億人を抱える中国発のECプラットフォーム「POIZON」だ。現地のニーズをしっかりと捉えながら、既存のEC業務に無理なく組み込める販売手段を選ぶには何を知るべきか。日本の事業者のPOIZON参入を支援するPOIZON JAPAN株式会社のRei(庄戦穎)氏に聞いた。

消費者は「機能」まで見極める。変化する中国ファッション市場
――中国で「理性消費」と呼ばれる変化が起きていることは日本でも報じられていますが(※1)、実際にファッション・アパレル市場において、消費者の「商品の選び方」にどのような変化が起きていますか。
以前はブランドの知名度やデザインを重視する傾向が強かったのですが、今は機能性や素材まで調べて選ぶ方が増えています。趣味や普段取り組むスポーツに合うか、使いやすいかなどを、より理性的に判断するようになりました。
小紅書(RED)や抖音(Douyin)、bilibiliなどで口コミや動画を見たり、インフルエンサーによる機能説明を参考にしたりして、納得してから購入します。求められる価値や競争の軸が変わっていると捉えています。
――そうした変化の中で、日本の商品にもまだまだ参入の余地があるということでしょうか。
はい。いわゆる「爆買い」は目立たなくなりましたが、日本のブランドや日本で販売されている商品への需要は引き続きあります。ファッションでも、デザインに加えて機能性や長く使える点が評価されています。
ニーズが多様化し、特定の趣味やライフスタイルに合う商品にも目が向くようになりました。消費者の求める価値に応えられれば、日本の事業者にも新しい機会があります。ただ、自社だけで海外向けの販売体制を整えるとなると、言語や物流、顧客対応の負担が生じます。POIZONでは入口のハードルを低くし、商品と価格、在庫に集中していただける仕組みを用意しています。
※1:参考「ダブルイレブン商戦から見た中国消費市場の今」JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)2026年1月28日
国内に発送する感覚でスタート。販売形態も選べる「POIZON」
――POIZONがどのようなプラットフォームなのか教えてください。
POIZONは、中国最大級のファッション越境ECプラットフォーム(アプリ)です。2015年にスポーツやファッションの情報を共有するポータルサイトとして始まり、2017年にオンライン取引と鑑定サービスを開始しました。現在では会員数は約6億人、月間アクティブユーザーは約2億人まで成長しています。Z世代と呼ばれる若い世代の利用者が多く、シューズやアパレルなどの販売に強みを持っています。
特徴は、商品の真贋鑑定と品質チェックです。購入者に届ける前に当社の鑑定システムで確認することで、安心して購入できる環境を整えています。これまでの膨大な取引で培われたビッグデータやAI鑑定を活用した鑑定の精度は、ユーザーから高く評価されています。
画像提供:POIZON JAPAN株式会社(以下同)
商品ページもPOIZONが用意するため、販売する事業者様がアプリ上の店舗やページを作り込む必要はありません。ですので、形式としては「出店」よりも「出品」が近いですね。
コミュニティーサイトからスタートし、中国のZ世代に愛されるECプラットフォームとなった「POIZON」
――日本の企業がPOIZONでの販売を開始する場合、登録から販売まではどのように進めればよいのでしょう。
企業出品者(企業セラー)向け窓口でアカウントを作り、企業情報や決済情報、必要書類を提出いただきます。審査、契約を経て、管理画面で商品やサイズ、価格、在庫数を設定します。初期設定や操作方法は当社がサポートします。(※2)
基本となる「通常販売」モデルでは、ユーザーから注文があった後に、商品をPOIZONの日本倉庫へ発送していただきます。その後の検品・鑑定、通関手続き、ユーザーへの配送は当社が対応します。購入前後のカスタマー対応も担うため、出品者様が外国語でユーザーとやり取りする必要はありません。国内の指定先に商品を送り、代金を受け取るという、日本の企業間取引に近い感覚です。海外配送や中国語の顧客対応体制を新たに用意せずに始められます。
――在庫の持ち方や販売状況に応じて、別の方法も選べるのでしょうか。
日本国内の倉庫に事前に商品を預けておく「委託販売」もあります。販売が見込める商品を先に入庫し、検品を済ませれば注文後の出荷を早められます。通常販売と委託販売では、出品者様自身の通関手続きは不要です。
また、ブランド公式アカウントなどを対象とした、倉庫での検品・鑑定工程を省略できる「直送」モデルも用意しています。一部カテゴリーでは商品画像を提出し、オンラインで鑑定する方法も用意しています。このモデルも発送先は国内の指定先です。
中国の保税倉庫に事前入庫する「保税区」モデルは、より購入者に近い場所から発送しますので、配送時間を短縮できます。ただし、出品者様側での税関申告などが必要となります。当社も支援しますが、日本の国内倉庫を使うモデルとは準備が異なります。
まずは国内発送から始め、POIZONでの売れ筋が見えたら事前入庫型のモデルを検討するなど、自社の体制や商品の動きに合わせて選んでいただくと良いと思います。
※2:個人出品者(個人セラー)は出店手続きが異なる。詳しくは公式サイト「POIZON新規出品者登録ガイド」を参照
POIZONの販売モデルと物流フロー。「通常販売」「委託販売」「直送」モデルでは、販売事業者(出品者)は日本国内へ発送し、POIZON側が中国の購入者に届ける
初期費用を抑えて出品可能。「利益を試算しやすい」仕組み
――事業者としては、新たな販路を増やす際にかかる、初期投資や運営費も気になります。
POIZONでは出品のための初期費用(出店費)や、通常の出品に伴う広告出稿費はいただいていません。販売成立後に手数料をいただく仕組みなので、商品ページ制作や海外向けの物流・顧客対応体制への先行投資を抑えて、既存の商品で新しい販路を試すことができます。
――出店手続きが完了し、実際に販売で使用するための管理画面では、具体的にどのような情報を確認できますか。
管理画面のUIで特徴的なのは、出品価格からPOIZONの手数料などを差し引いた利益の見込み額が一目でわかる点です。仕入れ原価や倉庫までの送料などを入力すれば、より詳細な見込み金額も算出できます。販売実績や競合の価格データも確認でき、出品前に採算を検討できます。

