コメ兵のオムニチャネル化には「IT部門」が重要だった

藤原 義昭

はじめまして。株式会社コメ兵の藤原(ふじはら)義昭と申します。
今後オムニチャネル関連を中心にデジタルとリアル(特に店舗)をどうつないで売上、利益をあげてゆくのかということをテーマに書いてゆきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。

はじめにKOMEHYO(コメ兵)のことをご存じない方も多いと思いますのでご説明が必要かと思いますが、リユース業を核として主にブランド品やジュエリーなどファッション関連の買取販売を行っています。またBtoBの卸売、業者間オークション事業などブランド品リユース全般に関わっている会社です。グループ売上高は約400億円。

私自身は1999年にコメ兵に新卒として入社し、ジュエリーの買取販売の部署に配属。査定や販売を行う傍らで2000年からEC担当として営業と兼任でジュエリー販売のECサイトの立ち上げから参画しました。WEB経由の売上高は60億円を超えるところまで成長しています。(※売上高はECのみではない。追々ご説明します。)

現在はマーケティングとITの執行役員として店舗出店、広告販促、EC事業、宅配買取(WEB完結の買取)やデジタル全般といった全社のマーケティング、インターネット事業とIT(情報システム部署)を統括しています。

良く「藤原さん、前職はどこの会社ですか?」と聞かれますが、プロパー社員かつ思いっきり商売畑出身で現在もマーケティング部署のトップですが自分はマーケターではなくて事業推進者だと思っています。事業を進めていく上でマーケティング業務というのはその1つに過ぎません。

現在、コメ兵ではEC事業部門と情報システム部門をマーケティング部門の中にいれています。この2つの部門を1つの部署にまとめて置いておくのはとても重要な事で、特にEC部門、情報システム部門、及びマーケティング部門が近い位置にあることはオムニチャネル成功の鍵の1つです。

情報システム部門は多くの会社が基幹システムの構築とおもりを行う部署が多いのではないでしょうか。企業の基幹システムは会社によってそれぞれ異なるとは思いますが、購買、製造、販売、勘定といった業務システムから顧客、商品、販売のデータの活用を始めとしてマーケティングやセールスなど「どうやってITで稼ぐか?」に移行していっていますし、今後この意識がないと企業がドライブしてゆくのは難しいのではないでしょうか。

このような背景もあり、オムニチャネルを推進していく上では今後さらにIT部門がマーケティングに寄った部署になっていくことがとても重要になるでしょう。

まず転機として、2010年に組織改編によりEC専業部署を立ち上げました。その後2013年には情報システム部門をEC部門と統合しました。もともと2006年ごろからEC掲載商品の店舗受け取りサービスを始めておりそのころから情報システム部門が一緒に居ないとデータを使うことやシステム構築のスピードを出して進めてゆくことが難しいと感じていたのと、デジタルマーケティング(当時はWEBマーケティングと言っていたと思います)が会社の中の広告宣伝活動の中に少しずつ入ってきた為、近い将来リアル小売業の広告宣伝活動の主戦場はインターネットサイドになると感じていましたのでECで持っていたノウハウを全社のマーケティングに広げていこうと思い現在でもECのスタッフがリアル店舗のデジタルマーケティングも担当しています。

オムニチャネルに話を戻すと、クリック&モルタルと呼ばれていたマルチチャネルについては店舗在庫をECで販売していたので2001年ごろからはマルチチャネル化していたといえます。

その後O2O(online to offline)へ2006年ごろからEC在庫を店舗で受け取ることができるようにしてゆきました。
これがコメ兵のオムニチャネル化への土台を作っていったと言えます。

少しコメ兵の説明が長くなりましたが次回からは実際にコメ兵の施策などを交えてオムニチャネルについて話してゆきたいと思います。

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コメ兵 藤原


著者

藤原 義昭

1999年にコメ兵に新卒として入社。ジュエリーの買取販売の部署に配属。査定や販売を行う傍らで2000年からEC担当として営業と兼任でジュエリー販売のECサイトの立ち上げから参画。現在はマーケティングとITの執行役員として店舗出店、広告販促、EC事業、宅配買取(WEB完結の買取)やデジタル全般といった全社のマーケティング、インターネット事業とIT(情報システム部署)を統括している。