TERMINAL ORDER、第三者割当増資した理由とは

ECのミカタ編集部

ファッションEC業界を支える「TERMINAL ORDER」

 ファッション業界向けBtoBマーケットプレイス「TERMINAL ORDER」を提供するターミナル株式会社(以下、ターミナル社)は、株式会社ベクトル(以下、ベクトル)、株式会社オークファン(以下、オークファン)他を配送先とする総額1億円の第三者割当増資を実施した。

 ターミナル社がファッション業界向けBtoBマーケットプレイスを2014年から開始した。これを開始した理由は、新作発表を行う展示会業務を減らすことだ。展示会では、自社のブランドをチラシにして多くの人に配ることが一般的だ。展示会後に、それをまとめることに手間がかかってしまう。それを削減したり、ミスを無くしたりするために「TERMINAL ORDER」が始まった。具体的には、企業間取引のEC化による事業改善、マーケットプレイス提供によるオンラインPR支援なども行う。現在では、大手ブランドを中心に170ブランド、5,000バイヤーが利用し、2016年5月末日時点で流通総額が100億円を突破した。

 「TERMINAL ORDER」の事業の中で、今年から始めたことは各ブランドのPRだ。そもそも、ブランドのPRが弱いという現状がある。例えば、素晴らしいブランドがあるのに、PRが弱くて人に広まらない。結局、人気が高くてPRが上手なブランドが好まれるのだ。そこを変えるのが「TERMINAL ORDER」だ。具体的には、InstagramやFacebook等のSNSを使って、ターミナル社がリーチしている人々に広める。また、展示会で「このブランドいいな」と思っても、SNSやインターネットでちゃんとPRされていないと離れていく。瀬戸氏は、「それを含めてPRのお手伝いをしていき、Facebook等のセットアップをしていきたい。そして、ブランドの新規取引の創出や売り上げ向上に繋げていきたい。」と話す。いずれは、バイヤー数を数万規模にすることを目指している。

今後の展開とは・・・?

 2016年内に新たな事業領域として、企業間取引の売掛の保証、請求代行、一時的な資金需要を解決する融資等、経済的支援をするなど、FinTech領域への進出を予定している。また、金融機関・決済事業者との提携により、「TERMINAL ORDER」内の取引データを活用したトランザクションレンディングを始めとするサービスを提供し、2020年までに1,000億円規模のFinTech事業を展開している。

 さらに、2015年から開始している海外展開支援の事業展開支援の事業領域を拡大した。バイヤーページの英語以外の多言語対応もしており、日本のブランドを海外のバイヤーに売る支援も「TERMINAL ORDER」で受けられる。これは越境に進出する大きなチャンスであり、日本ではそこまで売れなかったとしても、もしかしたら、海外で多く売れるかもしれない。その可能性を秘めている。この海外展開支援を今後伸ばしていき、2017年度の海外バイヤーへの流通総額を40億円と目標を立てている。要するに、多くの人にブランドを認知してもらうお手伝いと海外に進出するためのお手伝いをしていくのが「TERMINAL ORDER」の立ち位置だ。今後の事業領域の拡大に伴い、年内に導入ブランド数は350、利用バイヤー10,000人(うち海外バイヤー1,000人)を見込んでいる。

 ファッションに関するECは、多くあるはずなのに、有名なファッションECしか使われない傾向がある。それは、やはり、PRの弱さだ。せっかくの素敵なブランドがPRの弱いことにより、多くの人に知られていないことはもったいないことだ。そこを変えてくれる「TERMINAL ORDER」は、ファッションEC業界で欠かせない存在となるだろう。


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