【第3回】3つのサイトタイプ別、顧客データ活用方法

杉本真以

こんにちは、Ve Japanの杉本真以です。

もう12月が間近となってきまして、2017年までカウントダウンですね。一年は早い・・
お陰様様で、第2回のコラムは、「読まれたコラムランキング」のTOP3になりました。
少しは私のコラムが皆さまのお力になれているのかもと、ひっそりと喜んでおります。ありがとうございます。

【第1回】集客だけで満足していない?Web接客・離脱防止篇
https://www.ecnomikata.com/column/10935/

【第2回】カゴ落ちメールの開封率を5%あげてみた!
https://www.ecnomikata.com/column/11566/

さて、第3回ですが恐らく年内は最後のコラムだろうと思っておりまして、特別編として対談形式でお送りしようと思っています。
マーケティング支援をしている企業からみて、EC事業者の皆さまが悩んでいるリアルな声やそれに対して我々ができることなどが伝われば嬉しいです。

EC担当者に聞く、「●●で辛い」こと。

EC担当者に聞く、「●●で辛い」こと。

 私は営業でクライアントのEC担当の方とお打ち合わせする機会が非常に多いのですが、もっている課題や悩みは割りと似ているのかなと最近感じています。例えば、以下のようなことを本当によく聞きます。私、前職はWebディレクターをしていたのですが、ほぼ同じこと思っていました。(確かに、これ解決できたら誰も苦労しないですね)

・広告の費用対効果が合わない、CPAが高すぎて辛い
・サイト内の改善をしたいけど、どこから何をしていいのかわからないし、開発工数も予算もなくて辛い
・データが大切っていうからとりあえず集めてみたけど、どうやって使うのかわからなくて辛い

 特にデータ分析あたりは、得意不得意がハッキリと分かれる部分ではないでしょうか。今回、データの「わかる化」をビジョンとして掲げている株式会社WACULで、お客様サポート担当のマネジャーを務める林さんに対談をお願いしました。WACULはAIを使ってクライアントのWebサイトの分析と改善策の提案をする「AIアナリスト」というサービスを展開しています。

人工知能とヒトの強みをかけ合わせた分析を可能に

人工知能とヒトの強みをかけ合わせた分析を可能に

Ve Japan杉本:「はじまして、Ve Japanの杉本です。本日はよろしくお願いします。早速ですが、AIで分析について教えて頂けますか。」

WACUL林さん:「弊社が提供するAIアナリストというサービスは、Googleアナリティクスと連携し、サイト内のデータを分析し、どこに課題があるかを提案します。
例えば、ブログからサイトに流入しているユーザのコンバージョン率が高いのであれば、ブログからの流入を増やしましょうという方向性をAIが出してくれます。その方向性を具体的な施策に落とし込むのが弊社のコンサルタントの仕事になります。」

Ve Japan杉本:「もともと、WACULはAIで事業を行っていたのですか?」

WACUL林さん:「いえ、もともとはAIを使わず、ヒトが全てクライアント様のサイトの分析と改善提案を行っていました。しかし、クライアント数が多くなるに連れコンサルタントへの負担も大きくなり・・
それを解決するためにAIに切り替えました。AIとヒトの得意分野を分けたような感じです。自分たちの今までのロジックをAIに当てはめていきました。」

Ve Japan杉本:「そうなんですね! 分析となると、ヒトでもできるんじゃないかと思ってしまう部分もあるのですが・・」

WACUL林さん:「ページ数が少ないLP(ランディングページ)だけのサイトなどであれば、そこまで負担なく分析はできるかもしれません。ただ、複数商品を扱うECサイトとなるとページ数が膨大です。そうなると、なかなかGoogleアナリティクスの数値をひとつずつ見るのは時間がかかりますし、ミスが起こることもあります。そして数字を見ても、次のステップがわからず終わってしまうこともあるんじゃないでしょうか。」

Ve Japan石黒:「Veを申し込まれるクライアント様も、同じ悩みに陥っているところはありますね。離脱が多いのはわかっているけど、実際に何をしたら良いのかわからない。そもそも離脱が多いのかも分からないと仰っているクライアント様もなかにはいらっしゃいます。」

 最近、データは貯めているけど、その使い道が分からなかったり、分析にそこまで工数を取れない企業から相談を受けることも多くなっているとか。一方で、分析はできてもそこからアクションに繋げられなかったり、結果が出ずに悩んでいる企業も。

 みなさまはいかがでしょうか。「Web分析をしよう!」と思い、Googleアナリティクスを設定はしたものの、放置したままなっている・・・ということはないでしょうか。

Ve Japan石黒:「あと、我々が提案に行くクライアント様のなかではそもそも”離脱を防ぐ”という発想がないところもあります。
EFOや誘導部分に力は入れているけど、離脱ユーザに何か施策を行っているところはまだまだ少ない気がしています。」

WACUL林さん:「データを集めるのは手段で、目的ではありません。AIアナリストはあくまでサイトの方向性を示すだけで、施策の提案はコンサルタントが行っています。
システムが関わってくるような施策は実行まで時間がかかってしまうこともありますが、デザインのみで完結する施策はスピーディーに実行できることが多いですね。」

