倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)調査結果(2017年9月時点)
株式会社シーアールイーでは、大型物流センターや大型賃貸倉庫などの物流不動産における市場動向・調査を記したマーケットレポートを発表しています。
マーケットレポートは、四半期ごと(1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)のデータを基に作成しており、今回は2017年9月末時点での市場をまとめました。
本コラムでは、首都圏、関西圏、九州圏、中部圏のエリアごとの市場動向についてですが、より詳細な地域については倉庫・物流不動産マーケットレポート(β版)に記載しておりますのでホワイトペーパーをダウンロードしてご確認いただければと思います。
大型倉庫【首都圏】既存物件のテナント付が進む
空室率は4.65%と前期より0.77%上昇している。
今期の需要は約3万坪。2万坪を超える需要は埼玉南部エリア、埼玉関越・東北道エリアの既存物件が吸収し、新規供給の消化が遅れている。
2017CYは約28万坪の新規供給が確認されている。
3Qまでに、年間供給の約8割が供給済みであり、4Qの新規供給は多くはないものの、4Q新規供給のテナント内定率および年末という季節性を考慮すると空室率は最大1%程度悪化する可能性がある。
大型倉庫【関西圏】需要のエリア格差が顕在化
空室率は10.99%と前期より0.98%改善している。
今期の需要は非常に多く13万坪を超えた。そのうち11万坪を超える需要の大半を北摂・東大阪エリアの新規供給が吸収し、既存の空面積が集中する大阪湾岸エリアでの消化は2万坪に満たなかった。
2017CY4Qは約8万坪、2018CYには20万坪を超える新規供給が計画されている。継続的に今期と同じ需要を創出することは容易ではなく、2017CY4Qからの空室率は悪化する懸念がある。
大型倉庫【九州圏】空室率は高止まり
大きな動きはなく空室率は前期と同じ11.02%である。
2017CYの新規供給に対するテナントの入居は遅れており、依然として入居率は1割程度に留まっている。
一方、2018CYに計画されている新規供給は既にテナントが見込まれており、大きく空室率を悪化させる要因は少ないと思われる。
竣工時期が未定の新規供給も計画されているため、長期的にマーケットをウォッチする必要がある。
大型倉庫【中部圏】賃貸市場の醸成が急がれる
空室率は14.07%と前期より0.58%上昇している。
2017CYの新規供給はストックの約3割にあたる9万坪弱で、2Qまでに全て供給され、消化率は6割弱に留まっている。
経済規模は大きな地域であるが、大型賃貸倉庫のマーケットは未成熟であり、2018CYも継続して新規供給があることを勘案すると、市場動向をウォッチする必要がある。
中小型倉庫【首都圏】 継続してニーズは高い
空室率は1.06%と前期より0.85%改善された。
改善された要因の半分は賃貸倉庫の撤退によるものだが、高いニーズが継続していることが伺える。
成長著しいEC物流において、中小型倉庫はラストワンマイルの重要な拠点を担っている。
地域環境や継承問題で倉庫の維持が難しい側面や、新規供給が乏しいという状況を考慮すると、空室率が悪化するという可能性は極めて低く、地域によっては獲得競争が高まる可能性が高いと推察する。
今後も4半期ごとに調査レポートをコラムに掲載していく予定です。
御社の物流戦略にぜひご活用いただけばと思います。
ご不明な点やご質問等ございましたら、弊社までお問い合わせください。
【調査概要】
〇調査地域
首都圏:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県
関西圏:大阪府、京都府、兵庫県を中心とする地域
九州圏:福岡県、佐賀県を中心とする地域
中部圏:愛知県を中心とする地域
〇調査施設
大型倉庫
首都圏 285 棟 (計:12,815,806.41㎡ )
関西圏 67 棟 (計:4,219,591.08㎡ )
九州圏 24 棟 (計:742,891.69㎡ )
中部圏 21 棟 (計:879,058.49㎡ )
中小型倉庫
首都圏 906 棟 (計:732,733.25㎡ )
〇用語定義
大型倉庫 :総賃貸面積1万㎡以上の賃貸物流施設
中小型倉庫:総賃貸面積3,305.8㎡(1,000坪)未満(当社管理のみ)
空室率 :調査時点での空室の割合(空室面積÷総賃貸面積)
〇マーク凡例
☀=空室率5%未満
☁=空室率5%以上10%未満
☂=空室率10%以上
※本レポートは、株式会社シーアールイーが調査対象に関する情報をお伝えすることのみを目的として作成した資料です。
※掲載された内容は、作成時における当社の見解や予測、また関係者へのヒヤリングを基に作成したものであり、将来の市場変動等を保証するものではありません。
※本レポートに掲載された一切の権利は当社にあります。当社の事前の了解なしに転用・複製・配布することはできません。