NAVERまとめ、背景と見解、今後の新方針を発表

ECのミカタ編集部

昨年末よりキュレーションメディアの在り方が話題となっている。これを受け、キュレーションフォーム「NAVERまとめ」を運営する株式会社LINE(以下、LINE)は、改めて「NAVERまとめ」の立ち位置と見解を発表した。

「NAVERまとめ」は“ユーザー参加型”検索サービス

 まず、「NAVERまとめ」のコンセプトは、『探しあう検索』である。そもそも「NAVERまとめ」は、ロボット型検索エンジンが提供する画一的な検索結果だけでなく、個々人の価値観や観点による多様な検索結果(「まとめ」)の創出を目指す“ユーザー参加型”検索サービスとして開発された。

 検索する人の知識や背景、観点によって提供されるべき適切な結果は異なり、正解は1つとは言えない。そこで参考になったページやコンテンツを、誰でも簡単にまとめられる環境を整え、紹介し合う仕組みで解決しようと考えたのが「NAVERまとめ」だ。

 「NAVERまとめ」ではコンセプト通り、ユーザー参加による多様性を最も重要な価値観としており、誰でも自由に参加できることで、様々な発見、体験、視点、創意工夫が生まれ、情報との繋がりを広がっていくことを目指している。そのため、LINE側からまとめ作成者にまとめ記事の構成や内容について、具体的な作り方や正解例を示したことはないという。

 また、「NAVER利用規約」第3条において禁止事項(※1)を定めると共に、法令および「NAVERまとめ」内で定めたガイドラインに沿って365日体制の全体監視(※2)を実施している。

※1 法令違反/公序良俗違反/権利侵害/虚偽の流布/異性との出会い目的/商用利用/反社会的勢力に対する利用供与/宗教活動 等
※2 作成された全まとめ記事のうち33.7%(3本に1本)の割合で非表示処理済み

権利侵害への様々な対応

 著作権、商標権、名誉毀損などの権利侵害については、他ユーザー参加型サービス同様、監視では侵害の有無を確認することができないため、プロバイダ責任制限法(特定電気通信薬務提供者の侵害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)および同法ガイドラインの定めに沿って対応を行っている。

 一方、権利侵害申告後の事後対応となってしまう点や、侵害されている権利者側の手間を掛けてしまう点など解決できていない課題がまだ残されている。そのため、引き続き、課題解決に向けたより良い方法の検討・改善を常時行っており、直近では以下の対応を行っている。

1.「みなし非表示対応」の導入
 2016年12月8日以降の申告分より、課題に対する新たな改善策の1つとして、権利者より著作権侵害の申告をされた時点で当該「まとめ」で侵害の可能性があると“みなし”て先に非表示処理を行う。その後、当該「まとめ」の作成者に許諾の有無などの正当性を証明してもらい、妥当であると判断される場合のみ、表示を再開する「みなし非表示対応」を開始した。事後対応という点ではまだ課題が残るが、権利侵害の事実確認について、権利者側の負担を軽減し、作成者側の負担とする対策だ。

2.情報開示請求についての改善
 「NAVERまとめ」では、著作権侵害での使用料/賠償の請求目的などで発信者の情報開示請求をされた場合、プロバイダ責任制限法および同法ガイドラインの定めに沿い、発信者本人に「情報開示に同意するか」の意見照会を行っている。これは、著作権者の権利を守ることと同様、発信者のプライバシーを保護し個人情報を適切に管理することもLINEの責務であり、情報を開示するためには、発信者本人の同意を得ることが原則とされているためである。

 また、発信者本人の同意が得られなかった場合においても、2016年12月20日より、請求者の本人確認に加え、請求者が著作権者であることや著作権の侵害が事実であること、発信者による著作物の利用を正当化する事実がないことが確認された場合は、情報の開示を行うよう運用を改善している。

一部で報道、言及されている件に対するLINEのコメント

LINE社への批判まとめ作成者へのアカウント停止措置およびブラックリストの真偽について
 特定のアカウントに関する詳細なコメントは控えさせて頂きますが、今回のようにアカウントにログインできなくなるケースで考えられる原因としては、ID/パスワードの入力ミス、または利用しているソーシャルログインのアカウント間違いなどが考えらます。

