アドビが2019ホリデーシーズンの動向を大胆予測 今年は短期決戦で事業者間の競争開始も前倒しか?

ECのミカタ編集部

米国カリフォルニア州サンノゼ発:Adobe(Nasdaq:ADBE)(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ、以下アドビ)は、2019年のホリデーシーズン(11月1日~12月31日)に向けて、AIと機械学習のテクノロジーであるAdobe Senseiを活用したオンラインショッピング予測を公表した。

調査概要

アドビは、人工知能(AI)および機械学習のフレームワークであるAdobe Senseiを活用して、Adobe Experience Cloudの一部であるAdobe AnalyticsおよびMagento Commerce Cloudを経由する膨大なデータポイントから、小売に関するインサイトを収集している。

Adobe Analyticsは、米国の小売webサイトへの1兆件の訪問、5,500万件の商品アイテム、米国の小売業者上位100社***のうち80社(他のどのテクノロジー企業よりも多い)を分析。アドビの分析だけが、Adobe Experience Cloudの一部であるAdobe AnalyticsとMagento Commerce Cloudにより、50を超える商品カテゴリーにわたって大手および中小規模の小売業者を網羅して、米国のオンラインショッピングに対する業界で最も正確な見解を提供している。

2018年1~12月に表示された32億件を超えるデスクトップ向け動画広告のインプレッションをAdobe Advertising Cloudで分析し、広告に関するインサイトを生成。付属の調査は、2019年10月に1,000人を超える米国の消費者を対象にした調査に基づいているとしている。

大規模小売業者が勝ち残る?

大規模小売業者が勝ち残る?米ホリデーショッピング デバイス別オンライン売上高推移(2019年は予測、単位B:10億円)

◆最安値の日

家電(割引率9%)とスポーツ用品(6%)は、ブラックフライデー(感謝祭翌日の金曜日)に割引率が一番高くなるだろう。玩具(32%)とコンピュータ(18%)は12月1日、テレビ(19%)はサイバーマンデー(12月2日)、家具/寝具(10%)や道具/DIY用品(6%)は12月3日、電子機器は12月27日に割引率が最大27%になると予想している。

◆スマートフォンでの購入がさらに増加

アメリカ人がスマートフォンで購入する額は前年度より140億ドル増える。スマートフォンでの購入はオンライン総売上高の36%(前年度比20%増)、実店舗での総売上高の57%(前年度比11%増)にあたる。小売業者がモバイル最適化を図る中、スマートフォンを使用したオンライン消費額は毎分30セントから47セントと、2016年との比較で63%も跳ね上がっている。家具、電子機器、家電などを購入する際、消費者はデスクトップPCを使用して様々な情報を検索するため、スマートフォンよりも平均注文額(AOV)が28%高くなっている。

◆BOPISの当たり年

BOPIS注文は堅調な伸びを見せ、2018年比で39% 増 が見込まれている。収益に占めるBOPISの割合は、ショッピングラッシュが起きるクリスマス直前の1週間に倍増すると考えられる。今季は消費者の37%がBOPISの利用を計画しており、BOPIS利用者の82%は店頭での商品受け取り時に他の物も購入するだろうと回答している。

◆大規模小売業者が勝ち残る

オンライン大手(年間のオンライン売上高が10億ドル以上)は売上高65%増が見込まれる一方、中小の小売業者(年間のオンライン売上高が5,000万ドル以下)は35%増にとどまるだろう。ブラックフライデーとサイバーマンデーの勝者は明らかに大手であり、スモールビジネスサタデー(ブラックフライデーとサイバーマンデーの間にあたる土曜日)の認知度は高まってはいるものの、中小の小売業者がオンラインで強力な牽引力を持つまでには至っていない。加えて、大手小売業者のサイト訪問客が成約に至るまでの確率は中小の23%に比べて32%も高く、高いコンバージョン率の恩恵を受けている。

◆ホリデーシーズンのプロモーション広告は効果的

年末商戦でも電子メールでのプロモーションの配信が依然として好まれているが、消費者の50%は同時期のプロモーションが購入の意思決定に影響を与えると回答している。スマートフォンを使用したソーシャルメディア経由の小売サイトへの訪問は、過去3年間で4%から11%とほぼ3倍になっている。しかし、ソーシャルプラットフォーム経由のコンバージョン率は、検索や電子メールといったチャネルほど高くない。

期間が短くなり商戦開始が早まる?

期間が短くなり商戦開始が早まる?米ホリデーシーズン オンライン売上高(2019年は予測、単位B:10億ドル)

感謝祭当日の売上高は19.5%増の44億ドルとなると予想されている。今年のホリデーシーズン中に費やされる5ドルのうち1ドルが感謝祭からサイバーマンデーまでの間に支出され、そのオンライン総売上は、ホリデーシーズン中の全オンライン収益の20%である290億ドルに達する見込みだ。

今年、サイバーマンデーからクリスマスまでの期間は2018年より6日間短い22日間で、このショッピング期間の短縮による潜在的な収益減は10億ドルと換算されている。小売業者は従来より早く商戦を開始することになり、11月と12月の一日あたりのオンライン小売セールスが初めて10億ドルを超える見込みとなっている。

今季の人気ギフト商品には、Nintendo Switch LiteやSEGA Genesis Miniといったゲーム機器のほか、オウリー、ブルーミーポット、Candy Locks、Kindi Kids、LOLサプライズ オーマイガー スワッグ ファッションドールなどが挙げられています。ゲームソフトでは、ポケットモンスター ソード シールド、シェンムー3、スター ウォーズ ジェダイ:フォールン オーダー、デス ストランディング、コール オブ デューティ4 モダン ウォーフェアが売上の上位に入ると考えられている。

アドビのマーケティング兼カスタマーインサイトの責任者であるジョン・コープランド(John Copeland)氏は次のように述べている。

「ショッピング期間が短くなったことにより、小売業者は今まで以上に早くから商戦を開始するでしょう。買い物に充てられる日数が少ないことから、アドビはオンラインで注文した商品を店頭で受け取るBOPIS(buy online, pick up in store)がこれまで以上に利用されると予測します。買い物ラッシュが起きるクリスマス直前の1週間は、この注文方法による収益が倍増するでしょう」

いよいよ今年もホリデーシーズンが迫ってきた。同社も指摘しているように今年は短期決戦の様相が強く、事業者間のセールに向けた取り組みも前倒しとなる可能性が高そうだ。またスマートフォンからのEC利用がさらに高まることも予想されており、ホリデーシーズンがECの潮流を顕著に表すことにもなりそうだ。


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