ヤマトHDが中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を発表。夜間配達専門のドライバーを増員へ

ECのミカタ編集部

 ヤマトホールディングス株式会社(本社:東京都中央区)が、2019年の創業100周年に向けた中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」を策定し、発表した。

 大きなインパクトがあるニュースだ。今回発表された中期経営計画は、「デリバリー事業の構造改革」、「非連続成長を実現するための収益・事業構造改革」、「持続的に成長していくためのグループ経営構造改革」の3つの改革の断行を柱に掲げ、次の100年もヤマトグループが持続的に成長していくための経営基盤の強化を目的とするものだとしている。

 さて、その中でも注目を集めているのが夜間配達の話題だろう。従来の宅急便の「多機能型ドライバーネットワーク」に加え、投函商品や特にニーズが高い夜間の配達を専門に行う「配達特化型ドライバーネットワーク」、また大口顧客の商材や大型の荷物を専門に扱う「域内ネットワーク」など、パートナーを含めた分業型・複合型ネットワークの整備を進め、伸張が続くECをはじめとする荷物の増量に対応するとしている。

 特に需要の多い夜間配達専門のドライバーを19年度までに1万人配置し、ECによる配達量の増大に対応していく。配達時に自宅に受取人がいないことで生じる再配達問題に対応するため、街中で荷物を受け取れるオープン型宅配ロッカーの増設やコンビニ受け取りの拡大を進め、自宅外での荷物受取比率を10%に高めるなどの施策も明らかにした。

崩れたバランス。ユーザーと販売者と物流事業者の適切な関係の再構築を

崩れたバランス。ユーザーと販売者と物流事業者の適切な関係の再構築を新たな「複合型ラストワンマイルネットワーク」の構築
(出典:【添付資料6:新たな「複合型ラストワンマイルネットワーク」の構築】)

 夜間配達員がこれほど集まるのかどうかは疑問だが、とにかく改善しようと動いている点については好感が持てる。ヤマトをはじめとした物流が機能しなければECは立ち行かないという現実がある。ラストワンマイル問題の解決に向けて、多くの策を同時並行で行っており、それらが複合的に絡み合ってユーザーの利便性を押し上げている。

 プライシングも含めた抜本的な改革はこれから先の経営において必須事項で、大口の取引先向けに、荷物の量や燃料、人件費や不在率などに応じて、料金を変動させる新たな制度を来年春から導入する予定だとしている。

 「『送料無料』といういい方は適切ではない。それぞれの立場で便利な世の中にしていくことが望ましい。適切な運賃をいただき、よりよいサービスを提供するといういい循環になってほしい」と山内雅喜社長も会見で話した通り、ユーザーと販売者と物流事業者がそれぞれを尊重しあいバランスを正さなければ、どこかに負担がかかってしまい、結局は商品の値上げ、もしくは配送料値上げで対応するしか方法がなくなってしまう。

 ECは爆発的に伸びた。その結果バランスを崩しているのは確かだ。互いに尊重の意思を持ち、共存共栄していくための抜本的な構造改革が必要な時期に差し掛かっているのだろうと感じた。ヤマトの動向はこれからもECに大きな影響を与えるだけに注視しておきたい。

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