EC「返品」「交換」申請、約6割が営業時間外に発生 Recustomer調査
Recustomer株式会社は2026年7月17日、「Returns, Exchanges & Delivery Report 2026 上半期」の結果を発表した。
調査概要
◆レポート名:Returns, Exchanges & Delivery Report 2026 上半期 by Recustomer
◆調査主体:Recustomer株式会社
◆調査期間:2026年1月〜6月(LTV・返品ポリシー・返金後再購入の分析は直近1年=2025年7月〜2026年6月)
◆調査方法:Recustomerを導入するECストア(500ブランド超)における実購買・返品・交換・配送追跡データの集計分析
◆対象規模
▷対象注文: 約1790万件
▷返品・交換: 約12.5万件(承認ベース)
▷追跡対象出荷: 約892万件
▷追跡メール送信: 約1273万件
◆引用元:Recustomer調べ
◆出典:Returns, Exchanges & Delivery Report 2026 上半期(Recustomer株式会社)
※返品率の前年比較は、同一ブランド群を対象とした固定コホートで算出(2.00%→2.41%、+0.41pt。同コホートの注文数は−3.8%)。
※返品・交換の件数は承認ベース。集計対象ストアの拡大に伴い前年から件数自体は増加しているため、件数の増減はそのまま市場動向を示すものではない。
※2025年版レポートとは集計基準・対象範囲が一部異なるため、単純比較には注意が必要。
返品申請の約6割は営業時間外
返品申請が発生した時間帯を分析したところ、61.1%が平日9〜18時の営業時間外に発生していることが明らかになった。
また、時間帯別では平日11〜12時と19〜21時に申請が集中する「二山型」の傾向が確認された。
この結果から、返品手続きを行いたいタイミングと、カスタマーサポートが対応できる時間帯にはギャップがあることが分かる。
Recustomerは「営業時間外でも返品受付や案内を行える仕組みを整備することは、顧客満足度の向上だけでなく、事業者側の対応負荷軽減にもつながると考えられます」とコメントしている。

続いて、Recustomerを利用した返品対応を分析。返品申請の78.7%が1時間以内、90.8%が24時間以内に承認されていた。
一方で、返金完了までの中央値は7.4日となった。そのうち、返品商品の配送待ちが中央値5.5日を占めていた。返金までに要する時間の多くは、返品商品の配送工程によるものだった。
この結果から、返品対応のスピードを左右する要因は承認ではなく、返品商品の配送を含めた購入後フロー全体にあることがうかがえる。

返品の約4件に1件は「交換」で売上として維持
返品を「返金」で処理した場合、その取引の売上は戻らない。しかし「交換」に転換できれば、売上は店舗に残る。
今回の分析では、アパレルにおける交換転換率は25.5%(中央値)となり、返品の約4件に1件が交換として成立していた。一方、返金後5日以内に同じ店舗で再購入される割合は6.6%にとどまっている。「交換」が売上維持につながることが可視化された。
また、顧客あたりの年間購入回数は「返金・交換ともに可」のストアでは1.87回、「交換のみ」が1.57回、「返金のみ」が1.49回、「不良品のみ受付」が1.38回。もっとも寛容な返品ポリシーを採用するストアでは、約1.4倍の差(参考値・相関)が確認されている。

返品理由を分析したところ「サイズが合わない」が45.3%、「イメージ・色・素材感が違う」が18.9%という結果に。両者を合わせると、64.2%を占めた。この結果からサイズガイドや着用画像、レビューなど、購入前に適切な情報を提供することが、返品削減につながる可能性が示唆される。

返品・交換を購入後体験として設計できる可能性
本レポートでは、上半期の分析から2026年下半期に向けた3つのテーマを提示している。
◆繁忙期オペレーションと交換在庫の設計
▷申請〜承認〜案内を自動化し、交換に転換するための在庫を計画的に確保できるかが、繁忙期の顧客体験と売上維持を左右する。
◆返品ポリシーの設計
▷「返金のみ」から「交換も選べる」設計へ踏み込むことが、返品を売上として残す起点になり得る。
◆配送体験の可視化
▷配送予定日の通知や進捗の可視化を、購入後の重要な顧客接点として設計する余地がある。
Recustomerは本調査結果について「返品・交換は単なる返品処理ではなく、顧客との関係を継続し、売上機会を維持する購入後体験として設計できる可能性があることが明らかになりました」とコメントしている。
本調査結果は、EC事業者にとって「返品ポリシー」や「交換対応」などの購入後体験の設計を見直す際の参考になるだろう。


