【韓国越境EC事情】独自で開発したスマホケースで越境EC展開「ディーパークス」

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韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。

今回は、ネットビジネス(EC)のメリットを最大限に活用しながら、自社で開発したスマホケースで成長を遂げたスマホケースブランド「ディーパークス(http://www.dparksshop.com/)」を紹介します。特に、中間流通を通さず、ネットを通じて直接若年層に向け積極的な取り組みをしたところに注目です。

スマホケース製造業は、「大量生産」による「卸売業」システムで一般的に取引されます。韓国市場も、商店街で活動する「卸売業者」が主な販売先で、スマホアクセサリー販売に取り組む場合、彼らから仕入れた商品を販売します。このため、スマホケースのブランド管理は難しく、積極的なブランディングを行う事業者も少ないです。

スマホケースブランド「ディーパークス」を運営する朴•スヨンCEOは、このような業界プロセスに従わず、自社ブランドを通じた新たな試みで成果を出しています。

「スマホケース市場で、ブランディングは特に必要ないという偏見を破りたい気持ちが強かったです。スマホケースもアパレルのよう自分が好むブランドを選び、購入する消費者の姿がみたかったのです。」(朴CEO)

彼は、2010年頃爆発的にニーズが増加したスマホケースを注意深く調べたところ、大勢の商品がただ色が違うだけで、個性が見つからなかったことに着目しました。ビジュアルデザインを専攻しただけの自分の能力をうまく発揮すれば、可能性のある市場だと判断しました。

これに試作品を制作、商売に取り組もうとした際、流通の問題がネックになり、卸売業者からもデザインに対しては評判があったものの、価格低減を求められることが多かったと言います。また、スマホ機種により異なる金型が必要なため、コストの問題もあったと言います。

これに、朴CEOは「自社ECを通じたブランディング」と「消費者を直接攻略」を運営戦略として2012年から本格的な事業を展開しました。

韓国内20店舗以上を運営するブランドへ成長

韓国内20店舗以上を運営するブランドへ成長ディーパークスブランドを扱うショップは今も増えつつある

朴CEOはは、ECのメリットをこう説明しています。
「自社ECをうまく活用すると、直接消費者に向けコミュニケーションやブランド広報も出来る効果があります。また、中間流通を通さない分、リーズナブルな価格設定や商品力向上につながる投資も可能です」

実際、外注先に頼らず独自技術で素材の耐久性を高めるほか、「劣悪環境下でのテスト」を行い品質向上にも力を入れてきました。専門デザイン部署では、10〜20代の若年層とSNSでコミュニケーションを行いながら顧客のニーズに合わせて全品をハンドメイドで制作しています。

このような取り組みで、ネット上で急速に口コミが広がり、リピーターも増え、2015年にはファッションやトレンドの発信地「弘大(ホンデ)」に実店舗も開業しました。現在、同社ブランドを販売する実店舗は20店舗あまりまで増え、継続な成長を遂げています。

そのうち、ミョンドン(ソウル最大の繁華街)店には来韓観光客の訪問が相次いでいて、「韓国独特のスタイルを取り入れたスマホケース」という評判も続いています。今年は、日本バイヤーからの購入関連問い合わせが契機で、グローバルECプラットフォーム「cafe24」を使用し、日本語のECサイトも開設しました。日本の場合、iPhoneを含むスマホの利用者も多い市場であるだけに、日本法人設立を検討するなど、積極的な展開を計画しています。

[ディーパークス朴CEOとの一問一答]

[ディーパークス朴CEOとの一問一答]ECのメリットを活かして成長を遂げたディーパークスの朴スヨンCEO

--越境EC事業のきっかけと日本市場に参入した理由は。
韓国で成果を出した時点で、海外ユーザーは弊社製品をどう受け入れるかチャレンジしたい気持ちがわいてきました。製品に自信はあったので、国内にとどまらず海外顧客へうまく対応することは、グローバルブランドへ成長できる絶好の機会だと思いました。

また、参入ハードルの高い日本市場ですが、日本消費者を満足させることで世界市場でも通じるブランドを目指すため参入を決めました。

--韓日顧客の特徴に違いはありますか。
スマホケースの場合、日本は韓国と購入パターンが非常に類似している特徴があります。かわいいキャラクターや感性的なイラストを活用した製品の反響があることも似ています。

ただ、透明の材質を好む顧客が多いところなどもあるので、微細な顧客の違いを分析し、日本ユーザー向け商品も開発しながら両国の特徴に合させた取り組みを行っています。

--海外展開における顧客対応戦略について

若年層に向け、個性的なデザインのスマホケースを提案している

自社ECや実店舗を同時に展開しながらブランド信頼度向上に力を入れています。主なターゲットが10代後半〜30代前半の女性なので、公式SNSアカウントを使用し、口コミや顧客の声に迅速に対応し、製品開発のソースとしても活用しています。

特に、彼らがデザインを主な購買決定要因として考える傾向があるので、他社とは差別化されたデザインを取り入れた製品を開発しています。

--今後の計画について
単なるスマホケース販売にとどまらず、幅広いライフスタイルブランドを目指して行きます。
その一環として、タンブラー、カードケース、ブレスレットなどカテゴリー拡大にも力を入れています。今後は、色んな国に実店舗を展開することで、世界中で愛されるブランドになりたいです。

ECのミカタ編集部の見解

日本のEC業界でも卸しだけでなく、メーカー直販へ取り組む企業が増えていて、それはネットにおける最大の強みと言えます。それによって、商売のあり方が変わりましたが、「ディーパークス」も新しいビジネスあり方を提案し、お客様から支持を集めることによって自らの成功へと導いています。

具体的なメリットを上げれば、値付けの問題や様々な制約から解放されるということもありますし、消費者の情報をダイレクトに得ることができるため、商品企画やマーケティングへとすぐに反映できるという点があります。

また、朴CEOも話されていますが、小売販売者というフィルターを通さずに、作り手だからこそ伝えたい思いや、こういう風に見て欲しいというブランディングをありのままの形で実現することができるのです。

その中でも消費者と直接コミュニケーションを取りながら商品作りを行っているというのも、直販だからこそ可能な手段とも言えます。国内メーカーのSNSで注目されているアカウントは、ユーザーや他のメーカーとコミュニケーションを取っている様子がよく見られますが、やはりブランドを損なわないコミュニケーションの取り方をされているのではないでしょうか。

ただ”選ばれるのを待つ”のではなく、ブランディングによって”選ばれるブランドになっていく”。他社との差別化を含め、ブランドのあり方として学びの多い「ディーパークス」の事例でした。


著者

CAFE24 JAPAN

グローバルECプラットフォームを通じて無料で開業できる多言語ネットショップ、無料デザインテンプレート、
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