メルカリ上場 記者会見で山田進太郎氏語る テックカンパニーへ前進/メルペイが礎でエコシステム形成

石郷“145”マナブ

 株式会社メルカリは、本日、東京証券取引所マザーズへ新規上場したのに伴い、現在、記者会見を行っている最中であり、最初に、代表取締役会長の山田進太郎氏は、「上場を通じて、テックカンパニーとして世界をめざす」と誓った。

 もともと、個人間取引をやってきた企業ではあるが、商品撮影のみでタイトルやブランドを出すことのできる、AIを活用した画像認識など、その流れのなかで、多くの最新テクノロジーに触れることになった。彼らはこれが世界展開の武器になると考えており、山田氏は、声高々に「日本を代表するテックカンパニー」だとした。

 山田氏は、席上、創業当初のことを語り、「自ら作ったゲーム会社をモバイル会社のジンガに売却後、自分自身が世界各国、新興国を回る中で、その使える資源が限られて難しいという実感を得られた」とし、ただ「日本の人たちがスマホを使うようになっていて、新興国を含む多くの人種がスマホを使う未来のイメージと重ね合わせ、スマホで個人と個人をつなげれば、個人の豊かな生活が導き出せる」と振り返った。

メルカリの考える価値って何?

メルカリの考える価値って何?

 上の写真を見て欲しい。まさに、彼らにとっての新たな価値を生み出すというのは、「価値がなくなったものでも、他の人にとってみれば、価値と受け止められる」ということになっている。今やそれらは世界を志すほどになったメルカリにとって重要な礎となっている。その上で、今回強調したのは、海外におけるTmallに匹敵するくらいの高い成長率だ。

 そして、上の写真も見て欲しい。もう一つ強調したのが、エンゲージメント率の高さである。ここで公表されたものをいえば、メルカリはSNSより長い時間、閲覧されていることだ。その時間は5.3時間/1ヶ月となっており、それをベースにAI、VRなど様々なテクノロジーを入れていくことでその価値を最大化していこうというわけである。さらに、日本にとどまらず、海外市場への投資も行っている予定だ。当初描いていたグローバルな視点で、長期的に戦略を立てて、本格進出していく旨を話した。

メルカリ以外に向けても価値を提供「メルペイ」

メルカリ以外に向けても価値を提供「メルペイ」

 続いて、取締役社長の小泉文明氏も登壇した。彼は日本での今後の戦略に対しての説明を行った。小泉氏の話すところで言えば、不用品の推定価値は、年間約7.6兆円。創業以来「捨てるをなくす」という視点で、「誰かにとっては価値があるものはまだあるのではないか」としており、このマーケットを構築したいとした。

 具体的な成長というのは、ユーザー数の拡大であり、一人一人の売上の向上だとした。現在では、20~30代の若年層が多いことから、様々なプロモーションをすることで、40~50代にもユーザーの拡大していくとしており、そのためのベースを作るために、家電など、様々なジャンルの商品を作っていきたいとした。


 また、そのほかでは、興味深いのは、メルカリのIDを使った「メルペイ」と呼ばれる決済のプラットフォームである。これは、過去の決済や、個人間でのやりとりのデータというのが「メルカリ」の中で完結していたわけだが、利用者にクレジットカードを登録してもらい、ウォレット機能を設けることで、それを外部でも使える機会を増やしていく。

 さらに、海外への進出に関しても今回の会見で意欲的な様子を見て、まずはUSでの注力を話した。すでに、US版メルカリはリリースされている。しかし回転率が高いものの、認知の面でも、規模の面でも、日本と比較してまだまだとしており、伸び代はあるとしている。日本での流通総額を見る限りにおいて海外はその10倍はいくのではないか、としている。

彼らが考えるマーケットはさらに広がる

 メルカリの意味は、まさにマーケットである。フリマアプリという印象が強いが、僕が思うところで言えば、いまや多くの人が集まるマーケットであり、常時、アクセスする様々な人たちで形成される独自の経済圏を構築していると言っていい。

 最近、メルカリチャンネルというところで、ライブコマースをやっている夢展望が、ここに出ることで、この場は新規顧客を得られる場となっているという趣旨の話を耳にした。

 当然ながら、ここの経済圏を拡大し、かつどう質を上げていくか、ということはさることながら、この経済圏をどう一般企業にオープンに提供して、日本全体の成長につなげていけるか、ということだと思う。メルカリという日本の企業が日本に、そして世界に、明るい開けたマーケットを作っていくことで、世の中の消費者の気持ちを活性化させていくことをこの上場を機に切に祈りたいところだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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