Google、サードパーティーCookieの廃止を2023年に延期

ECのミカタ編集部

米Googleは、現地時間の6月24日、同社が提供するブラウザChromeにおけるサードパーティーCookieの廃止に関する方針を含む最新情報を公表した。この廃止に向けて、リスティング広告の配信などに関連したサードパーティーをはじめとした各開発当時者や広告サービスの提供事業者は対応を迫られることにもなる。

個人のプライバシー保護を確かなものに

Googleは、サードパーティのCookieのサポートを段階的に廃止するChromeの計画のタイムラインを含む、「プライバシーサンドボックスイニシアチブ」に関する最新情報を公開した。

プライバシーサンドボックスイニシアチブは、オンラインで人々のプライバシーを保護し、企業や開発者に、現在および将来にわたって誰もがWebを開いてアクセスできるようにする、またデジタルビジネスを構築するためのツールを提供するためのWebテクノロジーを構築することを目的としている。

同社は、これを実現するにはWebコミュニティが協力して、Webのプライバシーを根本的に強化し、データの使用方法をより透明性と制御性を高めるための一連のオープンスタンダードを開発する必要があるとしている。

充分な時間が必要

同社はまた、これを行うには、適切なソリューションに関する公開討論、規制当局との継続的な関与、および各メディアと広告業界がサービスを移行するための充分な時間の確保が必要だとしている。

なぜなら、自由に利用できるコンテンツを提供する、多くのWebパブリッシャーのビジネスモデルを危険にさらさないようにするために重要だからだ。

また、プライバシー保護テクノロジーを提供することで、業界として、Cookieが代替形式の個別追跡に置き換えられないようにし、フィンガープリントなどの台頭を阻止することにもつながるとも述べている。

その上で、Chromeは2023年半ばから2023年後半までの3か月間でサードパーティのCookieを段階的に廃止する可能性がある。

廃止に向けたプロセス

同社は、サードパーティーが影響するCookieの廃止に向けたプロセスについても公表している。

◆ディスカッション

テクノロジーとそのプロトタイプは、GitHubやW3Cグループなどのフォーラムでディスカッションされる。

◆テスト

テクノロジーは、潜在的に多数のオリジントライアルを通じてChromeで厳密にテストされ、全体を通して透明性とフィードバックを可能にする。たとえば、FLoCの最初のバージョンのオリジントライアル中に、Webコミュニティからかなりのフィードバックを受け取った。さらなるテストに進む前に、今後数週間でこの初期テストを終了し、組み込む予定。

◆段階的に廃止

開発プロセスが完了すると、開発物を大々的に使用する準備が整う。これらはChromeでリリースされ、ウェブ全体に拡大して使用できるようになる。この公開開発プロセスの後、CMAとの契約を条件として、Chromeの計画では、サードパーティのCookieのサポートを2段階で段階的に廃止する予定。

◆ステージ1(2022年後半に開始)

テストが完了し、ChromeでAPIがリリースされたら、ステージ1の開始を発表する。ステージ1の間に、パブリッシャーと広告業界はサービスを移行する時間があるとしている。この段階は9か月続くと予想され、段階2に進む前に、採用とフィードバックを監視する。

◆ステージ2(2023年半ばに開始)

Chromeは、2023年後半に終了する3か月間、サードパーティのCookieのサポートを段階的に廃止する。その後、間もなくprivacysandbox.comでより詳細なスケジュールを提供する。このスケジュールは定期的に更新され、より明確になり、開発者と発行者がテストと移行のスケジュールを計画できるようになるとしている。

約1年、廃止を延期

そもそもサードパーティーのcookieは、より効果的なターゲティング広告を実現するために開発され、リスティング広告の運用などで広く活用されてきた。

しかしその一方で、chromeからのWebサイト閲覧などを通して、個人の閲覧データなどが企業の間で保持または共有されることになった点を、同社のみならず各国の公共機関など各方面から問題視されてきた。

この流れを受けて、サードパーティーCookieの代わりに個人データを取得しないプライバシーサンドボックスをベースとするFLoC(Federated Learning of Cohorts)と呼ばれるAPIが提供されることになったわけだ。

先に述べたように、同社は、各当事者を含めた議論の醸成と、それとあわせたさらなる開発期間の必要性を述べており、その時間的猶予の確保のため、当初、2022年中にもなされるものと見られていた廃止が、約1年、後ろにずれ込むことになる。

いずれにしろサイト閲覧におけるプライバシーの保護と、新たな開発を確かなものにするためにも、今後の進捗にはEC関連を含めた各方面からの視線が注がれることになりそうだ。

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