まずは、サイトのタイプを把握すること

まずは、サイトのタイプを把握すること

Ve Japan杉本:「数ある成功施策の中から、どのサイトでも実践しやすいものを教えていただきたいのですが、ありますか。」

WACUL林さん:「そういう意味だと、ないですね。ただECサイトにはいくつかのタイプがあり、同じタイプのサイトであれば、成果を出すための方針は似てくることが多いです。ですので施策実施の前に、いくつかの観点から自身のECサイトのタイプを把握することが肝心です。」

Ve Japan石黒:「そうなんですね、具体的にはどんなタイプがあるのでしょうか?」

WACUL林さん:「そうですね、例えば商品を多数扱う総合通販系であればユーザの行動ごとに大きく3つに分けられると思います。

(1)リピーターが何度も購入しに来るタイプのサイト
(2)買いたいものが決まっている新規ユーザが訪問するタイプのサイト
(3)何を買えばいいかわからないタイプの新規ユーザが来訪してくるサイト

例えば(1)は化粧品などに多いですし、(2)はCDやマニアックな素材・部品のECサイトが当てはまります。」

Ve Japan石黒:「それぞれどのような方針を出すことが多いのでしょう?」

WACUL林さん:「全てをお教えするのは難しいですが、(3)のタイプのサイトで言うと、一番重要なのは、訪問者に対して見せる「商品を絞る」ことだと思います。特に、トップページから商品詳細ページへの誘導が低いサイトに対しては、TOPページに商品のランキングを載せるだけでも効果があると思います。もちろん、CVだけではなく、各サイトの在庫状況や利益率の問題も考慮していくことが前提ですが、アパレルの企業の事例で、TOPページにランキングを出しただけでCVRが4倍に伸びたことがありました・・・」

Ve Japan石黒:「同じくファッション系のクライアント様で、在庫数が少ない商材がカートに入っている場合、離脱のポップアップに「商材の在庫が少ないですよ」と表示させた施策がありました。通常CVRが4~5%程なのですが、このケースは10%近くまでCVRが上がりまして・・これは私達の想像を越えた数値だったので驚きました。」

Ve Japan杉本:「面白いですね。逆にこれは失敗だったなというのも教えてほしいです。」

WACUL林さん:「期待ほど、伸びなかったということはよくありますよ。当たり前ですが、同じ方針内でも、サイトの強みや商品の特性ごとに対応は必要ですからね。ただ、うまくいかなかった場合には、情報量を増やしすぎてしまった場合が多いです。今はAIアナリストの中で改善事例をどんどん貯めているので、その辺の誤差もだいぶ減ってきました。」

Ve Japan石黒:「確かに、余計なことを伝え過ぎるのは良くないですね。過去に、離脱のポップアップに文字を入れすぎた結果、全くメッセージを読まれずCVが伸びなかったことがありました。サイトを出て行くユーザには、そもそもサイトに対して思いが薄れてしまっているので、シンプルに伝えてあげることが大切です。あと、離脱のときに会話ができるチャット機能もあったのですが、全く使ってくれませんでしたね(笑)」

ECサイト担当者のみなさまに伝えたいこと

ECサイト担当者のみなさまに伝えたいこと

Ve Japan杉本:「ECサイトを運営しているご担当者様にお伝えしたいことなどありますか。」

WACUL林さん:「繰り返しになりますがデータを貯めるのは目的ではなく、手段です。ですので、そのデータを活かして売上を伸ばす。同じECでもタイプによって実装方針は異なります。まずは、データで自分のサイトがどのタイプのサイトであるかを理解することが重要です。AIアナリストなら、自動でデータの分析から改善方針の提案まで行えますので、ぜひ試してみてほしいですね。無料で利用できます。」

Ve Japan石黒:「まだまだ”離脱”にフォーカスして、施策をしている企業様は多くありません。一度Veサービス含め、試していただきたいです。お値段もご相談ください(笑)」

《編集後記》
Ve Japan杉本:「ところで、林さん。最近、将棋でもAIが人間に勝つなどを耳にしていつか人間がAIに駆逐されるのでは・・と怯えているのですが、どうなんでしょう。」

WACUL林さん:「相手を説得する、相手の気持ちを汲み取って会話するところは、人間の方が得意だと思っています。どんなにロジックをAIに当てはめたとしても、AIは感情を読み取るのが出来ないので。あるAIが東大合格を目指して頑張ったけれども、国語の読解ができずに断念した話がありましたよ。」

少し安心した杉本でした。WACULのみなさま、ありがとうございました!


著者

杉本真以 (Sugimoto Mai)

神奈川出身の88世代。社会人で東京デビュー。
新卒でレバレジーズ株式会社に入社、人材営業とWebディレクターを経験。
その後、知り合いの会社を手伝い、縁があり外資系スタートアップVe Japanに入社し、セールスとPRを兼務。
同僚のスペイン人顔負けの、明るさとクレイジーさを持ち合わせたベンチャーウーマン。
通称:ちんまい