インバウンド消滅の中「忘れられない」オンラインツアー×○○で活路を見出す!

岩本 夏鈴

 越境EC×インバウンドの関係性とは データから読み取る日本製品の魅力に迫る

BeeCruise株式会社(BEENOSグループ)にて日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールスや海外セールスなどの統括をしております岩本です。

前回は「越境ECの新たな可能性としてVtuberが広げる世界」について解説いたしましたが、今回は国内インバウンドの消滅に伴って必要とされる「忘れられない」オンラインツアーに注目してみたいと思います。

具体的には、以下について徹底解説していきます。
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・「忘れられない」必要性
・”オンラインツアー×越境EC”で、コト消費だけでなくモノ消費まで取り込む
・事例紹介
・旅行会社と連携した新たなオンラインツアー企画もスタート
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「忘れられない」必要性

新型コロナウイルスがいまだに猛威を振るう中、全国各地でインバウンドの消滅は深刻な事態になっています。訪日外国人客はコロナ禍前と比べ9割以上落ち込み、なんの手立ても打たなければ興味を抱かれていたはずの土地への関心も薄れていくことでしょう。訪日客を見込んで売り上げを立てていた店舗やサービスは大きな打撃を受けています。

以下の資料を見てもインバウンドの消滅は深刻ですが、新型コロナウイルスの鎮静化をただ待つのではなく、こちらからもアクションを起こす必要があります。

見込み訪日客に忘れられない、逆に新型コロナウィルス鎮静後に「行きたい」と思わせる工夫の一つとして有効な施策として、「オンラインツアー」が挙げられます。直接来日してもらうことが難しい現状、ライブ配信ムービーを通して観光地を訪れた気分になっていただくオンラインツアーは「予習旅」としても効果的ですが、現在では、新たな進化を遂げています。BEENOSグループでは越境ECと連携させることで新たな流通・体験を提供いたしました。本回は、認知から購買までを担うオンラインツアー×越境ECの取り組みを実例を交えてご紹介します。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001396416.pdf観光庁プレスリリース試算結果の発表(2021年3月31日)

”オンラインツアー×越境EC”で、コト消費だけでなくモノ消費まで取り込む

例えば、BEENOSグループの子会社、BEENOSTravelではコロナ禍で忘れられない関係性を築くために台湾人観光客に向けて「名古屋オンラインツアー」を開催しました。本オンラインツアーは2020年2月に開催、ツアー内では、名古屋城の天守閣や二之丸庭園などをご紹介、外国人による訪日が見込めない中でも、名古屋の文化財と触れ合う体験を提供しています。

配信を通して観光名所を巡り、さらに事前・事後にお土産をお客様にお届けすることで臨場感を持ちながらツアーをお楽しみいただき、終了後には余韻に浸ってもらうこともできます。

そうすることで観光地を印象づけ、直接訪日できない間にも「コロナ後には直接行きたい」と思っていただくことや、ツアーやお土産品で触れた名産品を越境ECで手にしていただく可能性も高くなります。

オンラインツアーは「コト消費」でありながら、こうして「モノ消費」に変えていける側面を持っています。モノ消費、それが越境ECです。

事例紹介

「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」ではツアー終了後に日本酒を販売

より旅先を感じていただくために越境ECの持つ物流網などを活用したオンラインツアーの実例として挙げられるのは、BEENOS Travelとインバウンド誘客等に積極的に取り組む、国の「重点支援DMO」に選定された一般社団法人 京都府北部地域連携都市圏振興社(通称:海の京都DMO)による、「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」です。オンラインツアー×越境ECによるインバウンド向け施策として、台湾人観光客に向け、2021年3月27日(土)に開催しました。

「海の京都 与謝娘酒造オンラインツアー」では、BEENOS Travel が手配したインフルエンサー東京走著瞧(Bob)が実際に1887(明治20)年から酒造りを行っている与謝娘酒造(http://yosamusume.com/)へ足を運び、酒造の歴史やお酒に込める想いなどを参加者に届けながら酒蔵見学をする体験型ツアとして企画されたのですが、オンラインツアー参加予定のお客様先着50名様には、与謝娘酒造の日本酒をプレゼントし、日本酒を飲みながらツアーに参加いただくことで、臨場感を演出しました。五感を使って京都での体験を楽しめるよう、リアルとオンラインを組み合わせた取り組みとしました。利用者に向けた日本酒プレゼントは募集開始後約12時間で定員に達するなど、事前申し込みの段階から、多くのお客様より反響をいただきました。