商品数の多い企業様には「市場分析」機能もあります。商品データを一括で取り込み、価格や収益性を確認して結果を出力し、利益の見込める商品を絞り込めます。一点ずつ画面を開いて調べる手間を減らせます。
企業情報・書類の提出と、POIZONによる審査の通過後、管理画面(出品者バックオフィス)で出店契約書を確認・署名すれば出店手続きが完了となる。この管理画面上で、商品登録や取引状況の詳細、オーダー管理といったことに加えて、売れ筋商品の分析も行うことができる(上の商品情報等はダミー)
――POIZONで販売機会を多く得るには、どのような「条件」が重要になるのでしょうか。
まず重要なのが販売価格、次に配送のリードタイムです。POIZONでは同じ商品・サイズを複数社(者)が出品する場合、発送エリアごとに比較し、基本的に最安値の出品だけが表示されます。ここでいう「エリア」は主に国の単位で分けられます。例えば日本からの発送と韓国からの発送は別の選択肢となり、ユーザーは価格や配送時間を見て比較できます。
管理画面では、カートを取る(自社の出品が最安値として表示される)ための価格や、他のエリアに対して競争力を持つ価格の目安、販売数の見込みを確認できます。もちろん利益が低い水準まで下げる必要はなく、商品ごとに販売するかどうかを判断できます。
競合に合わせて調整する自動価格設定機能もあり、確保したい利益を踏まえながら効率的に運用できます。自動設定を使わず、価格変更の推奨情報を見て判断することも可能です。販売前の準備や販売後の工数を削減し、商品選定や調達力、価格・在庫管理に力を注いでいただける仕組みを提供しています。
POIZONは1つの商品詳細ページに複数のセラーが出品し、同じページ上で競い合う仕組み
――代金(売上)の受け取りや、検品で問題があった場合の対応はいかがですか。
入金サイクルは、例えば企業出品者様なら毎週、隔週、毎月から精算サイクルを選べます。着金日は受取銀行や休日などによって異なりますが、キャッシュフローに合わせて選択できます。
日本倉庫で検品・鑑定するモデルでは、基準を満たさない商品を海外発送前に国内から返送できます。他の越境ECプラットフォームに比べて、お客様による注文キャンセルの規定を厳しく設定しているので、商品が届いてからトラブルに発展するリスクを減らせる点も評価されています。
日本語で運営をサポート。需要に合う商品から中国市場へ
――販売開始後は、どのようなサポートを受けられますか。
管理画面からのお問い合わせは日本語に対応しています。また新規の企業出品者様には専用のグループチャットを用意し、カテゴリー担当者やアシスタントが、日常の操作から販売拡大の相談まで支援します。
拡販のサポートとしては、日本からの売れ筋ランキング、手数料に関するキャンペーン、在庫不足が見込まれるブランドのご提案といった情報の共有に力を入れています。「在庫があれば出品しませんか」と、価格や利益の見込みを踏まえて具体的にご案内することもあります。管理画面も出品者様の意見を聞いて常に改善を重ねています。海外発のプラットフォームだからと構えず、相談していただきたいですね。

――特に、どのような商品や事業者と相性が良いのでしょうか。
シューズとアパレルが中心で、時計、バッグ、アクセサリーにも強みがあります。アウトドア用品やスポーツ用品も需要があり、最近ではランニングシューズなどの売上も好調ですね。
たとえば日本でもよく知られたあるアウトドアブランドでは、中国での認知度が高まる中で、POIZONでも出品される方や取り扱うアイテムが増えました。需要が伸びているブランドの商品を供給し、販売機会が広がっています。
このように、ある程度の認知度があり、ニーズが見えている商品から始めるとよいと思います。POIZONでの実績が少なくても、REDの口コミや他のECの販売状況を確認し、可能性があれば当社が出品を支援します。
(ストア形式ではなく各商品の単一ページ方式の)POIZONにおいては、ユーザーの認知がほとんどないブランドは、その前に知ってもらうためのマーケティングが必要になります。出品すれば必ず売れるわけではなく、まずは既存の商品から、需要と採算が合うものを見つけることが、無理なく始めるポイントです。
POIZONユーザーの9割以上が1990年代~2000年生まれのZ世代。100万人以上の商品レビューがあり、Z世代がファッションの情報を交換し、流⾏を発⾒する場となっている
――今後、日本でどのような展開を考えていますか。
日本で長期的に事業を続け、売れる商品やブランドを増やしたいと考えています。将来的には、規模が小さくても品質が高く、中国の消費者の趣味やライフスタイルに合う日本ブランドを紹介し、一緒に成長していきたいですね。仕組みは模索中ですが、サイト内外での発信なども検討しています。
2026年には同じプラットフォームを活用してBtoBの卸売事業も開始しました。世界各地のネットワークを生かし、POIZONが買い手探しから代金の支払い、納品まで間に入ります。
中国市場に参入する不安があっても、すべてを自社で準備する必要はありません。まずはお持ちの商品がいくらで売れ、どれくらい利益を見込めるかを確認してください。商品と販売形態を一緒に検討し、新しい販路につなげたいと考えています。


