カード流出事件数・流出件数は2020年以降で最低水準 かっこ・リンク【キャッシュレスセキュリティレポート 2026】
かっこ株式会社と株式会社リンクは2026年10月9日、クレジットカード情報流出事件に関する統計とECにおける不正利用傾向に関する年次版レポート「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」を公開した。
事件数・流出件数は2021年以降で最も低い水準に
◆情報流出事件数:21件
◆情報流出件数:24万6474件
2025年のクレジットカードなどのカード情報流出事件数は21件となり、前年の37件から16件(約43%)減少。カード情報流出件数は24万6474件と、前年の54万722件から約54%減少した。
事件数・流出件数がそろって大幅に減少するのは2023年以降で初めて。いずれも2021年以降で、最も低い水準となった。1事件あたりの平均流出件数も1万1737件と、前年の1万4614件から約2割減少した。

※画像元:かっこ株式会社・株式会社リンク「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」
カード情報流出において、最大となったのは食品(スーパーマーケット)運営A社における12万7263件の流出で、年間のカード情報流出件数全体の51.6%を占めた。
本レポートでは「ECサイトの改ざんではなく、ランサムウェア攻撃によって、現在有効なカード情報が大量に流出した可能性がある国内初の事案である」と分析している。
※画像元:かっこ株式会社・株式会社リンク「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」
不正利用被害額は10年ぶりに前年を下回る
◆クレジットカード不正利用被害額合計:510.5億円
◆クレジットカード不正注文の発生率:1.9%
◆転売不正注文の発生率:8.2%
不正利用被害額は510.5億円となり、10年ぶりに前年(555.0億円)を下回った。
本レポートでは「2025年3月末を期限とした『EMV 3-Dセキュア』導入義務化の効果が表れ始めている一方、認証を迂回する未導入加盟店への攻撃集中や、フィッシングによるワンタイムパスワードのリアルタイム詐取(中間者攻撃)が横行しています」と指摘している。
ECサイトにおける不正注文の傾向として、2025年の年間データでは、例年通り「チケット」や「ホビー・ゲーム」といった換金性の高い商材が上位を維持した。
また、2025年に「ふるさと納税」が4位へ浮上。「健康食品・医薬品」がこの3年間で順位を少しずつ上げ、3位となっている。
アパレルやスポーツ用品、限定ホビー商品に加え、健康食品などの初回限定割引商品を狙った不正注文が拡大。従来の「金券・高級ブランド品」といった高価格帯商材だけでなく、生活密着型や転売需要の高い商材全般へと不正のターゲットが分散・拡大している。
◆「O-PLUX」の不正注文検知数に基づく商材別ランキングの推移
※画像元:かっこ株式会社・株式会社リンク「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」
「カゴ落ち」「決済承認率」の低下が課題
「セキュリティガイドライン6.1」では、EC加盟店に対して原則として決済の都度EMV3-DSによる認証を行うことを求めている。
一方、EMV3-DSの導入により購入者が途中で買い物を諦めてしまう「カゴ落ち(離脱)」が発生している。株式会社YTGATEの調査によると、EMV3-DSを導入済みのEC事業者のうち78.6%が「導入後にカゴ落ちが増えたと感じている」と回答した。
さらに、EMV3-DS導入前後で、カード会社判断による決済否認が増加。決済承認率が低下している。
※画像元:かっこ株式会社・株式会社リンク「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」
YTGATEでは、イシュアとの調整時に、イシュア判断によるEMV3-DS認証エラーを減らすための処置を依頼。また、EC加盟店に対しても、ECサイトのユーザーインターフェイス上での挙動を確認し、カゴ落ちを防ぐための改善点についてアドバイスを行っている。
その結果、入力間違い等のエラー件数がほぼ同じにもかかわらず、イシュア判断、EMV3-DS認証失敗、カゴ落ちによる決済エラー件数が大きく減少した。
※画像元:かっこ株式会社・株式会社リンク「キャッシュレスセキュリティレポート2026(2026年10月発行)」
本レポートでは「決済エラー件数が大きく減少した。イシュアとの調整では、加盟店が不正利用対策を行い、それを説明する必要がある。EMV3-DSに加えて、不正利用検知システムなどの重層的な対策を行い、不正利用の抑止効果を確認した上でイシュアと調整を行うことが求められる」と指摘している。
EC事業者としては顧客に安心・安全な購買環境を提示できるよう、最新の不正手口を把握する必要がある。同時に、技術・システム的な対策とともに、消費者への注意喚起も含めた、総合的な対策が求められるだろう。


