「安心・安全な決済環境」が売上と顧客体験を左右する「信頼インフラ」に PayPal調査
PayPalは2026年7月2日、「PayPal 中小企業によるEコマース活用実態調査2026」の結果を発表した。
調査概要
◆調査方法:インターネット調査
◆調査期間:2026年4月8日~4月13日
◆調査対象:ECを実施する従業員4〜299人規模の企業(行政機関・公衆安全分野を除く)に勤務する、部長職以上のビジネス上の重要事項に関する意思決定関与者
※小売、サービス、製造、公共、運送などを含めた幅広い業種の企業が対象。
◆調査人数:310名
◆出典:PayPal 中小企業によるEコマース活用実態調査2026(PayPal)
物価高や円安、人手不足などが事業運営に大きな影響
ECを実施している中小企業の実態として物価高や円安、人手不足などが事業運営に大きな影響を与えていることが改めて確認された。
「物価高の影響を受けている」と回答した企業は49.0%にのぼっている。51.3%の企業が「円安による仕入れ価格やコスト増加の影響」を、34.5%の企業が「米国の関税引き上げによる仕入れコスト増加の影響」を受けていた。
また、過去1年間に影響を受けた社内要因としては、「人手不足」が38.4%で最多となった。

こうした環境変化に対して、多くの企業は適応に向けた取り組みを進めている。
実際、半数(50.3%)の企業が「販売価格の引き上げ」を実施している。そのほか「新規顧客開拓」(41.0%)、「賃上げ」(31.6%)、「採用強化」(31.3%)など、将来を見据えた施策に取り組む企業も多く確認された。
約5割が「越境EC」に前向きな姿勢
ECの運用方法については、自社サイト上で運用している企業が29.4%であったのに対し、ECモール上で運用している企業は46.1%となった。
また、売上全体に占めるEC売上の割合は平均26.7%で、EC売上が全体の50%以上を占める企業は全体の4分の1であった。

自社サイト上での運用は自由度が高いというメリットがある一方、「コストが高すぎる」(31.3%)、「運用に必要な社内の人材がいない」(28.9%)、「集客に不安がある」(28.1%)といった課題も挙げられている。
PayPalはこうした課題の背景について「物価高やコスト増加、人手不足など、中小企業を取り巻く経営環境があると考えられます。自社サイトを活用したEC運営の拡大に向けては、こうした経営課題への対応とあわせて、運営体制の整備や集客施策の強化が重要であることが示唆されます」とコメントしている。
ECの中でも国境を超えて商品やサービスを販売する「越境EC」については、現在実施している企業が18.4%。今後1年以内に行う予定がある企業が28.1%となり、全体の約5割が前向きな姿勢を示していることが明らかとなった。
越境ECを行っている企業では、EC売上全体の約2割を海外売上が占める。さらに、越境ECへの取り組みにあたって「AIの活用」(38.6%)、「グローバル決済システムの導入」(31.6%)、「言語問題への対応」(29.8%)など、海外市場への対応に向けたさまざまな施策が進められていることがうかがえる(既に越境ECを実施している企業ベースにおいて)。

決済は「機能」から「信頼インフラ」へ
ECを実施している中小企業の半数以上(55.2%)が、過去1年間にオンライン決済に関する何らかのトラブルを経験していることが明らかになった。
ECサイトにおいて「顧客が安心して購入するために重要だと思われる要素」として、「安全で信頼できる決済方法が利用できること」(34.5%)が最も多く挙げられた。これは、価格や配送だけでなく、「安心して支払えること」がオンライン購買における重要な判断基準となっていることを示している。

ECサイト上で導入されている決済手段は「クレジットカード」(66.1%)や「銀行振込」(52.6%)といった従来型のものが中心となった。
こうした中、決済手段を拡充した企業のうち、約3割が「売上・購入率の向上」を実感(決済手段を拡充した企業ベース)しており、決済環境の整備が売上機会にも影響を与える可能性が示唆された。
PayPalはこの結果について「決済システムは単なる支払い機能ではなく、顧客との信頼関係を構築し、購買機会の最大化を支える『信頼インフラ』としての役割を有していることがわかります」とコメントしている。

段階的にデジタル活用を進めることが重要
PayPalは本調査結果について、次のようにコメントしている。
「今後、中小企業が成長機会を捉えるためには、自社に合った形で段階的にデジタル活用を進めることが重要になります。例えばECにおいては、運営負荷を抑えながら販売チャネルを広げることに加え、顧客が安心して購入できる決済環境を整備することが、売上機会の拡大につながる可能性があります。また、海外販売についても、AI活用やグローバル決済システムの導入など、自社のリソースや事業規模に応じた形で段階的に取り組んでいくことが重要になると考えられます」
多くの中小企業が厳しい事業環境の中でも成長に向けた取り組みを進めている一方、EC運営やAI活用の領域では実行面の課題が残っていることが確認された。
2026年下半期へ向けた施策検討や体制の見直しなど、さらなる成長へ向けた取り組みに、調査結果をぜひ参考にしたい。


