ECの一元管理システムとは。導入におけるメリット・デメリットと検討時の確認ポイント

ECのミカタ編集部

ECの一元管理システムとは。導入におけるメリット・デメリットと検討時の確認ポイント

ECの一元管理システムとは、商品に関するデータを一カ所にまとめて管理できるシステムのこと。一元管理システムを導入し、業務の効率化を図りたいと考えるEC事業者は多いだろう。その一方で、どのようなポイントを意識して取り入れたらよいのか悩むケースも少なくないようだ。

今回は、一元管理管理システムの概要や主な機能と、導入におけるメリット・デメリットを紹介する。実際に一元管理システムを検討する際のポイントも紹介するため、取り入れる際の参考にしてもらいたい。

目次

●ECの一元管理システムとは
●一元管理システムの主な機能
●一元管理システムを導入するメリット
●一元管理システムを取り入れる際のデメリット
●ECの一元管理システムを検討するときのポイント
●まとめ

ECの一元管理システムとは

ECの一元管理システムとは、商品に関する受注・在庫・商品登録などの情報を集約し、効率的に運用や管理をしていくためのシステムのことだ。

EC運営を行う中で出品するECモールや商品数が増加すると、受注や売上、在庫などの情報が膨大となり管理が煩雑化しやすい。また、梱包や発送作業では、商品が増えることで人的ミスやトラブルが生じやすく、機会損失にもつながりかねない。

一元管理システムを導入すると、ECサイトの情報管理業務を一括で行うことができる。必要な情報をスムーズに引き出せるため、業務効率化が実現でき、時間や人的コストの削減が見込めるのだ。

関連記事:在庫一元管理とは。システム導入のメリットや注意点、一元管理システム10社を紹介

一元管理システムの主な機能

まずは、一元管理システムの導入により、どのような作業かできるのか確認しておこう。

1.受注管理


1つ目は、受注管理だ。受注管理とは、商品購入から出荷までの一連の業務を管理すること。複数のネットショップからの注文データの一括取り込みに加え、注文内容と在庫の確認、倉庫への出荷指示、購入者へ受注メールを送ることまで一括に対応可能だ。一連の流れがワンストップで進むため、確認の手間が簡略化され、出荷までのフローが短縮できる。

2.在庫管理


2つ目の機能に在庫管理がある。これは、複数のECモールや自社サイトにおける、在庫情報を自動連動させ管理することだ。キャンセルや返品などの在庫変動も自動で連動できるため、人手や時間をかけずに管理できる。在庫切れの前のタイミングで発注のリマインドや共有のほか、通常販売とセール時の価格が混在している場合にも自動連携する機能が搭載されている場合もある。

3.商品登録管理


3つ目の商品管理は、商品名や説明文、商品画像といったあらゆる商品情報を一括に変更できる機能だ。一般的に、複数のECモールに出品する場合、商品登録は、それぞれのプラットフォーム上で行う必要がある。しかし、一元管理システムを使えば、複数のECモールへ一括で出品や更新が可能となるため、価格変更やモール内SEO対策にも迅速に対応できる。

4.発注・決済管理


4つ目の機能として、発注や決済管理機能もある。発注機能は、発注書の自動作成やメール送信、発注残数の確認といったことに対応しており、煩雑な発注や仕入れを効率化できるため、取扱商品が多い場合には出店者の負担を軽減できる。

決算管理は、決済システムと連携し、入金確認や漏れを防ぐものだ。入金確認後は、販売管理データと照らし合わせ、請求書通りの金額が回収できているかといった確認にも対応している。

5.出荷管理


5つ目は、出荷管理だ。自社または委託している倉庫システムと連携し、出荷時に必要なピッキングリストを一括で出力し、倉庫への出荷指示や発送メールの送信を自動で行う。また、出荷時の送り状作成や配送の追跡の自動化にも対応している。

6.メール送信


6つ目のメール送信とは、顧客からのメールでの問い合わせに対して、内容に応じて担当に自動で振り分けを行う。問い合わせ内容や対応履歴を自動で分析する機能もあり、カスタマーサポートの充実も図れる。

7.分析


最後の7つ目の機能に、分析がある。自社サイトが出品する全店舗のデータを一括で管理し、売上や顧客情報などの分析のほか、月ごとの決算処理といった経理業務にも対応できる。異なる業務間のデータを横断して情報を一元化することで、多様なデータをリアルタイムに把握できるため、あらゆる場面において分析がしやすくなる。


一元管理システムを導入するメリット

あらゆることを一括に管理できる一元管理システム。導入によって得られるメリットを確認しておこう。

管理作業コストを削減できる


受注や在庫、商品登録管理など、煩雑化しやすいEC運営上の各作業を一括管理することで、管理作業のコスト削減につながる。例えば、今まで複数の時間と人手が必要だった作業は、一度情報を設定すればワンクリックで一括管理ができ、情報も自動で更新される。一元管理システムを使い、誰もが一連の作業をスムーズに行うことができれば、業務の引継ぎや新人教育といった、コストの削減も可能となるのだ。