(例)Facebookで作成されたアカウントに対して、Twitterでログインしようとする等

 また、当社や当社サービスに対して批判的な「まとめ」を作成したという理由でブラックリストに登録することは有り得ず、アカウント作成ができない際に考えられる原因としては、例えば“まとめ公式”など誤認を招くワードや公序良俗に反するワードなど、特定のワードをアカウント名として使用できない処理を施しており、その制限に該当していることなどが考えられます。

LINE社への批判まとめのnoindex化の真偽について
 はじめに、当社側では「まとめ」の内容によってnoindex処理の判断を行っておらず、当社および当社サービスを批判する「まとめ」であることを理由にnoindex処理を行うことはございません。
 「NAVERまとめ」は“ユーザー参加型”であり、誰でも「まとめ」を作成できるという性質上、形式上の品質が不十分なものや、無意味なまとめを機械的に大量作成する行為(スパム)なども一部では発生しており、noindex処理は、これらの問題に対する対策という意図で実施をしております。
 今回、一部ブログ等で言及のあった「まとめ」につきましても、まとめられているアイテム数が基準値を満たしていなかったケースとなり、内容とは無関係に機械的にnoindex処理がなされたというのが事実です。
 なお、noindex処理の対象となる基準を公開することは、これを逆手にとった不正を生む原因となる可能性があり非公開とさせていただいております。基準自体を今後変化させていく場合もございますが、趣旨は上記の通りでございます。

一部ネット上で実施されている署名活動について
 個別の事案についてのコメントは差し控えさせていただきますが、指摘されている事項に対する当社の見解は、これまでに述べた通りとなります。
 「NAVERまとめ」では、権利者が自身の権利を適切に管理でき、著作物が得る価値を最大化できるようになることが大切であると考えています。1次コンテンツの権利関係を弊社側で把握し、その上で権利者の皆様が「NAVERまとめ」上でのコンテンツの利用範囲を自由に管理する仕組みがあれば、著作権者からの都度の申告が無くとも、権利侵害の有無を確認すると共に、コンテンツの利用や閲覧などに応じて、より多くのメリットを著作権者に対して生むことも可能であると考えています。

「NAVERまとめ」の今後の新方針

 「NAVERまとめ」は、権利者が自身の権利を適切に管理でき、著作物が得る価値を最大化できるようになることを念頭に置き、2016年12月5日に以下の2つの新方針を発表している。これらは2017年中の運用開始を目指すとのことだ。
 
1.まとめ作成者にオーサーランクを適用
 まとめ作成者の経歴、背景、経験などを審査/承認し、身元を確認することができるようにすることで、その作成者が作成した「まとめ」の情報の信頼性を判断しやすくしていく。さらに、審査/承認したまとめ作成者の身元情報を活用することで、まとめ作成者のランク付けを行う。例えば、ランク付けに応じた記事の上位表示などを行うことを検討している。

2.1次情報提供者へのインセンティブ還元及びまとめ掲載可否設定の実現
 1次情報提供者からあらかじめ著作物と作者情報をセットにして預かり、その著作物をどのように扱うか(まとめられていいのか、まとめられたくないか、また部分的にならOKか等)を自身で設定できる仕組みを実現したいと考えている。また、コンテンツがまとめ記事で紹介された場合、貢献の指標に応じ、1次情報提供者にもインセンティブを還元することなどを検討している。

 「NAVERまとめ」は、1次コンテンツを生み出すサービスではなく、情報の検査/流通を担うサービスである。1次コンテンツがなければ、流通は成り立たず、「NAVERまとめ」は常に1次コンテンツと閲覧する人々のよりよい架け橋となることを引き続き目指していく。

 膨大な情報が行きかう今、欲しい情報を探すのも一苦労だ。そんな中、情報を探す手段の一つとしてキュレーションメディアが一役を担っていることは確かだろう。その一方、情報の信ぴょう性や著作権などは、便利だからといって無視できない問題であることも事実だ。

 今回LINEが発表した「NAVERまとめ」の見解と今後の方針が、キュレ―ションサイトの信頼回復、そして「NAVERまとめ」がより安全に、より楽しく読める媒体へと進化する一歩となることを期待したい。


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