総合ネットションピングモール「Qoo10」（eBay Japan運営）は10月5日、10月の国際ガールズデーにあわせ、「一般社団法人若草プロジェクト」へ300万円を寄付した。寄付は昨年に続き2回目。毎月、洋服の寄付も継続しており、今後は支援を受ける若い女性に「学びの場」も提供する予定で取り組みを広げる。若草プロジェクトは貧困や虐待など生きづらさを抱える少女、若い女性たちを支援しており、他の施設・団体とのネットワークを持ち、その活動をも支援する。Qoo10は利用者の多くが若い女性でもあり、若草プロジェクトの支援に共鳴した。同社では昨年、ファッションに特化した「MOVE by Qoo10」のローンチに合わせ、社会貢献活動「MOVE」を本格化させた。Qoo10を運営するeBay Japan合同会社のグ・ジャヒョン代表取締役や若草プロジェクトの村木厚子代表呼びかけ人が出席して執り行われた、寄付贈呈式をリポートする。

eBayの理念と共鳴。社員の中に活動が広がる

寄付や取り組みの意義を語るグ代表

――寄付の意義や取り組みの内容は

グ代表　eBayは2018年、オンライン上の総合ショッピングモールQoo10の運営をスタートしました。現在、2300万人の会員がおり、若い女性の比率が高いのが、Qoo10の特徴になっています。ファッションに特化したMOVEも開設し、人気を集めています。また、グルーバルなeBayには「人々の生活を豊かにする」という基本理念があり、世界最大級の募金活動も行っています。こうした理念を社員と一緒に体現することは大切です。

若草プロジェクトはとてもユニークな形で若い女性を支援している団体です。必要な人に必要な物品やサービスを届ける支援プラットフォーム「TsunAが～る（つながーる）」を運用しており、ECと親和性が高い。当社ではMOVEで返品された商品を新品同様に再生させるために、月一回、社員から参加者を募り、倉庫に行って、検品、撮影、TsunAが～るへの登録、配送を行っています。この1年で35の施設へ、535品を届けました。社員が自ら、活動に参加することや、届けた施設や受け取った女性に喜んでもらえていることに大きな意義があります。

好きな服を自分で選ぶことが自信に

企業支援の意義を強調する村木代表呼びかけ人

――若草プロジェクトの活動とeBayとの取り組みについては

村木代表呼びかけ人　女性の取り巻く状況は貧困や虐待など厳しいものがあります。若い女性の相対的貧困は６～7人に1人と言われ、虐待の報告は20万件を超えていますが、そんな環境から抜け出そうと、もがく中で家出や街を徘徊し、薬物やJKビジネスのようなリスクにあってしまう。大人はそんな人たちを「悪い人たち」と捉えがちですが、何とか自立したいと思う人たちでもあるのです。

こうした人々の支援をしているのが若草プロジェクトです。「つなぐ」「広げる」「学ぶ」を軸に活動していて、支援が必要な人とつながるのはもちろん、支援者同士、企業や専門機関と支援団体をつなげることもしています。支援団体はその性格上、社会でピーアールや広報がやりにくい。そのため多くの団体は規模が小さく、支援も大変な状況にあります。私たちはこうした女性支援の「応援団の応援団」になりたいと思って活動しています。

その中でQoo10のような世の中で良く知られたサービスを持つeBay Japanのような企業が支援に加わって頂けるのは大きな意味があります。支援を受ける女性の多くは、大人や社会に不信感を持っています。そのなかで著名な企業からの支援は「私たちは社会から見放されていない。自分たちを見てくれている」と、行政やNPOとは違う感覚で支援を受け取っています。

また「好きな、欲しいと思う服を自分で選ぶ」ことは本人にとても自信を与えます。生き延びるために必要な支援をすれば、普通に喜んでくれます。でも、感激してお礼の手紙がくるようなケースは「自分の着たい服が着れる」「見たいミュージカルが見れた」といった“好きなもの”、“欲しいもの”が手に入った感動から出てきます。eBay Japanの取り組みはブランド品もトレンド商品も多く、本当に着たい服を自分で選べます。その体験が女性の一歩、前に進もうという気持ちにつながっていきます。それも継続的に支援して頂いており、本当に大きな存在になっています。

念願の「学ぶ」活動に着手

――今後、活動を広げる「学びの場」の提供とは

グ代表　服の提供に加え、経済的自立を支援する「学び」をテーマにした取り組みを開始したいと思っています。将来の自立に向けた学びを提供したいと思っています。オフィスで社員と一緒に業務をしたり、倉庫でECの物流を体験したり、学びたい人のニーズや環境に合わせて、オンライン講座や体験プログラムなどを想定しています。EC事業にはいろいろな仕事があって、こうしてECが多くの人に利用されているんだということを知ってもらう機会になると思います。

村木代表呼びかけ人　実は「学び」の取り組みは若草プロジェクトが長年やりたかったことで、なかなか実現できていませんでした。支援する女性に将来の職業を聞くと、施設の職員や学校の先生という声が多く出ます。自分がお世話になった身近で信頼できる大人が目標になりやすいのですが、一方で社会には様々な仕事があります。たくさんの大人に会うことで、選択肢を広げてほしいし、それで自立につながる事も増えると思っています。直接、社員から話を聞ける、といった社員を巻き込む取り組みは、意義や理念がDNAとして浸透しているからこそ、受け入れられる事だと思います。とても素晴らしい事です。