人的ミスやトラブルの防止につながる


複数の業務の自動化は、人的ミスやトラブル防止回避につながるだろう。システムを導入していない場合、一つひとつの作業を手作業や目視で行うことが多く、扱う商品やECモールが増えるとどうしても人的ミスは避けられない。異なる業務を一元化することで、1つの作業が終わると自動で次の業務に進むため、人的ミスが最小限に抑えられるのだ。

売上機会の創出を可能とする


システムを活用した一元管理は、売上機会を創出する効果も期待できる。例えば、これまで単品で販売していた商品を別の商品と組み合わせてセット販売する、リピート率から店舗ごとに異なった在庫数を配置するといったことが、柔軟に対応できる。商品情報の更新が頻繁に行えることで、その時々に合った販売方法を迅速に取り入れることが可能だ。

顧客対応が強化できる


自動に作業が進むことで、顧客対応という一番重要視したい業務を強化できるのもメリットのひとつだ。商品に関する問い合わせやクレーム対応といった、細やかな対応が求められる業務に集中できれば、顧客満足度を大きく向上できるだろう。


一元管理システムを取り入れる際のデメリット

一元管理システムの導入はメリットが多い反面、注意すべき点があることも忘れてはならない。一元管理システムを取り入れる際のデメリットを紹介する。

導入や運用時のコスト


一元管理システムで最も大きなデメリットは、導入や運用時にコストがかかることだ。利用するサービスによって料金体系は異なるが、一般的に初期費用や月額使用料、メンテナンス費用が発生する。自社サイトの規模や既存システムにより、移行処理や導入コストは変わってくる。人件費や作業時間と照らし合わせ、総合的な費用対効果を事前に確認しておくと安心だろう。

業務フローの変更が必要


一元管理システムの導入により、業務フローの変更が必要になることも忘れてはならない。作業スタッフによっては、今までと作業フローが異なることで慣れない業務に戸惑ったり、逆に複雑になり作業が滞ったりするといったことも考えられる。

導入前は、研修機会の設定や導入目的の説明会といった機会を作ることで、現場の混乱を防ぎやすくなるだろう。


ECの一元管理システムを検討するときのポイント

最後に、一元管理システムを検討する際のポイントを紹介する。

導入目的や必要な機能の明確化


一元管理システムは、選ぶサービスによって機能や提供形態はさまざまなため、導入目的や必要な機能を明確にしておくことが大切だ。例えば、導入後に活用したい機能が「在庫や商品管理のみ」の場合と、「販売から分析までトータルに管理する」という場合では、求める機能が変わってくる。

提供形態は、自社サーバーを構築して社内で運用するオンプレミス型と、インターネット上でシステムを利用する仕組みのクラウド型がある。クラウド型は、複数拠点やリモートで作業を進めたい場合に適しているだろう。

このように、それぞれのサービスによって特色が異なるため、導入する上で、具体的に解決したい課題に着目し、導入目的や機能の洗い出しを行い、システムを絞り込んでいくと良いだろう。

基幹システムとの連携


ECサイトに一元管理システムを導入する際、自社の基幹システムを連携できるのか確認しておきたい。例えば、外部と社内の複数の倉庫の在庫状況を連動したい場合に、単一の在庫管理に適したシステムを導入しても十分な役割を果たせるとは言えない。

社内のどのシステムと連携したいのか、導入後の運営計画を明確にしておくと十分な効果を得られるだろう。

料金プランの内容


一元管理システムのサービスによって、料金形態や費用が異なるため、料金プランの内容をよく理解し比較してもらいたい。必要に応じて後からオプションで機能を追加することや、規模が拡大したときに追加料金で対応できる場合もあるため、不明点は明確にしたうえで自社の要望に適した一元管理システムを検討していこう。

無料体験での使用感


一元管理システムを導入するにあたり、無料体験を活用して使用感を確認しておくのもおすすめだ。操作性やアフターサービスなど、誰もが使いやすいサービスを導入できることで、初めて効果を発揮するだろう。一度、システムを導入すると他社への移行が難しくなる場合もあるため、無料体験を上手に活用しよう。


まとめ

ECの一元管理システムとは、商品に関する情報を集約し、効率的に運用や管理をしていける便利なツールだ。受注や在庫管理に留まらず、出荷管理や分析といったことまで担ってくれるため、作業コストを削減し、顧客対応などコア業務に集中することが可能となる。導入時のポイントを押さえ、自社にとって最適なシステムを導入しよう。


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