アリババ「独身の日」セール総取引額 前年比63%増の571億元(93億ドル)

調査会社予測超える伸び見せた中国 購買力の強さ改めて浮き彫りに

ロイターの報道によると、11月11日の中国「独身の日」セールにおいて、同イベント元祖である中国大手EC企業アリババグループの相取引額が93億ドル(571億元)に上ったことが明らかとなった。
2013年の同イベントにおける取引額350億元を大幅に超え、2009年のイベント開始より毎年更新される最高取引額を記録、小売業界における同イベントが大きな商機であることはもちろん、中国消費者の購買力の強みが改めて浮き彫りとなった一日であった。

IT専門の調査会社IDCの事前予想では、本年度総取引額は86億ドルを超えるとしていたが、こちらも大きく上回っている。
昨日弊誌内でもご紹介した通り、セール開始1時間で売上約20億ドルを突破しており、懸念されていたAPEC開催中の交通規制による影響も取引額にまでは及ばなかった模様。
本年度は世界200カ国以上からの買い物が可能となった点に加え、消費者を飽きさせない、または日中働いている消費者に向け、様々な割引企画商品を時間差で次々に導入していったこと。イベント自体の認知性が高まったことなどが好調な取引額のバックボーンとなったか。午後10時過ぎの時点で530億元、日本円で一兆円を超えた際、会長である馬雲(ジャック・マー)氏は「取引額は非常に大きい。この大量の商品を消費者まで送り届けなければならない」とコメントし、表情を引き締めたとのこと。

参考記事
・アリババ書き入れ時の「独身の日」 APEC中の交通規制と重なり影響?
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=3748

・中国アリババ「独身の日」特売日 順調に進むセールと伸びる売上
http://ecnomikata.com/ecnews/detail.php?id=3775

取引額増大も株価下落?精彩欠くなる意見も

非常に好調な取引額を記録したアリババであるが、同ロイターの報道によると11日、アリババグループの株価が一時3.5%超下落したとのこと。取引額増大したが前年時よりも伸び率などの面で下回ったことなどの影響が関係しているのではとする。
また、出店業者からは、同イベントにおける恒例の半額セールにおける利益圧迫の不満の声も。出店業者は大幅な割引はもちろん、売上高の遅延加算や取引額の押上げなど圧力がかかっていることも明らかにした。小売業者も、同イベントに参加義務はないが、参加する場合は最低5割の値引きをする必要があるなど、一大商機を逃したくない小売業者にとって綱渡り気味の二択を強要される傾向があるようだ。

ユーザーにとってはありがたいことこの上ない「独身の日」セールであるが、その下には参加業者側の膨大な努力が広がっていることを忘れてはいけないだろう。
今後同様のイベントの波が日本国内にも流通した場合にも、非常に近い条件が参加企業には課せられると予測される。近い将来おそらく日本でも行われるであろう「独身の日」セール、参加を想定している企業は、この機会にシュミレーションを行うなど事前戦略をたててみるのはいかがであろうか。