大塚家具がリユースを始動!ECにおけるリユースは?

ECのミカタ編集部

 総合インテリア販売の株式会社大塚家具は、家具リユース市場の創出に向けて、本格始動したことを発表した。今回は、大塚家具のリユースに対する思いや狙いを紹介すると共に、EC業界におけるリユースの動向がどうなっているか現状を確認する。

大塚家具のリユースに対する想い

 今回、本格始動した大塚家具のリユースは、従来型のリユースとは異なり、アンティーク家具やヴィンテージ家具と同様のものを目指しているそうだ。そのため、職人の高い技術で上質な家具の元来の価値を取り戻したり、アイデアで価値を加えたりすることで、家具をその時々のニーズに合わせて生まれ変わらせるという手法を用いるという。もちろん、提供する商品は、大塚家具で取り扱う通常販売家具同様の基準をクリアした品質の高いものとなる。

 ライフステージが変われば、必要な家具やインテリアも変化するものだ。日本では、不要になった家具のほとんどが廃棄処分となるため、捨てるのは「もったいない」という気持ちから、買い替えに抵抗を感じたり、我慢して使い続けている人が多数派だろう。

 大塚家具は、そのような時に、信頼出来るリユースの仕組みがあれば、資源や環境を守りながら、心置きなく家具を手放し、生活の変化に合わせたインテリア作りができると考え、今回のリユース施策を打ち出したという。もちろん、家具リユース市場が整えば、次のオーナーは、低予算で良質な家具を手に入れることができるというメリットもある。

 家具のリユース市場は、欧米ではすでに確立されていて、日本においても「良いものを使い継ぐ」本格的な循環型社会の実現に向けて、市場の確立が望まれているそうで、大塚家具は今後もリユース文化の定着に向けた取り組みを推進していくという。

EC企業のリユースに対する想い

 では、EC業界で、リユースはどのように注目されているのだろうか。EC業界では、数年でフリマアプリが急成長しているといったように、CtoC市場におけるリユースが盛り上がりを見せていたり、先日ECのミカタの記事で掲載した、ベクトルグループのように”ゴミバコのないセカイ”を企業理念に、ECとリアルの双方でリユース市場を牽引する企業も存在する。

 また、「ヤフオク!」を展開するヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、今年の7月より株式会社オークファンと協力し、片付けのプロを育成する一般社団法人日本ライフオーガナイザー協会において「リユースマスター®資格認定制度」を創設し、資格認定講座を開始している。この資格認定講座では、これまでリユースを活用できなかった人に、モノを捨てずに循環させるリユースの知識や具体的な方法を伝えているということだ。

 さらに、過去にECのミカタが、「ヤフオク!」のスタッフに行った取材では、「環境省によれば、国内で4割しかリユースをしていないという現実があり、だからリユースの推進をし、それを一つの文化にしていきたいというのが、ヤフーの思いなのです」と語られたこともある。「ヤフオク!」は、リユースへの強い想いのもと成り立っているからこそ、日本最大手のオークションサイトを維持し続けられているのではないだろうか。

 ECでは、商品を売ることばかりに注目してしまうが、大塚家具やヤフーのように売れたものがどうなるかまで考えていく必要もあるのではないだろうか。フリマアプリやオークションサイトが成功した背景には、売れたものがどうなるか、そして企業としてどうしていくべきかを考えて事業を展開を行ったということもあるだろう。今後は自社ECで販売した商品が売れた後にどうなっていくかということに時々想いを馳せ、ぜひ今回取り上げたリユース施策など、ECができる社会貢献について考えてみてもいいかもしれない。

社会のニーズを取り込む

 今回の大塚家具のリユースに関して見てみると、国内で高まるリユースのニーズを取り込んだ動きだと考えられる。このようなニーズは日本社会に潜在的にあったが、近年、日常を経済的に過ごすという考え方が浸透していることから、さらに高まっていたのではないだろうか。

 もちろん、メルカリの台頭もその一例であり、また、カメラのキタムラのトクトク交換サービスでは、持っているカメラを査定して、新規購入の金額から、その査定金額分を引くなどしているが、予想を超える反応をみせている。

 さらに、カメラのキタムラの例で言うと、約100アイテムに限定しているが、これからアイテム数を広げるので、さらに効果が期待でき、新製品発売時には、より大きな効果を見込めると考えていいだろう。

 ネット購入時の下取りの不便さを解消したことで、確実に顧客の利便性を向上している。こうした社会のニーズを取り込むことは、どの企業にとっても、新たなビジネスチャンスとなり得ることであり、ECにとっても学ぶべきところが多い。


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