ファッションAIで1,000万アイテムを解析 トレンドデータで発注量・在庫量を適正化する「#CBK forecast」をリリース

ECのミカタ編集部

株式会社ニューロープ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:酒井聡、以下「ニューロープ」)は、ファッションAIによるトレンド分析「#CBK forecast(カブキフォーキャスト)」の提供を開始したと発表した。トレンド情報を時系列で分析し、加工済みデータとして出力することで、アパレル事業の意思決定に寄与するという。

発注量・在庫量を適正化

発注量・在庫量を適正化

ニューロープはファッションコレクション、Instagram、ECなどから収集した画像を自社開発したファッション特化の画像認識AIで解析している。

カテゴリー、色、柄、シルエット、素材、丈感、襟のタイプなど約600種類のタグと顔認識による性別・年齢などの推定情報をかけ合わせて1,000万点以上のアイテムを分類しながら、今回、2018年より蓄積してβ版として提供してきた「#CBK forecast(カブキフォーキャスト)」の正式リリースに至った。

人口減少トレンドに加えてコロナ禍の影響で「規模拡大」が望みにくい中、#CBK forecastを発注量・在庫量の適正化に活用することで、ブランドやリテールが商品を必要量だけ作って売り切り収益性を向上させることに貢献するという。

時系列分析で「意思決定に使えるツール」に

時系列分析で「意思決定に使えるツール」に

トレンド情報を単純に集計したデータは事業者の意思決定に寄与しない。ブラック・ホワイト・ベージュといった定番カラーや、ワイドパンツ・ボリューム袖といった明らかにトレンドとなっている要素が頻出していることをデータで示したところで「言わずもがな」だからだ。

ただしこのデータを時系列に分析すると話が一変する。例えば、ここ数年トレンドとなっている「ワイドパンツ」は2018年1月時点と比較して、2021年5月時点では2.7倍にまで出現量が増えている。

一方で、「スキニーパンツ」は40%強減少している。ワイドパンツがトレンドであることは自明だが、「その量が昨年度と比較して1.5倍なのか1.6倍なのか」といった定量的な判定は人よりもデータが得意とする領域だ。

例えばコンセプトの策定やデザインディティールの作り込みなど、データ化が困難な「センス」に依存する領域は人間のほうが得意だが、トレンド情報はプロダクトのライフサイクルの中で、定量的な側面で意思決定をサポートする。

◆活用例
・目立たないものの地味にトレンド入りしているアイテムを発見してMDに組み込む
・手元にある在庫をVMDやECコンテンツ上でプッシュする
・現在は順調に売れているもののダウントレンドの兆候があるアイテムをチェックして追加発注や翌シーズンの発注量を抑える
・発注を検討しているアイテムの適正発注量を、トレンドの推移を参考にして算出する

加工済みのトレンドデータを提供

アパレル業界では、人口減少の長期トレンドにコロナ禍が追い打ちをかけていることで、従来の「出店を増やす」「在庫を増やす」ことによる規模拡大ではなく、いかに過剰在庫やそれに伴う大幅な値引きを減らすか、いかに必要とされている商品を取り揃えて機会損失を減らしニーズを満たすか、そして収益性を向上させるかに目が向けられている。

#CBK forecastはそうした課題に取り組むためのツールとして開発されたもので、アイテムの特徴ごとに出力された時系列のグラフ、年次・月次・日次などのトレンドの傾きなどをまとめたレポート、CSVファイルといった様々な形式で「加工済みデータ」の提供を開始している。

もともとアパレル業界には人口減少、ファッションのカジュアル化に伴う消費者の低価格志向といった逆風が吹いていたが、コロナ禍がダウントレンドに拍車をかけた。もはや、「大量に生産して、シーズン終盤のセールで大幅値下げをして在庫をさばくと」いう従来のモデルには限界が訪れつつある。今回リリースされた#CBK forecastのような事実ベースのトレンドデータの活用は、アパレル業界のビジネスモデルを変革する一助になるかもしれない。

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