ファッションAI事業をリードするニューロープ、第三者割当増資等で約5,000万円を調達

ECのミカタ編集部

 ファッション特化の人工知能を展開する株式会社ニューロープ(本社:東京都豊島区)は、Reality Accelerator・大和企業投資・都築国際育英財団を引受先とした第三者割当増資等で約5,000万円を調達したと発表した。

 今回、5,000万円の資金を調達したファッションベンチャーのニューロープは2014年の創業。モデル着用アイテムの類似アイテムを買えるファッションメディア「#CBK(カブキ)」をリリースしたところからその物語は始まる。

 インフルエンサー約300人と提携したり、マガジンサイトを立ち上げたり、ブログに直接アイテム情報を表示してユーザー接点を増やしたりとメディア領域に注力したものの、他社キュレーションメディアが乱立する中でマネタイズに苦戦した過去を持つ。

 2015年10月より、メディア事業を通して得られたビッグデータを元にして、deep learningを用いたAI開発に取り掛かる。学習用サーバの調達、アルゴリズムのチューニング、ビッグデータの加工など試行錯誤を繰り返してきた。開発期間中の約1.5年間は、第三社のWebアプリケーションやキャンペーンサイト、パンフレットなどを開発・制作する受託事業等で資金を捻出して投資を続け、2017年4月、正式にファッション特化の人工知能リリースに漕ぎ着ける。

 ファッションスナップを自動解析する『ファッションおじさん』やコーディネートを自動提案する『人工知能ショップ店員のMika』がテレビ・ラジオ・ネットメディアなどに取り上げられ、話題を生んだ。

 2017年6月にはディップ株式会社主催の『AI Accelerator』の一期生に採択され、プログラムの支援を受けながらビジネス開発にも注力した。アパレルEC向けのリコメンドエンジンや画像検索機能、SNS上のファッションスナップを解析してトレンド予測に取り組むなど、AIを軸としたサービスを開発し、各社アパレル関連企業への導入を進める。

 販売実績と受注見込みを積み上げるかたちでプロダクトマーケットフィットの証明に至り、メディア事業からAI事業にピボット。確かな手応えに基づいて今回の資金調達に乗り出した形だ。

誰のためのサービスか、何のためにAIを使うのか

誰のためのサービスか、何のためにAIを使うのか

 また、大和企業投資 - 仙石翔氏は「モール型サイトの登場からアパレル業界のEC化は年々進み、消費者側の利便性はますます向上しています。電車に乗りながら、アイテムを買うことも日常的な風景となっています。ニューロープはアパレルECにさらなる価値を提供しようとするファッションテック・スタートアップです。 」と話し、また、ニューロープに期待する部分に関してはこう述べている。
 「ニューロープの画像解析技術は、アパレルECサイトのストックから消費者毎にアイテムをレコメンドできる点がユニークです。気になるモデルのコーディネートを真似しようと思った時、ゼロから探すのはなかなか苦労しますが、ニューロープの技術を導入したECではその悩みから解放されるかもしれません。消費者にもたらす体験を向上させつつ、アパレルECの売上に貢献できる切り口が魅力的」。

 ニューロープの事業がヒットする理由というか、面白いなと思う部分は「必要とされるサービスの、延長線上にAIが存在する」ということだ。AI技術のために作られたサービスではなく、ユーザーニーズを汲み取って、それを加速度的に実現するためにAIを用いているという点で多くのユーザーやショップに利用されているのではないだろうか。

 今回、調達した資金でエンジニアの採用やGPUサーバの調達等、AI事業強化を進めていくとしており、これから先、その技術をどう活かしていくのか注目が集まっている。

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