7億人が使う「WeChat」が日本のECにも登場する理由

ECのミカタ編集部

今後のEC市場規模は拡大していく模様

 株式会社ユニヴァ・ペイキャスト(以下、ユニヴァ・ペイキャスト)は、6月に中国Tencen社と提携し、「Tenpay(財付通)」をリリースした。これは、主にPC用のインスタントメッセンジャー「QQ」のアカウントのウォレットとして活用されていた。それに続き、今回、毎月7億人近くが使うモバイルのメッセンジャーアプリ「WeChat」アカウントのウォレットを日本のネットショップで使うことができるサービスを開始した。

 その背景には、今後、越境EC市場規模が拡大していくことが関係している。経産省の発表によると、2014年に中国から日本の事業者に対する購入(いわゆる越境EC)の金額は6,064億円だった。その後の市場規模は、2018年にはおよそ2.3倍の1兆3,943億円に拡大することが予測されている。

 WeChatはメッセンジャーのモバイルアプリであり、2016年1QのMAU(月間アクティブユーザー)は7億6千万人超と発表されている。このサービスはメッセンジャーだけでなく、タイムライン形式のSNS、友人の請求や送金、くじ付きのお年玉、タクシー配車、電車や映画のチケット手配、アプリ内モールでの買い物などができ、中国の主要都市を中心に、幅広い年齢層の利用者が存在する。

 ネットショップがWeChat決済を設置する方法は2通りある。まずは、「加盟店」「金額」「オーダーコード」などを識別するパラメータ付きのハイパーリンクを設置または生成する「リンク方式」だ。続いては、利用者がユニヴァ・ペイキャストサーバへ変異させず決済リクエストを別セッションで行い、出力すべきQRコードのURLを受け取る「ゲートウェイ方式」がある。どちらの方法もQRコードを生成するAPIとの連携か、アプリケーションを用意する必要があるが、ユニヴァ・ペイキャストフォーム内でQRコードを出力する設定も可能だ。

ユーザーのWeChatの支払い方法は…

ユーザーのWeChatの支払い方法は…

 WeChatの支払い手続きは、2つのステップが完了する。まず、オンラインショッピングの申込手続きをする。次に、WeChatアプリをスマートフォンにインストールすれば、ウォレットを使えるようになる。ネットショップ利用時には、決済方法にWeChatを選択するとバーコードが表示されるので、スマートフォンのWeChatアプリを起動し、バーコードのスキャンを開始する。

 ネットショップで注文する際は、住所などの個人情報入力までをインターネットデバイスで行う。決済方法にWeChatを選択し、インターネットデバイスの画面にバーコードが表示されたら、スマートフォンのWeChatアプリを起動し、バーコードのスキャンを開始する。

 その後、決済金額が表示され、「Pay Now」をタップして支払いに同意し、6桁の暗証番号を入力すれば完了だ。なお、残高が不足する場合は補充が促される。

 さらに、WeChatオンライン決済は日本円建てで行われ、当日のレートで人民元(RMB)に変換された額を消費者が支払う。よって、加盟店が為替変動の影響を受けることはない。

ユニヴァ・ペイキャストは中国決済に力を入れている

 今後、越境ECが拡大していく予測の中で、ユニヴァ・ペイキャストは中国のWEB決済に力を入れており、今回のWeChatの他に「Alipay(支付宝)」「Chinapay(銀聯)」「Tenpay(財付通)」の決済を提供している。これにより、中国オンライン決済のシェアをほぼカバーすることができるようになった。

 さらに、EC事業者向け保証サービスを提供するイーディフェンダーズ株式会社が、これらのオンライン決済による不正被害から売上を守る「越境EC安心返金保証サービス」を提供している。オンライン決済が進む一方で、消費者は知らないうちに第三者によって決済情報を不正利用される危険が高まる。そこで、不正利用による売り上げの取り消しが発生した際に月間30万円を上限として売り上げを保証するサービスを開始したというわけだ。

 中国のユーザーが日本のECで買い物する時に、何かしらの不安を抱えることも少なくないだろう。そこに安心感を与えるのが、今回のサービスだ。既に多くのユーザーがおり、利用方法も簡単で、広まっていくのは早いのではないだろうか。決済は、EC利用時に大きなポイントとなる。越境EC市場も拡大する中で、どれだけ簡単で、かつ安心を保障できるサービスを提供できるかが、今後のEC利用者増加の鍵となるだろう。


記者プロフィール

ECのミカタ編集部

ECのミカタ編集部。
素敵なJ-POP流れるオフィスにタイピング音をひたすら響かせる。
日々、EC業界に貢献すべく勉強と努力を惜しまないアツいライターや記者が集う場所。

ECのミカタ編集部 の執筆記事