総参加者は166名となり、アーカイブ動画の再生は52,752回以上。大反響のうちにツアーは終了。さらに、越境ECで実際にお酒の販売も行っています。
ツアーの告知ではオンラインツアーのLPを策したほか、海の京都記事広告、トラベルバートップページ掲載、トラベルバーFacebookでの告知、KOLによるFacebookでの告知、トラベルバーメールマガジンでの告知を行いました。

ツアー終了後のアンケートでは海の京都オンラインツアーの満足度として「非常に満足」が29%、次いで「満足」と答えた人が70%と、計98%のお客様が満足しているといった結果となりました。

「不満」と答えたお客様の声として、特産物(自宅へ届く数量限定のお酒)の数をもう少し増やしてほしかったという意見が見られ、オンラインツアーの内容と並行して充実したコンテンツによって満足度が左右されることがわかりました。また、コロナ収束後に海の京都に訪れてみたいかといった質問には、「ぜひ訪れたい」が39%で、「機会があれば訪れたい」が61%といった回答者全員が「訪れたい」といった回答になりました。

これにより、将来的なインバウンド需要の取り込みのためオンラインツアーを開催し、「忘れられない接点を作り、今後の訪問につなげる」ことに一定の効果があったことが見受けられました。

※実施期間は2021年3月27日~2021年4月12日、調査対象はオンラインツアー参加者166名のうち56名

旅行会社と連携した新たなオンラインツアー企画もスタート

さらに当社は、UCC上島珈琲株式会社、株式会社JTBと共に「UCCコーヒー x JTB x Buyee特別企画 UCCコーヒーの美味しさとその秘密を知る オンラインライブ中継見学ツアー (抽出実習付き)」を7月3日(土)より開催します。観光においても新しい旅のスタイルとしてオンラインツアーが定着し、今回の協業先であるJTBが実施しているオンラインツアーの参加者は延べ20,000名*2を超えたとのことですが、本オンラインツアーでは、主にアジア圏のBuyeeユーザーを対象とし、「カップから農園まで」を理念とするUCCコーヒーによる上質なコンテンツの提供と、JTB監修による充実したオンラインツアー体験、そしてBeeCruiseによる海外代理購入サービスBuyeeを活用した一気通貫の販売サポート体制の構築により、拡大するオンラインツアー市場において、参加するだけではなく、参加者自身の行動を伴う体験を提供することで、その先の消費行動の喚起を図ります。

*1 2019年度実績
*2 2020年8月~2021年3月の実績

コロナ禍の現状だからこそ、逆にこの状況を生かした取り組みが求められていますが、忘れられないための取り組みは消費を喚起する取り組みにもなりえます。オンラインツアーでその土地を紹介し、現地にまつわる体験提供する中で商品やその背景まで訴求することは、オンライン旅行客にとっても日本を感じることのできる数少ないコンテンツの一つになるのではないでしょうか。

このように、オンラインツアーは現在進化しています。そして、越境ECなどを絡めることで、オンラインの環境でもさらに旅先での体験を増やすることができます。国際送料や物流のリードタイムが短くなっている今、様々な工夫によって消失したお土産物や名産品へのインバウンド需要を取り込むことも可能なのではないでしょうか。

そのほかの連載記事はこちら

■初心者向け第1回:越境ECの基礎知識や始め方を解説!成功させるためのポイントも紹介
https://ecnomikata.com/column/28934/

■初心者向け第2回:越境ECの始め方・やり方を解説!成功させるためのポイントも紹介
https://ecnomikata.com/column/29251/

■越境ECを始める前に知っておきたい市場規模や課題など基本知識を徹底解説!
https://ecnomikata.com/column/29317/

■越境EC成功の道!基本から最新事情までをお伝え
https://ecnomikata.com/column/29318/

■昨今よく聞くShopeeとは?台湾でのエヴァンゲリオンイベント事例も紹介
https://ecnomikata.com/column/29335/

■【越境ECの新たな可能性】VTuberが広げる世界とのつながり
https://ecnomikata.com/column/30673/


著者

岩本 夏鈴

大学卒業後、ITベンチャーに入社。入社直後は新規事業であったソーシャルモニタリングサービスにて営業開拓・広報・研修メニュー開発などを担当。その後法人向けSNSリスクモニタリングやソーシャルアプリ向けカスタマーサポートの多言語運用の立ち上げ、フィリピン拠点立ち上げなどを経験。海外法人向けサービス提供のため、サンフランシスコに単身駐在後、フィリピンにて海外セールス・マーケティングチームを立ち上げマネジメントなどを務める。その後ヘルスケアテクノロジーベンチャーにて法人サービス立ち上げなどに関わり、2019年より現職。BeeCruiseでは日本法人向け海外進出サービス事業の企画・国内セールス/海外セールスなどの統括を行い、年間約100案件のマーケティングやプロモーションなどの戦略策定や提案・支援を行っている。

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